がんの手術療法の種類や入院期間について解説

がんは多くの人にとって不安な病気ですが、近年の医療の進歩により治療の選択肢も増えています。
手術を含む様々な治療法があり、早期発見や適切な治療で回復の可能性も高まっています。
今回は、がんの手術について分かりやすく解説します。
がんで手術療法が選択されるケースとは

がんの治療法には主に3つの方法があります。
手術(外科治療)、薬物療法、放射線治療です。
手術は、がんやがんのある臓器を直接切除(切り取る)方法です。
外科治療に放射線治療や薬物療法を組み合わせることもあり、これを集学的治療と呼びます。
関連記事:末期がんによく見られる症状とは?急に悪化するのは死の兆候?
がんの手術の種類

外科手術
がんの外科手術では、がん細胞だけでなく、その周りの正常な組織も一緒に取り除きます。
これは、手術中に器具ががんに触れてしまうと、がん細胞が体内に飛び散り、他の部分に転移するリスクがあるためです。
この方法により、がんの再発を防ぐことができます。
外科手術は、一般的にお腹を切り開いて行う方法で、胃がんや大腸がん、肺がんなど多くのがんで用いられます。
内視鏡的治療
早期の胃がんや大腸がんに対して行われる手術法です。
内視鏡を使って、がんを含む部分を体内から取り除く方法で、体への負担が少ないことが特徴です。
内視鏡を口や肛門から挿入し、がんを直接見ることで正確な治療が可能となります。
腹腔鏡手術
腹腔鏡手術は、お腹に小さな切り口を作り、そこからカメラや特殊な器具を挿入して行う手術です。
胃がんや大腸がん、肺がんの治療に用いられます。
この方法は、従来の開腹手術に比べて傷口が小さく、術後の回復が早いことが利点です。
ただし、手術時間はやや長くなることが一般的です。
胸腔鏡手術
胸腔鏡手術は、胸に小さな切り口を作り、そこからカメラや特殊な器具を挿入して行う手術です。
主に肺がんの治療に用いられます。
この方法も傷口が小さく、術後の痛みや癒着が少ないことが特徴です。
しかし、腹腔鏡手術と同様に手術時間が長くなる傾向があります。
がんで手術した場合の入院期間は?

がん治療のために入院する方の数は過去20年間で大きく減少しています。
一方で、外来で治療を受ける方の数は増加しています。
これは、がん治療の方法が多様化し、入院を必要としないケースが増えているためです。
以前は、がん治療といえば「手術」が主流でした。
ですが現在では身体への負担を少なくするために、「放射線治療」や「化学療法」を単独で行ったり、「手術」と組み合わせたりしています。
このため、外来での治療が増え、入院期間が短縮されているのです。
入院期間短縮の理由
放射線治療や化学療法の技術は日々進歩しています。
これらの治療を手術と組み合わせ、治療の効果を高めつつ入院期間を短縮することが可能です。
外来治療の増加
入院せずに外来で継続的に治療を行うケースが増えています。
入院の必要がなくなるため、患者の負担が軽減されます。
関連記事:大腸がんとは?症状やステージについても解説【医師監修】
がんの手術の成功率は?

がん手術の成功率は、治療方法の進歩や早期発見の増加により、年々向上しています。
具体的な数値はさまざまな要因によって異なるため一概には言えませんが、手術の成功率がどのように改善されてきたかについて解説します。
治療方法の進歩
近年、がん治療の方法は大きく進化しています。
手術だけでなく、放射線治療や化学療法(薬物療法)との併用が一般的になってきました。
これらの治療法を組み合わせることで、手術の成功率が高まっています。
手術前に放射線治療や化学療法を行うことで、がんを小さくしてから手術を行うことができるようになりました。
これにより、がんを取り除く確率が高くなります。
早期発見の重要性
がんは早期に発見されるほど治療の成功率が高くなります。
定期的な健康診断や検診により、がんを早期に見つけることが可能です。
早期の段階で発見されたがんは、周囲の組織や臓器への広がりが少なく、手術で取り除きやすくなります。
そのため、早期発見は手術の成功率を高める重要な要素です。
集学的治療の効果
集学的治療とは、手術、放射線治療、化学療法などを組み合わせて行う治療方法です。
この方法により、がん治療の効果が最大限に引き出され、手術の成功率も向上しています。
手術でがんを取り除いた後に放射線治療を行うことで、残ったがん細胞を根絶することができます。
これにより、再発のリスクも減少します。
医療技術の進化
手術を行う際の技術も進化しています。
手術用の機器や技術が向上することで、より正確で安全な手術が可能になりました。
例えば、腹腔鏡手術や胸腔鏡手術などの内視鏡を使用した手術は、体への負担を減らしながらも高い精度でがんを取り除くことができます。
以上のように、がんの手術の成功率は、治療方法の進歩や早期発見の増加により向上しています。
関連記事:食道がんの治療と名医を受診するお勧めポイント|BeMEC
がんで手術ができない場合とは?

がん治療において手術は重要な選択肢の一つですが、場合によっては手術が適用できないことがあります。
ここでは、手術ができない理由や部位について解説します。
手術ができない理由
がんが広範囲に転移している場合
手術療法は局所療法です。
がんが全身に転移している場合、手術を行っても治癒や改善が期待できないことが一般的です。
特に、手術前の検査で広範囲に転移していることが明らかになった場合、多くの医師は手術が不適切と判断します。
手術中に初めて広範囲の転移が発見されることもあります。
このような場合、手術を続行しても全体の治療効果が限定的であると判断されると、手術を中止します。
そしてそのまま縫合して別の治療方針に切り替えることもあります。
これは、患者さんの身体に無駄な負担をかけず、最適な治療を提供するためです。
腹膜播種や胸膜播種がある場合
「播種(はしゅ)」とは、がん細胞が体内のあちこちに点在することを指します。
腹膜や胸膜に播種が見つかった場合、物理的には手術で切除可能かもしれません。
ですが、がん細胞が広範囲に散布している可能性が高く、再発のリスクが非常に高いです。
このような状況では、医師は治療効果とリスクを慎重に比較し、手術が適切でないと判断することが多いです。
手術ができない部位

がんが発生する部位によっては、手術が困難または不可能な場合があります。
以下に、手術が難しい主な部位を挙げます。
脳
脳内のがんは手術が難しいことが多いです。
脳の重要な機能を損なうリスクが高いためです。
骨
骨に発生するがんや骨転移は、切除が難しいことがあります。
特に、骨の構造的な問題や周囲の組織への影響が大きいためです。
血液がん
白血病などの血液がんは、体全体にがん細胞が広がっているため、手術による切除は不可能です。
手術ができない場合の治療方法
手術ができない場合でも、治療の選択肢はあります。
以下に、主要な治療方法を紹介します。
放射線療法
放射線を照射してがん細胞を破壊する方法です。
局所的ながんに対して効果的です。
薬物療法
化学療法やホルモン療法などが含まれます。
全身に効果を及ぼすため、広範囲に転移したがんにも対応できます。
免疫療法
体の免疫力を利用してがん細胞を攻撃する方法です。
副作用が少なく、患者さんの生活の質を維持しながら治療できます。
これらの治療法は、患者さんの状態やがんの種類、進行度に応じて組み合わせて使用されることが一般的です。
手術ができない場合でも、適切な治療を行うことで、病状の改善や生活の質の向上を目指すことが可能です。
関連記事:胃がんの症状を解説!胃潰瘍や胃炎との違いは?【早めの検診を】
千葉内科・在宅クリニックでできる対応
当院では即日で検査結果をお伝えできる最新の血液検査機器のドライケムを導入しています。
他にも、超音波機器・心電図機器等を導入しており、検査を受けたその日に検査結果をお伝えさせていただけます。(一部の特殊検査を除く)
検査結果で異常を認めた際には、追加で精密検査や診察を受けていただく為に、専門機関や医療機関へ情報提供を行い、紹介受診をしていただくことが可能です。
お困りの際は、是非お気軽にお問い合わせください。
また、千葉内科・在宅クリニックでは、病院の診察時間外に患者様のご自宅にお伺いし、診察~検査~処方も行っています。
まとめ
がんの手術は、がんの種類や進行具合によっては非常に効果的な治療法です。
しかし、手術が難しい場合もあり、その際には放射線療法や薬物療法など他の治療法が活用されます。
がん治療の選択肢は多様で、患者さん一人ひとりに最適な治療が提供されるようになっています。
参考文献
末期がんの悪液質とは?症状や余命への影響を解説

こんにちは!千葉内科・在宅クリニックの辺士名です!
がん悪液質(Cancer Cachexia)とは、がんが原因で生じる体重減少、筋肉の減少、疲労感などの症状を特徴とする重篤な状態です。
がん悪液質は、がんの進行に伴い、治療の効果を低下させるほか、患者さんの生活の質を著しく悪化させ、予後を不良にすることが知られています。
今回はその、がん悪液質について、どのような症状があるのか、療法などをお話ししていきます!
悪液質とは

がん悪液質は、単に食欲がないというだけではなく、体がエネルギーを作る過程に異常が生じることが原因です。
特に、がん細胞が分泌するさまざまな因子によって正常な代謝が乱れ、筋肉や脂肪組織が分解されます。
これにより、体重が減少し、筋肉量が低下し、全体的な体力の低下を招きます。
がん悪液質は前悪液質、悪液質、不応性悪液質の3つのステージに分類され、最初のステージである前悪液質からの早期介入が必要です。
関連記事:末期がんによく見られる症状とは?急に悪化するのは死の兆候?
悪液質の症状とは

がんの悪液質に関連する症状は多岐にわたり、患者さんの生活の質に大きな影響を与えます。
以下に、主な症状について簡潔に説明します。
全体的な体重減少
がんの悪液質において最も顕著な症状の一つが体重減少です。
これは、筋肉組織の分解が進むことと、脂肪組織の減少が原因です。
体のエネルギー需要が、がん細胞によって高まり、栄養摂取が追い付かないことから生じます。
疼痛
がん患者において疼痛は一般的な問題であり、特に進行がんでは悪液質の進行に伴って疼痛が増すことがあります。
がん細胞が周囲の組織や神経を侵すことで疼痛が引き起こされることが多いです。
食欲不振
食欲不振はがん悪液質の典型的な症状で、患者の栄養状態をさらに悪化させます。
これは、がん細胞が分泌するサイトカインが直接的に食欲を抑制したり、消化器官の機能障害が間接的に食欲不振を引き起こすことが原因です。
貧血
がん悪液質の患者はしばしば貧血を経験します。
これは、栄養不足、慢性の炎症反応、およびがん治療(化学療法や放射線療法)による骨髄の抑制により赤血球の生産が減少するためです。
頻繁な感染症
免疫機能の低下もがん悪液質の一環であり、これにより患者は感染症にかかりやすくなります。
栄養不足と慢性炎症は免疫細胞の機能を低下させ、様々な感染症のリスクを高めます。

悪液質で顔貌が変わる?
がんの悪液質による顔貌の変化は見られることがあります。
特に顕著なのは、顔や体の筋肉の減少による「やつれ」の状態です。
この筋肉減少は、顔の形状を支える構造にも影響を与え、頬がこけたり、顔全体の輪郭が変わったりします。
さらに、栄養不足による皮膚の健康状態の低下も見られ、皮膚が薄く、乾燥し、弾力を失うことがあります。
関連記事:肺がんの気をつけてほしい初期症状や原因、ステージ(進行度)について
悪液質の治療法

がん悪液質に対する支持療法は、薬物療法に加えて、患者の身体機能に合わせた運動療法、適切な栄養管理、身体的・心理的負担に対する心理社会的介入など集学的な対応が必要です。
栄養療法
がん悪液質における栄養療法は、カロリーとタンパク質の摂取を増やすことが中心です。
高カロリー、高タンパク質の食事を小まめに摂ることで、体重減少を防ぎ、筋肉量の維持を図ります。
また、食欲がない場合は、液体食やスムージーなど、消化吸収が容易な形態の食事を取り入れることが有効です。
運動療法
定期的な軽い運動は、筋肉の減少を抑え、全体的な体力の低下を防ぐのに役立ちます。
ウォーキングや水泳、軽いストレッチなど、患者の体力に合わせた運動を推奨します。
運動は、食欲を促進し、精神的な健康を向上させる効果もあります。
薬物療法
サイトカインの影響を抑えるために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やステロイド薬が用いられることがあります。
また、プロゲステロン類似薬(メゲストロールアセテートなど)や抗うつ薬も使用することがあり、食欲増進や体重増加に効果的です。
これらの薬物は、サイトカインの産生を抑制し、筋肉分解を防ぐことで、悪液質の進行を遅らせることが期待されます。
またアナモレリンという世界初のがん悪液質治療薬があります。
グレリンとレプチンという食欲を調節する代表的なホルモンがあり、アナモレリンはグレリン様の作用を有する薬物です。
グレリンは胃から分泌され食欲亢進、レプチンは脂肪細胞から分泌され食欲抑制に働きます。
視床下部および下垂体に発現する成長ホルモン放出促進因子受容体(GHS-R1a)に作用し、食欲亢進、筋肉量増加による体重増加効果が認められています。
がん悪液質を適応症とする薬としては世界初です(現在、適応のあるがんの種類は非小細胞肺がん、胃がん、膵がん、大腸がんです)。
アナモレリンの作用で筋肉量は増加するが、それだけで筋力が回復するわけではないため、適切な運動療法を併用する必要です。
⚠️また、アナモレリンは心不全、心筋梗塞・狭心症、刺激伝導系障害(完全房室ブロックなど)などの心機能障害のある患者には禁忌とされています。
サプリメント
オメガ3脂肪酸やビタミンD、クレアチンなどのサプリメントが悪液質の管理に利用されることがあります。
これらのサプリメントは、筋肉の損失を防ぎ、免疫機能を強化し、炎症反応を抑制する助けになると考えられています。
ただし、使用する前には医師と相談することが重要です。
悪液質と余命の関係性

がん悪液質は、がん患者の余命に大きな影響を与えることが知られています。
この状態は、体重の著しい減少、筋肉量の低下、全身の疲労感といった特徴を持ち、これらは患者の全体的な体力と健康状態を低下させます。
具体的にはがん悪液質を持つ患者は、そうでない患者に比べて予後が悪い傾向にあり、治療への耐性が低下するため、治療の選択肢が限られがちです。
体力の低下と感染症リスクの増加
悪液質状態にある患者は免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなります。
これがさらに健康状態を損ない、余命を短縮する可能性があります。
治療の適用制限
重度の悪液質を呈する患者は、化学療法や放射線療法などの積極的な治療が困難になることがあります。
これにより、がんの進行を抑えるチャンスが減少します。
生活の質の低下
悪液質による体力の低下は、日常生活の質を大幅に低下させ、これがさらに健康状態を悪化させる可能性があります。
悪液質から回復した事例はある?

がん悪液質の完全な回復事例は珍しいですが、症状の管理と改善には成功している例は多く報告されています。
がん悪液質の症状の改善には総合的なアプローチが必要で、栄養療法、運動療法、薬物療法が組み合わされます。
一つの実例をご紹介します。
ある研究では、がん悪液質の患者に対して栄養サポートと併せて運動プログラムを実施した結果、筋力の向上、体重の増加、生活の質の向上が報告されました。
このような総合的なアプローチは、悪液質の進行を遅らせるだけでなく、一部の患者においては顕著な改善をもたらすことが示されています。
これらの研究結果からもわかるように、がん悪液質の管理と治療は、患者の総合的な治療計画の重要な部分です。
適切な介入によって生活の質の向上とともに治療成績の向上が期待できます。
千葉内科・在宅クリニックでできる対応
千葉内科・在宅クリニックでは、がんの患者様に対して治療から緩和ケアまで適切な内服薬や外用薬・鎮痛薬の処方ができます!
痛みが辛い・呼吸が苦しいと言った症状を始め、急に症状がでてきたなど、不安なことがあればいつでもご相談ください!
悪液質のまとめ
いかがでしたか?
なかなか聞きなれない悪液質というワードですが、がん患者の方の生命予後に大きく関与しています。
悪液質について専門的に知りたい場合などは、千葉内科・在宅クリニックへお気軽にお問い合わせください!
参考文献
栄養失調のがん患者に対する経口栄養介入:系統的レビューとメタ分析
糖尿病には種類がある?!初期症状や食事について徹底解説

こんにちは!
千葉内科・在宅クリニック 辺土名です!
生活習慣病や国民病とも呼ばれる糖尿病ですが、糖尿病にも何種類かの種類があり、それぞれの対処法や治療法があります。
今回は糖尿病の種類や初期症状、症状について詳しく解説していきます。
糖尿病とは

「インスリンの作用が十分でないためブドウ糖が有効に使われずに血糖値が普段より高くなっている状態」が糖尿病の定義です。
私たちが食事をすると、栄養素の一部は糖となって腸から吸収されます。
糖は血液内を常に流れながら、全身の臓器や組織を巡ります。
筋肉などの細胞までたどり着いたら、同じく血液内をただよっているインスリン(膵臓から分泌されるホルモン)の助けを借りて細胞内に取り込まれ、私たちが活動するためのエネルギー源となるのです。
インスリンは細胞のドアを開ける鍵のような役割で、血糖をサポートします。
細胞の前にたどりついた血糖は、インスリンの働きにより速やかに細胞内に入るので、血液内の血糖は一定に範囲内に収まることができます!

糖尿病になると、鍵の役割を果たすはずのインスリンがうまく働かなくなってしまいます。
インスリンがうまく働かない原因には大きく分けて2つ考えられます。
インスリン分泌低下

インスリンを出してくれる脾臓の機能低下により、十分なインスリンを作れなくなってしまう状態です。
細胞のドアを開ける鍵が不足しているので、糖が中に入れず血液中にあふれてしまいます。
インスリン抵抗性
インスリンは十分な量がつくられているが、効果を発揮できない状態です。
運動不足や食べ過ぎが原因で肥満になると、インスリンが働きにくくなります。
鍵であるインスリンがたくさんあっても、細胞のドアのたてつけが悪く、開けることができません。
この場合も血液中に糖があふれ出てしまいます。

糖尿病はこの二つが影響して、血糖値が高くなってしまう病気です。
関連記事:生活習慣病って何種類あるの?予防対策や検診についても紹介
糖尿病の種類

先ほど説明させていただいた、原因の成り立ちにより、糖尿病はいくつかの種類に分類されます。
Ⅰ型糖尿病
Ⅰ型糖尿病では脾臓からインスリンがほとんどでなくなることにより血糖値が高くなります。
そのため生きていくためには、注射でインスリンを補う治療が必要です。
Ⅱ型糖尿病
Ⅱ型糖尿病は、食べてしまう量に対してインスリンが少ない・出にくい(インスリン分泌不全)か、インスリンが効きにくくなる(インスリン抵抗性)ことにより血糖値が高くなります。
2型糖尿病は最も一般的な糖尿病で10人中9人はこのタイプです。
妊娠糖尿病
妊娠中に初めてわかった高血糖状態を妊娠糖尿病といいます。
赤ちゃんに絶えず栄養を与えているため、空腹時の血糖は妊娠していないときに比べ低くなる一方で、胎盤から出るホルモンの影響でインスリンが効きにくくなり、食後の血糖値は上がりやすくなります。
多くの場合は出産のあと戻りますが、妊娠糖尿病を経験した方は将来糖尿病になりやすいともいわれているので注意が必要です。

糖尿病の原因

1型糖尿病は、脾臓からインスリンというホルモンが出なくなることが原因です。
2型糖尿病は
- 過食
- 多量の飲酒
- 運動不足
- 肥満
- 遺伝要因
などがあげられます。
飲みすぎや食べ過ぎ、運動不足などの生活習慣が特に危険な原因因子となります。
関連記事:高血圧・糖尿病だと腎不全になりやすい?腎不全になりやすい人の特徴
糖尿病の症状

糖尿病初期で軽度時や境界型糖尿病のうちは自覚できる症状はほとんどありません。
ある程度症状が進んでいくと下記のような症状が出ます。
- 喉が渇く(口渇):血糖値が高いため薄めようとして脳が生理的に反応する。
- たくさん水分を摂る(多飲):上記反応にて水分をとってしまう。
- トイレに行く回数が増える(頻尿):上記反応にてたくさん尿がでる。
- 体重減少:インスリンがうまく働かず、栄養が来ても取り込めないため痩せていきます。ひどい場合1か月に5-10kg体重減少する場合もあります。この状態を放置してしまうと、糖尿病性ケトアシドーシスに至り入院になる可能性が高いです。
- 嘔吐、倦怠感:体が酸性に傾き、血液や尿にケトン体が認められ緊急の状態です。すぐに入院し治療を開始しないと最悪命を落とす危険性もあります。
糖尿病の食事

糖尿病の食事療法は下記の通りです。
- 食べる順番の変更:食物繊維の多い野菜・海藻類をはじめに食べ、血糖値を上げる炭水化物(米・パン・麺類)は最後に食べるようにしましょう。
- 食事をゆっくり食べる:食事をゆっくりとるだけでも血糖値は上がりにくくなります。
- 適切なエネルギー量の摂取:身長と生活活動度から1日の適正エネルギー量の食事をとる治療法です。エネルギーを適正にできると適正な体重に近づき、内臓脂肪が減ることでインスリンが効きやすい体となり同じ食事をしても血糖値の上がりにくい体となります。
糖尿病薬を内服している方が、炭水化物制限や糖質制限を突然始めると低血糖を起こす恐れがあります。
また、腎機能の悪化が始まっている人は炭水化物制限・糖質制限をすると、タンパク質を摂りすぎかえって糖尿病性腎症が悪化する可能性があるので、事前に医師に相談しましょう。
関連記事:ケトアシドーシスの症状や原因とは?後遺症が残る可能性についても
糖尿病の予防

- 食生活を整えよう
- 体を動かそう
- ストレスをためない
- 適正体重を保とう
できることからバランスよく規則正しく生活を行うことが糖尿病対策の基本になります。
毎日の小さな心がけから変わってくるので、少しずつ生活習慣を見直していきましょう。
千葉内科・在宅クリニックでできること
当院では30分程度で血液検査の結果がわかります。
糖尿病のコントロールの指標となるHbA1cや血糖値もすぐに医師からご説明させていただくことが可能です。
その他、症状や病状に合わせた内服の処方や生活習慣の管理もさせていただきます。
また、当クリニックはオンライン診療も行っており、ご自宅にいながら継続的な診察を受けることが可能です。
詳しくはこちらからどうぞ!
ご不安なことがあれば気軽にご相談ください。
【まとめ】糖尿病の予防は生活習慣に気を付けることが重要
今回は糖尿病の種類、初期症状や食事について解説しました。
いかがでしたか?
糖尿病の予防には生活習慣に気を付けることが重要となります。
毎日の積み重ねが大事となりますので、できることから少しずつ見直していきましょう。
お困りの場合はお気軽に千葉内科・在宅クリニックへご相談ください。
参考文献
ヘルパンギーナとは?症状や潜伏期間について徹底解説

小さなお子さんは何かとウイルスなどを拾ってきやすく、よく熱を出してしまい、何の病気になったのか不安になる事もあるかと思います。
本記事ではヘルパンギーナについて解説し、症状や潜伏期間、登園登校して良いのか、何日休むのかなども説明します。
ヘルパンギーナとは?

夏季によく見られるヘルパンギーナは、発熱と口の中にできる水ぶくれが特徴のウイルス性の喉の炎症です。
乳幼児に多くみられ、夏風邪の代表的な病気です。
原因のほとんどはエンテロウイルス属に属するコクサッキーウイルスA群で、B群やエコーウイルスからも引き起こされることがあります。
ヘルパンギーナの症状

高熱
突然、38℃~40℃ほどの高熱が出ます。
その後、下記の口内の水疱、喉の粘膜の発赤が見られます。
口内の水疱
高熱と同時に、若しくは少し遅れて、口の中に水疱が現れます。
水疱は2〜3日でつぶれて黄色い潰瘍になります。
喉の痛み
のどの奥の粘膜が赤くなります。
喉の上側に直径1mm〜5mm程度の発疹が見られます。
頭痛
発熱とともに頭が痛くなることがあります。
頭痛や嘔吐・高熱が続く場合は、髄膜炎、脳炎を合併しているケースがあるため、小児科を受診しましょう。
倦怠感
全身にだるさや疲れを感じます。
倦怠感から食事や水分を十分にとらず、脱水になることもあるので注意が必要です。
関節痛・筋肉痛
関節や筋肉が痛むことがあります。
大人に感染してしまった場合、より強く症状が出ることがあるようです。
下痢
お腹が痛くなったり、下痢をすることもあります。
ヘルパンギーナを疑う初期症状は?

初期症状では散在性の白色あるいは灰白色の丘疹、後に浅い潰瘍が出現します。
発疹は1~2mm程度の小さなもので、10個前後とさほど多くはありませんが、かなり激しく痛みます。
ヘルパンギーナはどうやってうつる?

飛沫感染
感染者が咳やくしゃみをすると、ウイルスが含まれたしぶきが飛び散ります。
これらのしぶきが口や鼻、目などの粘膜に入ることで感染します。
経口・接触感染
水疱の内容物や排便されたウイルスが手などを介して口や目といった粘膜に入り込むことで感染します。
ヘルパンギーナの潜伏期間

潜伏期間
感染してから発症するまでの時間は3〜6日間です。
発症時の症状
39℃以上の高熱が1〜3日間続きます。
口内の変化
のどが赤く腫れ、小さな水疱がたくさんできます。
水疱の変化
水疱は2〜3日でつぶれて黄色い潰瘍になります。
食事・飲み物の摂取
のどの痛みが強く、食事や飲み物を受けつけなくなることがあります。
そのため、脱水症状を起こす可能性があるので注意しましょう。
大人がヘルパンギーナに感染するとどうなる?

症状の特徴
大人がヘルパンギーナにかかると、子どもと同じく高熱や口腔粘膜の小水疱などの症状が現れます。
ただし、子どもよりも症状が強く、高熱や非常に強い咽頭痛のほか、筋肉痛や頭痛、関節痛が現れる場合があります。
症状の持続と重症化の特徴
大人の場合、症状が現れている期間が長く、重症化しやすい点も特徴です。
ヘルパンギーナに感染したら保育園は何日休む?

登園・登校の基準
ヘルパンギーナには明確な出席停止期間がありません。
登園・登校の可否は、本人の状態に応じて決められます。
ほとんどが軽症であるため、規制はありません。
保育所の対策ガイドライン
厚生労働省のガイドラインによれば、登園・登校の目安は「発熱や口腔の水疱・腫瘍の影響がなく、普段の食事がとれること」です。
学校保健安全法の指定
学校保健安全法では、ヘルパンギーナが「第三種学校伝染病」として指定されています。
急性期は出席停止とされ、治癒期は全身状態が改善すれば登校可能です。
症状の期間と経過
一般的に、ヘルパンギーナに感染しても熱は2〜3日程度で下がり、
症状が改善して普段通りの食事ができるようになるまで、おおよそ数日から1週間かかります。
ウイルスは1ヵ月ほど便中に排泄されるため、おむつ替えの際には注意が必要です。
結論:一般的には、1週間程度で登園・登校できるようになります。
千葉内科・在宅クリニックでできる対応
千葉内科・在宅クリニックでは小児科の診療にも対応しており、ヘルパンギーナの診察も可能です。
https://chibanaika-clinic.com/child/
また、夜間休日の急な体調不良やケガの際に、ご自宅にお伺いして診察~処方までを行う夜間休日往診サービスも行っております。
病院が閉まっている曜日や時間帯でも、ぜひお気軽にご相談ください。
ヘルパンギーナのまとめ
ヘルパンギーナはウイルス性の病気で、特に大人に感染した場合は子どもより症状が強く出てしまいます。
非常に高い病気なので、感染力がご本人が治った後も十分に注意してください。
生活習慣病って何種類あるの?予防対策や検診についても紹介

こんにちは!千葉内科・在宅クリニック院長の辺土名です!
皆さん一度は生活習慣病、もしくは成人病という言葉を耳にしたことはあるのではないでしょうか?
食事や運動、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が深く関係し、それらが発症の要因となる疾患の総称です。
以前は年齢を重ねることで発症すると考えられていたため、成人病と呼ばれていました。
ですが子供であっても生活習慣によっては発症するとわかったため生活習慣病と呼ばれるようになりました。
しかし、一口に生活習慣病といっても様々な種類がございます。
なので本記事では下記のトピックについてお話していきます!
- 「生活習慣病にはどんな種類があるのか」
- 「日本人に多い生活習慣病とは」
- 「何が原因なの?」
- 「生活習慣病の予防検診について」
七大生活習慣病

まずは主な生活習慣病の種類から見ていきましょう。
- がん
- 心疾患
- 脳血管疾患
- 糖尿病
- 高血圧性疾患
- 肝硬変
- 慢性腎不全
1つずつ解説していきます。
がん
身体に異常な細胞の塊ができる病気です。
食事・運動・休養などの生活習慣ががんの発症と進行に関わる為、生活習慣病の1つに分類されています。
がんは完全な予防方法はまだ見つかっていませんが、健康的な生活習慣を身に着けることががん予防につながると考えられています。
心疾患
動脈硬化が進行すると引き起こされやすくなる狭心症や心筋梗塞といった病気の総称です。
狭心症は心臓の血管が狭くなり、血液の流れが悪くなった状態です。
心筋梗塞になると、血栓と呼ばれる血液の塊によって血管が完全に詰まり、血流が止まってしまうことで心筋の細胞が壊れてしまいます。
高血圧・肥満・高いLDLコレステロール値といった状態や、喫煙習慣も心疾患の要因の一つに挙げられます。
脳血管疾患
脳の血管の異常によって脳細胞が壊れてしまう病気の総称です。
出血性脳血管と虚血性脳血管疾患の2種類があり脳卒中とも呼ばれます。
高血圧・動脈硬化・喫煙が主な要因です。
糖尿病
血液中の血糖値が高くなりすぎてしまう病気です。
初期症状はあまりありませんが、3大合併症と呼ばれる「網膜症」「糖尿病性腎症」「神経障害」つながる場合もあります。
また、心疾患や脳血管疾患などのリスクも高まります。
高血圧性疾患
高血圧によって心臓や動脈に負担がかかり、障害が起きている状態です。
脳梗塞・脳出血・狭心症などのリスクが高まります。
塩分の過剰摂取・肥満・ストレス・運動不足の生活習慣が主な原因とされています。
肝硬変
肝臓の細胞が硬くなり、肝臓全体がこぶのように変化してしまう病気です。
腹水(お腹に水がたまった状態)・黄疸・吐血といった症状が出ます。
慢性腎不全
腎臓の機能が慢性的に低下する腎臓病の総称です。
糖尿病腎症・慢性糸球体腎炎・腎硬化症などが代表的です。
関連記事:メタボリックシンドロームの診断基準は?原因や改善方法を解説
日本人に多い生活習慣病とは

たくさんの種類があることがわかりましたが、では私たち日本人に多い生活習慣病はなんでしょうか?
それは「がん・急性心筋梗塞(心疾患)・脳血管疾患」で三大疾病と呼ばれており、日本人の死因50%を占めるほどです。
生活習慣病にかかりやすい人の生活習慣とは

「生活習慣病」の名前の通り生活習慣に偏りがある方がかかりやすい傾向にあります。
例えば毎日飲酒していたり、喫煙の習慣のある方や睡眠不足でストレスが溜まっている方です。
食事は体を作る大切なものですが、日々の食事が炭水化物や脂っこいものなどに偏っている方も要注意です。
運動する習慣がなく、運動不足になると代謝が落ち、肥満の原因となる場合もあります。
このような毎日の生活習慣による要因が組み合わさり、生活習慣病にかかりやすくなるのです。
関連記事:痛風の初期症状は足がピリピリ?一日で治る?どんな痛み?
生活習慣病の予防健診について

日本には「生活習慣病予防健診」という制度があり、全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)に加入している35歳以上の被保険者が受診できる健康診断です。
まず対象になる人は35歳~74歳の方です。
予防検診のメリットとしては下記のようなメリットが挙げられます。
- 検査項目が豊富(一般健診+α)
- 定期健康診断の代わりになる
- 自己負担が少ない
定期健診との一番の違いは「検査項目」です!
予防検診では定期健診では行わない「がん検査」などを行います。
人間ドックとの違いも検査項目の違いです。
人間ドックでは予防健診よりも詳細に検査することが可能です。
医療機関によっては生活習慣病予防健診の対象者向けのオリジナルの人間ドックコースを用意しているところもあります。
定期健診<予防健診<人間ドッグの順番で検査が詳細にできるようになります。
生活習慣病を放置する危険性について

生活習慣病の多くは自覚症状が無く、気付かないうちに進行していきます。
別名「サイレントキラー」と呼ばれ、ある日突然命に関わる疾患を引き起こすことがあります。
高血圧、糖尿病、脂質異常症などは心筋梗塞、脳梗塞、脳卒中などの血管性の病気へと進行しやすいのです。
関連記事:高脂血症になりやすい原因とは?脂質異常症との違いや治療について
生活習慣病を改善・予防する方法は?

生活習慣病を予防、改善するには生活習慣から見直す必要があります。
そのために30年以上前に行われた研究結果から生まれた「ブレスローの7つの健康習慣」というものがありますので、紹介いたします!
- 1.喫煙をしない
- 2.定期的に運動をする
- 3.飲酒は適量を守るか、しない
- 4.1日7~8時間の睡眠
- 5.適正体重を維持する
- 6.朝食を食べる
- 7.間食をしない
全国健康保険協会(協会けんぽ)からも生活習慣改善10か条もでています。
- 1.適度な運動
- 2.禁煙
- 3.塩分を控えめに
- 4.脂っぽい食事をさける
- 5.主食は肉よりも魚を心掛ける
- 6.野菜をたくさんとる
- 7.お酒はほどほどに
- 8.毎食後に歯磨きを
- 9.自分に合った方法でストレス解消
- 10.規則正しい睡眠で十分な休養を
と言われており、協会けんぽさんのサイトではより詳しく載っておりますので是非読んでみてください!
生活習慣改善10カ条 | 健診・保健指導 | 全国健康保険協会
生活習慣病の検査・治療なら千葉内科・在宅クリニックへ
千葉内科・在宅クリニックでは、生活習慣病の治療も行っております。
当院では特に高血圧症、糖尿病、脂質異常症を中心に治療を行っております。
採血検査や超音波検査、心電図検査で総合的な全身の身体診察が可能です。
患者様一人一人に合わせた治療をさせていただくことで症状改善へ向かえるよう治療を行います。
千葉県で急な往診は千葉内科・在宅クリニックをご利用ください
千葉内科・在宅クリニックでは、夜間休日の急な体調不良やケガの際にご自宅にお伺いして診察から処方までを行う夜間休日往診サービスを行っております。
ご自宅で待つことが出来るので、お困りの際はお気軽にご相談ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
生活習慣病は日々の食事や運動といったところから予防、改善が可能です。
大きく変えることは難しいものでも、ちょっとしたこと、例えば食事に野菜を取り入れてみる、晴れた日に歩いて買い物に行くなどできるところから始めてみる事でも大きく変わってくると思います。
何よりも続けていくことが大事です。
無理なく行っていくことが大切なので、自分の体と医師と相談しながら予防、改善していきましょう!
参考文献
生活習慣病の原因は? すぐに実践できる5つの改善方法を紹介いたします!|スマート脳ドック | 健康コラム
生活習慣病予防健診とは?受診するメリット・デメリットと人間ドックとの違い
アデノウイルスの症状とは?潜伏期間や感染経路について解説

毎年夏になると保育園や小学校で流行る「アデノウイルス」
名前を聞いたことはあるかと思いますが、発熱や咳、鼻水などの風邪症状以外にも様々な症状があるのはご存知でしょうか。
今回はアデノウイルスについて詳しく解説していきます。
アデノウイルスとは?

アデノウイルスとは、プール熱とも言われる咽頭結膜熱の原因ウイルスです。
多くの型があり、免疫が付きにくく型によって胃腸症状や眼の症状、呼吸器症状など様々な症状があり何回もかかることがあります。
季節としては6月頃から流行し始め、7.8月に感染のピークを迎えます。
関連記事:咽頭結膜熱(プール熱)ってどんな病気?大人もかかる?流行性角結膜炎との違いも解説!
アデノウイルスの症状

高熱
数日間37~39℃の間を上がったり下がったりする弛張熱が続きます。
熱の上昇に伴い、寒気や発汗も見られるため、安静にして体温管理を行うことが大切です。
喉の痛み
喉の腫れ(扁桃炎)や喉の痛み、炎症(咽頭炎)などを引き起こします。
そのため、飲み込みづらくなったり、声がかすれることもあり、こまめな水分補給を行い、のど飴や、うがいで痛みを和らげることがおすすめです。
また、重症化した場合、肺炎や気管支炎になることもあります。
結膜炎
ウイルスがついた手や指でこすることによっておこります。
結膜が赤くなり、目ヤニや目の充血、瞼の腫れなどを引き起こします。
悪化すると角膜という黒目の部分にまで炎症が進行し、痛みや目の異物感が出てきます。
目をこすらないように注意し、手洗いを徹底することが予防につながります。
咳や鼻水
風邪症状によくある咳や鼻水の症状もでることがあります。
解熱後、数日間咳が続く場合もあります。
症状が軽度であれば加湿器を使用して部屋の湿度を保ち乾燥から守ると良いでしょう。
消化器症状
下痢、嘔吐などの症状が出ます。
下痢の期間はウイルス性胃腸炎と比べ長いことがあります。
特に乳幼児に多くみられ、脱水症状に注意が必要です。
こまめに水分を補給し症状が長引く場合は医療機関を受診しましょう。
膀胱炎
頻尿、排尿時痛、血尿がでることがあります。
大体2~3日で症状が軽快し、尿所見も2週間以内には改善するといわれています。
痛みを伴い、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。
なかなか改善が見られない場合や、日常生活に支障をきたしている場合は早期に医師の診察を受け、適切な治療を行いましょう。
アデノウイルスの感染経路

咳やくしゃみなどの飛沫
咳やくしゃみによってウイルスが飛散し、吸うことで感染します。
アデノウイルスはアルコール消毒が効きにくいといわれているので、石鹼を使用した手洗いうがいやマスクの着用をして予防しましょう。
汚染物との接触
タオルなどの感染者が触れたもの、尿や便に出たウイルスが付着した手などを介して、目や口にウイルスが入ることによって感染します。
また、温泉施設などで感染することもあります。
感染者との密室での接触を避ける、タオルの共用を避け予防しましょう。
関連記事:【夏だけじゃない】プール熱の症状や流行時期、コロナとの違いについて
アデノウイルスの潜伏期間は?

ウイルスの型により異なりますが、大体2~14日と言われています。
プール熱(咽頭結膜熱)では5~7日、流行性角結膜炎では1週間以上の潜伏期間があります。
発症の2日前から他の人に感染するリスクが高く、発症してから数日間に強い感染力があります。
特に幼児や高齢者、免疫力が低下している人は感染リスクが高いため、手洗いや消毒などの基本的な感染予防対策が重要です。
アデノウイルスの検査方法

5~10分ほどで検査結果のわかる迅速抗原検査キットを使用します。
検体を採取する場所は喉の奥、糞便、目の結膜など症状に応じて変わります。
アデノウイルスに効果のある薬はありませんので、対処療法となります。
発熱に対しては解熱鎮痛剤、咳や鼻水などに対しても症状を和らげる薬を内服し、自宅で安静に過ごしましょう。
関連記事:ヘルパンギーナとは?症状や潜伏期間について徹底解説
アデノウイルスは大人も感染する?

大人にも感染します。
アデノウイルスは感染力が強く、家庭内で感染が広がるケースも多い感染症です。
高齢者が感染すると重症化するリスクが高くなり、細菌感染が併発しやすいです。
家庭内での感染を広めない為にも手洗いうがい、タオルや食器などの共有を避けるなどをして予防しましょう。
アデノウイルスに感染したら保育園は出席停止になる?

感染した場合、保育園や学校に登園、登校することはできません。
期間は以下のとなります。
- プール熱(咽頭結膜熱):症状がおさまってから2日
- はやり目(流行性角結膜炎):症状がおさまってから登園、登校可能
登校許可証については法律では定められておらず、学校によってルールが異なります。
提出が不要なところもあれば、医師の記入が必要な場合など様々あるので、通っているところに確認しましょう。
関連記事:熱が上がったり下がったりする原因や対処法を大人と子供に分けて解説
千葉内科・在宅クリニックでできる対応
当クリニックでは、ほかの感染症の可能性がないかなども含めて診察をおこないます。
アデノウイルスの迅速検査キットもご準備しておりますので、感染が心配な場合はお気軽にご相談ください。
アデノウイルスのまとめ
今回はアデノウイルスについて解説しました。
アデノウイルスは感染力が強く、飛沫を吸い込んだり、体の粘膜に触れたりすること感染します。
日頃から手洗いやうがいなどをこまめに行い予防していきましょう。
お困りの場合はお気軽に千葉内科・在宅クリニックへご相談ください。
大塚製薬|アデノウイルス
横浜こどもクリニック|子どもの病気
LASR|アデノウイルス感染対策
かわかみ整形外科・小児科クリニック|小児科医の豆知識
健栄製薬|アデノウイルスは大人も感染する?症状や予防方法を解説
勝どきみなみクリニック|のどの病気
末期がんによく見られる症状とは?急に悪化するのは死の兆候?

末期がんの患者様が最後の数か月(2~3ヶ月)の間に経験する可能性がある症状は多岐にわたります。
がんの種類、がんが体のどの部分に影響を及ぼしているか、および患者様の全体的な健康状態によって異なります。
今回は、末期がんによくみられる症状や、症状の経過、がんの種類による違いなどについて詳しく解説していきます。
末期がんによくみられる症状
末期がんの患者様が最後の2~3ヶ月の間に経験する可能性がある症状は多岐にわたります。
これらの症状は、がんの種類、がんが体のどの部分に影響を及ぼしているか、および患者様の全体的な健康状態によって異なります。
以下に、一般的な経過として見られる症状を時系列に沿って説明しましょう。
なお、この説明は一般的な傾向に基づいており、個々の患者様の状況によって異なることをご理解ください。
末期がんの一般的な症状の経過
初期段階(約2~3ヶ月前)

- 疲労感
極度の疲労や体力の低下が見られます。
少しの活動(立ったり、歩いたり)でも疲れやすくなります。 - 食欲不振
食べることに対する興味が減少し、徐々に体重が減り、痩せていきます。 - 痛み
がんの進行によって新たな痛みが現れるか、現在の痛みがさらに悪化することがあります。 - 呼吸困難
肺や周囲の組織にがんが広がっている場合、呼吸困難の症状が出現し呼吸がしにくくなることがあります。
中期段階(約1~2ヶ月前)

- 意識の変化
寝ている時間が長くなったり、意識が朦朧とする時間が増えたりします。 - 浮腫の増悪
足や腹部に浮腫ができ始め、体動困難や不快感を引き起こすことがあります。 - 皮膚の変化
黄疸や皮膚の色素沈着など、皮膚に変化が見られることがあります。
末期段階(最後の数週間)

- 意識レベルの低下
患者様は大半の時間を眠って過ごし、起きている時も反応が鈍くなります。
摂食・摂水の困難: 飲み込む力が弱まり、食事や水分の摂取が困難になります。 - 呼吸パターンの変化
呼吸が徐々に不規則になり、無呼吸の時間が伸びたり、「チェーンストークス呼吸」と呼ばれる呼吸パターンが見られることがあります。
診断されてからの平均余命は?
末期がん(治療不可能ながん)の患者様の平均余命は、以下などの多くの要因によって大きく異なります。
- がんの種類
- がんの進行度
- 患者さんの一般的な健康状態
- 利用可能な治療法や緩和ケアの対応
そのため、一概に「すべての末期がん患者の平均余命はこれだ」と示すことは困難です。
関連記事:悪性腫瘍ってなに?がんも含まれる?それぞれの症状や種類、特徴について
がんの種類による違い

各種がんにおける進行段階や治療の応答性には大きな差があり、それによって余命も大きく異なります。
例えば、進行した肺がんや膵臓がんの患者様は、比較的短い平均余命を示すことが多いです。
一方で、乳がんや前立腺がんのように、比較的治療の選択肢が多く、ある程度の期間、病状の管理が可能な場合もあります。
以下に末期がんと診断された場合の癌の種類それぞれの平均的な余命を記載します。(個人差があります。)
- 進行性非小細胞肺がん
余命は数ヶ月から1年未満の場合が多いです。 - 膵臓がん
末期の場合、平均余命は数ヶ月とされます。 - 進行性肝臓がん
余命は数ヶ月から1年程度です。 - 進行性膠芽腫(脳腫瘍)
数ヶ月から1年程度の余命となることが一般的です。
緩和ケアの役割

末期がん患者様にとって、緩和ケアは症状の管理と生活の質の向上を目的として重要です。
緩和ケアが適切に提供されることで、痛みや呼吸苦などの他の症状が軽減され、患者様とその家族の精神的なサポートが行われます。
これにより、患者様の余命が延長する可能性もありますが、主に生活の質(QOL=Quality of life)の改善に焦点を当てています。
末期がんと診断されたら?
末期がんと診断された際には、患者様とその家族は多くの選択肢を検討・考慮する必要があります。
治療の目標は、生存期間の延長、症状の緩和、生活の質の向上など、患者様の希望や状態に応じて異なります。
主な選択肢には以下などがあるでしょう。
- 諦めず治療を継続する
- 緩和ケアへ移行する
- ホスピスケアを受ける
ここではそれぞれのその概要を説明します。
諦めず治療を継続する

末期がんであっても、先進的な治療を選択することは可能です。
これには、がんの進行を遅らせるための化学療法、放射線療法、標的療法、免疫療法などが含まれます。
治療を継続する目的は、可能な限り生存期間を延長することや、症状を管理して生活の質を維持することにあります。
しかし、これらの治療は様々な副作用が伴うことが多く、治療の利益とリスク(メリットとデメリット)を慎重に検討する必要があるでしょう。
緩和ケアへ移行する

緩和ケアは、末期がん患者様の痛みや他の症状を管理し、患者様とその家族に精神的、社会的サポートを提供することに焦点を当てたアプローチです。
緩和ケアの目的は、治療による延命ではなく、患者様の生活の質を最大限に向上させることにあります。
緩和ケアは、以下で受けることができます。
- 病院
- 緩和ケア専門施設
- 在宅
緩和ケアチームは、痛みや不快感の管理、心理社会的な支援、終末期の計画など、患者様とそのご家族様の包括的なニーズに対応します。
ホスピスケアを受ける

ホスピスケアは、余命が限られている患者様に対して、緩和ケアの原則に基づいたサポートを提供するサービスです。
ホスピスケアは、治療の目的が延命ではなく、患者様の残された時間をできるだけ快適に過ごすことに重点を置いています。
ホスピスケアは、病院のホスピス病棟、ホスピス専門施設、または患者様の自宅で提供されることが多く、痛みや不快な症状の管理、心理的・精神的な支援、家族へのケアなどを含みます。
また、ホスピスケアチームには、医師、看護師、社会福祉士、精神的支援を提供する専門家など、多職種のスタッフがいます。
これらの選択肢は相互に排他的ではなく、病状の進行に応じて、治療方針を調整することが可能です。
例えば、先進治療を試みた後に、緩和ケアやホスピスケアに移行することも一般的です。
重要なのは、医療従事者が十分な情報とサポートを提供し、患者様とその家族が患者様の価値観や希望に最も合致した選択を行えるようにすることでしょう。
関連記事:肺がんの気をつけてほしい初期症状や原因、ステージ(進行度)について
末期がんと診断されても生還するケースもある

末期がんと診断された患者様が完治したり、長期生存するケースは非常にまれですが、例外的なケースは存在します。
これらのケースはしばしば「奇跡的な回復」と呼ばれ、医学界では詳細な研究の対象となっています。
完治や長期生存が報告されるケースは、特定のがんの種類、個人の免疫反応、新たな治療法(治験)の奏功、または他の未解明の因子によるものかもしれません。
エビデンスと説明
免疫療法と長期生存者
最近の研究で、特定の免疫療法が末期がん患者において長期生存をもたらす可能性があることが示されています。
例えば、メラノーマ(皮膚がん)患者を対象とした免疫チェックポイント阻害剤の使用は、一部の患者において長期的な利益をもたらしました。
参考文献
Schadendorf D, Hodi FS, Robert C, et al. Pooled Analysis of Long-Term Survival Data From Phase II and Phase III Trials of Ipilimumab in Unresectable or Metastatic Melanoma. J Clin Oncol. 2015;33(17):1889-94.
高度個別化治療
遺伝子プロファイリングを利用した高度に個別化された治療戦略が、特定の末期がん患者において驚くべき反応を示した事例が報告されています。
これらのアプローチは、がんの遺伝的特徴に基づいて最適な治療法を選択することを可能にします。
参考文献
Le Tourneau C, Delord JP, Gonçalves A, et al. Molecularly targeted therapy based on tumour molecular profiling versus conventional therapy for advanced cancer (SHIVA): a multicentre, open-label, proof-of-concept, randomised, controlled phase 2 trial. Lancet Oncol. 2015;16(13):1324-34.
上記なような例外的な症例もありますが、末期がんと診断された多くの患者様は、病気が治ることはなく、治療の主な目的は症状の緩和と生活の質の向上になります。
しかし、新しい治療法の開発と臨床試験により、末期がん患者様の治療選択肢は増加しており、一部の患者様にとっては長期生存の可能性が向上しています。
これらの例外的なケースは希望を提供しますが、全ての患者様に当てはまるわけではないため、治療計画は個々の患者様の状況に応じて慎重に検討する必要があるでしょう。
関連記事:胃がんの症状は胃炎や胃潰瘍と似ている?【早めの検診を】
がんの検査・治療なら千葉内科・在宅クリニックへ
千葉内科・在宅クリニックでは即日で検査結果をお伝えできる最新の血液検査機器のドライケムを導入している他、超音波機器・心電図機器等を導入しており、検査を受けたその日に検査結果をお伝えさせていただけます。(一部の特殊検査を除く)
検査結果で異常を認めた際には、追加で精密検査や診察を受けていただく為に、専門機関や医療機関へ情報提供を行い、紹介受診をしていただくことが可能です。
お困りの際は、是非お気軽にお問い合わせください。
まとめ
今回は、末期がんによくみられる症状や、症状の経過、がんの種類による違いなどについて解説しました。
いかがでしたでしょうか?
近年では医学が進みがんを患い、克服してがんになる前と同じように生活ができる方も多くなりました。
しかし、まだまだがんを患い亡くなってしまうことも多くあります。
がんを患ってしまった方が最後まで自分らしく生活を送れるように緩和ケアやホスピスなどがあります。
治療し続けることも重要ですが、治療で様々な副作用が現れるため、治療を続けるメリットやデメリット、緩和ケアやホスピスへ移行することなども患者様ご本人様や、ご家族様も含めしっかりと話し合いを行っていくことが大切です。
がんの治療や、末期がんの最期の過ごし方など、何かお困りのことがありましたらお気軽にご相談ください。
流行中?麻疹(はしか)ってどんな病気?治療や予防方法は?

こんにちは!千葉内科・在宅クリニック 院長の辺土名(へんとな)です。
少し前からニュースやSNSなどでも話題になっている麻疹ですが、みなさんは麻疹についてご存知ですか?
麻疹は、パラミクソウイルス科に属する麻疹ウイルスによって引き起こされる急性の感染症で、全世界で発生しています。
麻疹は空気感染するため、感染力が非常に強く、免疫を持っていない人がウイルスにさらされるとほぼ100%の確率で感染します。
麻疹(麻しん・はしか)とは?

麻疹ウイルスによって引き起こされるこの病気は、高い感染力を持ち、空気を介して容易に伝播します。
感染者の咳やくしゃみによって放出された微小な飛沫を他の人が吸い込むことにより感染します。
*5類感染症全数把握疾患ですが、診断後は直ちに届出が必要です。
*第2種学校感染症に指定されており、解熱後3日経過しないと登校できません。
症状と診断方法

麻疹の主な症状
①特徴的な二峰性の高熱
主に空気感染により感染します。
約12日間の潜伏期の後に、カタル期→発疹期→回復期と推移していきます。
二峰性の発熱を呈し,一峰目の終わりごろに出現するKoplik斑(口の中に出来る白い斑点)と二峰目と同時に出現する融合性発疹(発疹どうしがつながっていく状態)が特徴的です。
※二峰性とは、時間の経過に伴い病状が2つの高まりを持つことを指す

②咳、鼻水などの風邪症状と結膜炎(目が赤くなる)
③特徴的な全身に広がる赤い発疹
二峰目の発熱の際に頭頸部(目・脳を除く首から上の部位)から始まり、全身に広がる丘疹性紅斑を生じます。
*発疹は融合性があり、消退後はしばらく色素沈着が残ります。
④Koplik(コプリック斑)
頬粘膜に数個〜数十個出現する、紅暈を伴うミルクかす様の白色粘膜疹
などがあります。
診断方法
主に医師の診察により、臨床的診断を行います。
確定診断は、ウイルス分離法やウイルス遺伝子の検出(PCR法など)、血清学的検査(EIAなど)などを行います。
予防接種が必要な理由

麻疹は非常に感染力が強く、合併症を引き起こす可能性がああります。
重症化すると命に関わることもあります。
合併症には中耳炎や喉頭炎、肺炎、脳炎、そして亜急性硬化性全脳炎(SSPE)などがあります。
これらのリスクを避けるために、予防接種が非常に重要です。
MR(麻疹・風疹)ワクチンによる予防接種が推奨されています。
年齢別の対応

日本では、生後12ヶ月頃に1回目、1歳6ヶ月から2歳までの間に2回目のMRワクチン接種が推奨されています。
これにより、麻疹に対する免疫が得られ、集団免疫の構築にも寄与します。
生後6ヶ月までは母体からの受動免疫により罹患しないことがわかっています。
予防方法

麻疹はとにかく予防が大切です。
私たちにできることは
①MRワクチンの接種
②手洗いや咳エチケットなどの基本的な感染予防措置
③麻疹患者との接触を避ける
以外にはありません。
流行中は人混みをなるべく避けて生活するようにしましょう。
治療法

麻疹の治療に関しては、特異的な抗ウイルス治療法は存在しません。
したがって、治療は主に対症療法に基づいており、患者の症状を軽減し、合併症のリスクを最小限に抑えることを目的としています。
高熱に対しては解熱剤などを使用、十分な休養と水分補給が推奨されます。
解熱剤
発熱に対しては、アセトアミノフェン(カロナール)やイブプロフェンを使用して体温を下げることが推奨されます。
アスピリンはライ症候群のリスクがあるため、子供には推奨されません。
水分補給
高熱や発疹による体液の喪失に対処するため、十分な水分補給が重要です。
安静
充分な休息が回復には有効です。
合併症の管理

抗生物質
麻疹による二次的な細菌感染(例えば、肺炎や中耳炎)が疑われる場合には、適切な抗生物質が処方されることがあります。
ビタミンA補給
重症麻疹患者や合併症のリスクが高い患者(特に栄養不良の子供)に対して、ビタミンAの補給が推奨されます。
ビタミンAは、麻疹による重篤な合併症や死亡リスクを減少させることが示されています。
※ビタミンA補給のエビデンス
世界保健機関(WHO)によると、ビタミンAの補給は、麻疹による死亡率を最大50%まで減少させる可能性があるとされています。
特に発展途上国において、ビタミンA補給は麻疹の重篤な合併症を減少させるための重要な介入とされています(WHO, “Measles vaccines: WHO position paper”, 2017)。
合併症が発生した場合は、それに応じた治療が必要になります。
麻疹ワクチンは高い効果を持ち、WHO(世界保健機関)も麻疹撲滅のためにワクチン接種を推奨しています。
日本では、麻疹を含む感染症の予防接種は、予防接種法に基づいて実施されています。
接種率の向上により、麻疹の発生率は大幅に低下しています。
しかし、世界的にはまだ麻疹が流行している地域があり、感染予防とワクチン接種の普及が重要とされています。
この情報は、医学界で広く認められている知見と、世界保健機関などの公的機関からのガイドラインに基づいています。
医療提供者や公衆衛生の専門家は、麻疹の予防と管理に関して最新のエビデンスに基づいた情報を提供し続けることが重要です。
千葉内科・在宅クリニックでできること

当院では麻疹に対して医師の診察の後に診断を行い、適切な治療をさせていただきます。
急な体調不良に対しても連携している家来るドクターでご対応可能です。
体調不良でお困りの際は千葉内科・在宅クリニックへお気軽にお問い合わせください。
大人が溶連菌にかかるときつい?気づかず放置は危険?

溶連菌と聞くと主にお子さんがかかる病気のイメージですが、実は大人にも感染します。
今回は、そんな溶連菌感染症についての概要や症状、大人がかかった場合のリスクなどについて解説していきます。
溶連菌感染症とは

溶連菌感染症は、A群β溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)によって引き起こされる感染症です。
この菌は、以下などさまざまな疾患の原因となります。
- 咽頭炎(のどの痛み)
- 扁桃炎
- 猩紅熱(しょうこうねつ)
- 皮膚感染症(とびひ)
- リウマチ熱
特に子どもに多い感染症ですが、成人も感染する可能性があります。
流行時期は主に11~4月です。
感染経路は、以下の2種類があり、2~5日程の潜伏期間を経て発症します。
- 飛沫感染
咳やくしゃみなどから感染する - 接触感染
皮膚と皮膚が触れたり感染者が触れたものから感染する
一般的には2~10歳ごろのお子様の感染が多く、大人へも感染します。
一度感染しても、繰り返し感染しますが、抗生剤の服用から24時間で感染力がほとんどなくなります。
治療は抗生剤の服用になりますので、正しい容量・用法で処方された薬を飲み切ることが大切です。
溶連菌の症状

では次に、溶連菌感染症の症状について詳しく解説していきます。
主な症状として以下などが挙げられます。
- 急性咽頭炎および扁桃炎
- 猩紅熱(しょうこうねつ)
- とびひ
- 丹毒
- 劇症型溶連菌感染症
それぞれの症状の特徴について解説しましょう。
急性咽頭炎および扁桃炎
溶連菌感染症は喉の痛みが代表的な症状です。
喉が赤く腫れ、扁桃腺に白い膿がみられることがあります。
また、溶連菌感染症の特徴として舌の表面が赤いブツブツした状態(苺舌)になります。
猩紅熱(しょうこうねつ)
全身に赤い発疹ができることがあります。
発熱・のどの痛みとほぼ同時期に発疹が出始めます。
発疹は小さな点状のものから栗粒ほどの大きさで、小さく盛り上がった状態です。
首や、わきの下、足の付け根から出始め、全身へと拡大していきます。
とびひ
とびひは主に黄色ブドウ球菌によって起りますが、溶連菌によって起こることもあります。
虫刺されや、ケガの傷口から溶連菌が入り発症します。
水ぶくれが途中から膿を持ち、破れて皮膚がめくれ、ただれた状態なりかさぶたへと進行していきます。
溶連菌が原因のとびひの場合、かさぶたの状態でも中に生きた菌がいる状態なので感染力があり注意が必要です。
丹毒
溶連菌が毛穴に感染するとおでき(丹毒・面疔)が顔や手足にできる場合があります。
おできに触れると強い痛みがあります。
また、高熱や全身の倦怠感などの症状を伴います。
劇症型溶連菌感染症
劇症型溶連菌感染症とは、溶連菌が傷口や粘膜から通常菌の存在しない筋肉や脂肪組織、血液に侵入し発症します。
初期症状は、発熱、手足の痛み程度ですが、致死率30%、発症すると筋肉周辺が壊死してしまうことから「人食いバクテリア」とも呼ばれています。
日本でも毎年100〜200名ほどの患者数が報告されています。
溶連菌の症状の順番や経過

溶連菌感染症の主な症状の経過について解説していきます。
2~5日程度の潜伏期間の後に、急な発熱と、のどの痛み、倦怠感などが出ます。
個人差はありますが、同時に嘔吐を伴う場合もあるでしょう。
少し遅れて、発疹や、イチゴ舌の症状が出ます。
通常、抗生剤を服用することで1~2日程度で症状は速やかに消失します。
しかし、中途半端に治療を行うと後述するさまざまな合併症を引き起こす可能性があるため、抗生剤の服用期間は抗生剤の種類にも左右されますが、通常7~10日間の服用が推奨されています。
溶連菌の合併症

抗生剤の服用で症状はすぐによくなるので、薬を飲まなくなってしまったり、そもそも治療を行わなかった場合様々な合併症を引き起こすことがあります。
代表的な合併症は以下の通りです。
- リウマチ熱
- 急性糸球体腎炎
- 結節性紅斑
- 肺炎
- 蜂窩織炎(ほうかしきえん)
- 敗血症
- 髄膜炎
それでは、以下で溶連菌感染症が引き起こす合併症について解説していきます。
リウマチ熱
関節痛、発熱、胸痛、動悸や、本人の意思と関係なくけいれんのような症状、発疹、皮膚下の小さなこぶなどの症状が組み合わさって現れます。
溶連菌に感染してから10日~数週間の後に発症しますが、しっかりと治療を行えば0.02%程度まで発症を抑えられます。
急性糸球体腎炎
以下などの症状が出ます。
- まぶたの腫れ
- 高血圧
- 血尿
- 顔色が悪い
- まぶたや足のむくみ
また、ひどい場合には全身のむくみなどの症状が出ます。
急性糸球体腎炎の原因菌として溶連菌が最も多く特定の株に感染した後10~15%程度の確率で引き起こされます。
こちらもしっかりと治療を行えば、発症を抑えることのできる病気です。
治療には1ヵ月程度の入院と、1年程度の通院が必要となりますので、しっかりと溶連菌を治療し発症を抑えたいですね。
結節性紅斑
結節性紅斑の症状として以下などが生じます。
- 皮膚の赤い斑点
- 発熱
- 倦怠感
- 関節痛
赤い斑点は主にひざ下~くるぶしに生じやすく、足の裏に出る場合もあります。
押すと痛みを感じる他、赤いふくらみ、青あざなどが出ます。
治療をしない場合も3~6週間程度で消失はしますが、痛みがあるため痛み緩和のため、 冷シップや非ステロイド系炎症薬などを使用し、安静にしたり、足を上げたりします。
肺炎
溶連菌が直接呼吸器系統に感染を引き起こしたり、症状が進行し呼吸器に広がったりして肺炎を引き起こす可能性があります。
主に以下などの症状がでます。
- 発熱
- 咳
- 呼吸困難
- 胸痛
- 全身の倦怠感
溶連菌に対して効果のある抗生剤の使用や、対処療法などを行い治療を行います。
蜂窩織炎(ほうかしきえん)
蜂窩織炎の主な症状としてなどのがあります。
- 局所的な赤み
- 熱感
- 腫れ
- 痛み
悪化してしまうと発熱、悪寒などの症状が出る場合もあります。
蜂窩織炎を放置すると重症化してしまい、菌血症や敗血症を生じる場合もあります。
蜂窩織炎は細菌感染症です。
溶連菌の治療と同じく抗生剤を使用し治療を行います。
通常5~14日程度の治療を行い、状態を見ながら治療期間を決定していきます。
敗血症
初期症状として以下などの症状が出ます。
- 咽頭痛
- 発熱
- 食欲不振
- 吐き気
- 嘔吐
- 下痢
- 全身の倦怠感
- 低血圧
発症すると数日以内に血管や神経などが壊死し、様々な臓器に障害を起こし、ショック症状になり死亡してしまうことがあります。
そのため、早期発見・治療がとても大切です。
髄膜炎
発熱、頭痛、下を向きにくくなるなどの症状が出ます。
また、髄膜炎患者のうち75%以上に意識障害がみられます。
この意識障害は様々で、ぼや〜っとしている状態から、全く意識のない昏睡状態まであります。
大人が溶連菌にかかるときつい?

子どもに多いイメージの強い溶連菌感染症ですが、先述した通り大人にも感染します。
大人の症状として以下などがあります。
- 発熱(38度以上)
- 頭痛
- 唾の飲み込み際の喉の痛み
- 全身の倦怠感
- 扁桃腺が腫れ、白っぽい膿がみられる
- 関節痛
- 発疹
子どもと同じように抗生剤の服用で2~3日程度で症状は改善されます。
しかし、溶連菌感染症はきちんと治療を行わないと先ほど解説したような合併症を引き起こすため注意が必要です。
合併症の中には命を脅かすようなものもあるため、溶連菌感染症だからといって甘く見ずに医師の指示に従ってしっかりと治療を行いましょう。
また、溶連菌感染症は非常に感染力の強い疾患です。
抗生剤を服用し、症状が落ち着くまでは職場の復帰もやめておきましょう。
溶連菌の治療方法

溶連菌感染症の治療では、主にペニシリン系抗生剤(ワイドシリン・サワシリン・パセトシンなど)を使用します。
お腹がゆるくなりやすいため、整腸剤の処方も必要に応じ行います。
服用後24時間以内に感染力は弱まりますが、合併症を予防するためにも5日〜2週間程度、抗生剤の服用が必要です。
途中で服用をやめてしまったり、全く治療しない場合、合併症を引き起こしやすくなります。
溶連菌かも?と思ったら千葉内科・在宅クリニックへご相談ください
当クリニックでは、溶連菌感染症の迅速検査キットをご用意しています。
迅速検査キットは、のどの奥を綿棒で拭い取り検査を行います。
10分程度ですぐに結果が出ますので、溶連菌かも?と思われる場合は一度お気軽にご相談ください。
また、とても感染力の強い感染症ですので、学校や職場などをお休みしていたとしても家族内で感染してしまうことがあります。
そういった場合も、ご家族様もご一緒に診察・検査を行えます!
まとめ
今回、溶連菌感染症についての概要や症状、大人がかかった場合のリスクなどについて解説しました。
溶連菌感染症はよく耳にされる方も多い感染症だと思います。
よくある感染症だからこそ軽く見てしまいがちですが、実は様々な合併症を引き起こす可能性があるので注意が必要です。
合併症を引き起こさないためにも、充分な治療が必要になります。
お困りの場合はお気軽に千葉内科・在宅クリニックへご相談ください。
また、当クリニックはオンライン診療も行っております。
ビデオ通話を通じて診察からお薬の処方まで可能です。
溶連菌の検査はできないですが、医師の判断によってはお薬の処方や外来の病院への紹介状を作成いたします。
参考文献
溶連菌の潜伏期間は?感染したら出席停止?

こんにちは!千葉内科・在宅クリニック院長の辺土名です!
最近寒くなってきて、体調崩される方も多く、当院も発熱患者さんの受診が目立っています。
その中でも最近増えているのが、溶連菌感染症の患者さんです。
よく溶連菌と聞くけど実際はどんな病気なのか、説明していきます。
溶連菌はどんな病気?
溶連菌とは、溶血性連鎖球菌と呼ばれる細菌で、その細菌が主にのどに感染し、熱が出たり・のどが痛くなったりする病気です。
場合によっては、体や手足に発疹が出たりします。
特徴としては、一般的に言われるカゼとは違い、咳や鼻水の症状は出ません。
また、舌が赤く、ぼつぼつしてきます。
扁桃にも膿がつきかなり赤くなります。
出血斑といわれる赤いぼつぼつがのどの奥にみられたり、首のリンパ節が晴れることも多いです。

高熱が出ている期間は、他者への感染力も強いです。
主な感染経路は飛沫感染といわれており、日常生活で出る咳やくしゃみによって感染するケースが多くみられます。
子どもがかかるイメージが強いですが、大人も感染します!
大人の場合は、初期症状で頭痛が出ることも多いので注意が必要です。
溶連菌のピークは、春~夏、冬になります!

関連記事:大人が溶連菌にかかるときつい?気づかず放置は危険?
溶連菌の潜伏期間は?
潜伏期間は2~5日と言われています。
急性期の感染力はとても強く幼稚園や保育園などで流行します。
溶連菌の症状は?

症状は、前述した
・発熱(3歳未満はあまり上がらない場合もあり)
・体や手足に小さな赤い発疹
・舌に赤いぶつぶつ(イチゴ舌)
・のどの痛み
・リンパの腫れ
・腹痛や嘔吐などの消化器症状
急性期を脱すると
・落屑(らくせつ‐白い細かなかさぶたのようなものが剥がれ落ちる)
が認められます。
関連記事:【うつる病気】子供から大人まで気をつけてほしい溶連菌感染症の症状や治療について
溶連菌で起こりうる合併症

溶連菌の一番怖いところは合併症です。
合併症としては、心臓弁膜に障害などを起こすリウマチ熱や、急性糸球体腎炎などにつながることがあります。
合併症を起こさないためにも、医師の処方通りに抗生剤を飲み切ることが一番大切なことになります!
溶連菌だと出席停止?学校はいつから行ける?

子どもさんが多くかかる病気なので
気になるのはいつから学校にいけるのか、、、ですよね。
日本小児科学会の解説では
「適切な抗菌薬による治療開始後24時間以内に感染力はなくなるため、それ以降の登校(園)は可能である」
とされています。
なのでお薬を内服し始めてから、24時間経過していれば出席可能となります!
溶連菌の検査・治療なら千葉内科・在宅クリニックへ
溶連菌に関しては、現在検査キットが不足しており、身体診察での診断を当院では行っております。
喉の状態や、胸の音などを診て、溶連菌かどうか確かめます。
検査をご希望の場合は直接クリニックへお問合せください。
千葉県で急な往診は千葉内科・在宅クリニックをご利用ください
千葉内科・在宅クリニックでは、夜間休日の急な体調不良やケガの際にご自宅にお伺いして診察~処方までを行う夜間休日往診サービス・オンライン診療を行っております。
往診サービスは医師がご自宅にお伺いして処方までを行うことができます。
オンライン診療はビデオ通話を用いて診察から処方まで行います。
お身体の事でお困りの際はお気軽にご相談ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
昨年末から溶連菌に感染する患者様が多くなってきています。
さらに、インフルエンザ、新型コロナウイルスなどの患者様も多くいらっしゃいます。
何かいつもと体調が違うな?と異変を感じて不安な場合はお気軽にご相談ください。
参考文献
キッズドクター|子どもが溶連菌に感染したら、家族は仕事を出勤停止になる?隔離期間は?
CLINIC+|溶連菌感染症ってどんな病気?合併症にも注意が必要
にのみや小児科・ひふ科|溶連菌感染症
土浦協同病院 なめがた地域医療センター|溶連菌感染症
塩野義製薬株式会社|こどもに多いのどの病気 溶連菌感染症のおはなし
MYメディカルクリニック|大人も気をつけて!溶連菌感染症
関連記事:感染症の分類や種類を簡単解説|なぜコロナは5類になったの?
関連記事:【喉の痛みや熱】子供が溶連菌感染症になったときはどうする?学校や保育園は休むべき?
関連記事:発熱の基準は何度から?外来に行くべき目安やよくある症状を解説