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褥瘡はどこにできやすい?好発部位と在宅でできるケア方法

褥瘡(じょくそう/床ずれ)は、高齢者・寝たきりの方・介護が必要な方に非常に多い進行性の皮膚疾患です。

介護の現場では、

  • 「赤いだけだから大丈夫だと思った」
  • 「傷になってから気づいた」

という声をよく耳にします。

しかし褥瘡は、【皮膚の表面ではなく“内側(皮下組織・筋肉)から壊れていく病気】です。

見た目以上に深刻な状態が隠れていることも多く、早期の医療介入が予後を大きく左右します。

この記事では、医師の立場から、「なぜできるのか」「どこにできやすいのか」「家庭で何をすべきか」「いつ医療につなぐべきか」を、医学的根拠に基づいて解説します。

褥瘡ができやすい部位(好発部位)

褥瘡は、骨が皮膚のすぐ下にあり、体重や圧力が一点に集中しやすい部位に発生します。

仰向け(背臥位)で多い部位

  • 後頭部:高齢者は皮下脂肪が薄く注意
  • 肩甲骨:ベッドとの接触が持続しやすい
  • 仙骨部(お尻の上):在宅褥瘡で最も多い
  • 踵(かかと):接地面が小さく圧が集中

仙骨部と踵は、毎日必ずチェックしてください。

横向き(側臥位)で多い部位

  • 耳(枕との接触)
  • 大転子(太ももの付け根外側)
  • 膝の内側
  • 外くるぶし

横向きは楽に見えますが、体重が一点に集中し、深部組織損傷(DTI)を起こしやすい姿勢です。

座位(車椅子・椅子)で多い部位

  • 坐骨(お尻の下)
  • 尾骨
  • 背中(長時間もたれた場合)

「座れている=安全」ではありません。

車椅子利用者の褥瘡は発見が遅れ、重症化しやすい傾向があります。

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褥瘡ができる原因

褥瘡は、局所の皮膚トラブルではなく全身状態を反映する疾患です。

圧力が長時間かかる

一定時間同じ姿勢が続くと、皮膚と骨の間の毛細血管が圧迫されます。

一般的に2時間前後が目安とされますが、状態によってはより短時間でも血流障害が起こるため、長時間同じ姿勢で過ごすのは注意が必要です。

摩擦・ずれ(シアー力)

ベッド上でずり下がったり、体位変換時に引きずるなど摩擦やずれが加わることで褥瘡が出来やすくなります。

表面は軽く見えても内部は重症ということがあるため注意が必要です。

湿気・汗・失禁

おむつや汗、尿・便失禁などによる蒸れから褥瘡が生じることがあります。

局部の湿潤状態が長時間続くことで、皮膚バリアが低下し、少しの圧でも褥瘡が発生します。

血流低下・全身状態の悪化

血流の低下することで、皮膚や組織に十分な栄養を届けることが出来ず褥瘡が出来やすくなります。

脱水や低血圧、心不全、糖尿病、動脈硬化はどれも血流低下につながります。

栄養状態の低下

特に重要なのがたんぱく質を中心とした栄養不足です。

食事量の低下や体重減少がみられる場合、皮膚や筋肉の修復に必要な栄養が不足することで傷が治りにくくなります。

また、栄養状態の指標の一つであるアルブミン値が低い場合も、褥瘡の傷が治りにくくなります。

関連記事:心不全について!もしものために知っておきたい心不全の種類や症状、治療について

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褥瘡のステージ分類

褥瘡は、皮膚や組織の損傷の深さによってステージⅠ〜Ⅳに分類されます。

ステージが進むほど損傷は深くなり、治療や管理も難しくなります。

分類皮膚の状態特徴
ステージⅠ発赤がみられる赤みや熱感などの初期サイン
ステージⅡ表皮から真皮の浅い部分が損傷水疱や浅い潰瘍
ステージⅢ皮下組織まで損傷脂肪層が見える深い潰瘍
ステージⅣ骨や筋肉まで損傷深い潰瘍や壊死

一方で、上記ステージ分類だけでは判断できないケースとしてDTIがあります。

DTI(深部組織損傷)

DTI(深部組織損傷)は、皮膚表面の変化が軽度(赤みがある、熱を持っているなど)に見えても、内部の筋肉や脂肪組織が損傷している状態です。

数日で一気に悪化することもあるため、早期診断が不可欠です。

見た目だけで褥瘡の重症度を判断せず、医師の診断を受けましょう。

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褥瘡を予防する方法

体圧分散

褥瘡予防で最も大切なのは、同じ部位に圧がかかり続けないよう体位を変えることです。

2時間前後を目安に体位を変えることが推奨されます。

エアマットレスやクッションなどを使用することで、体にかかる圧を分散しやすくなります。

「当たらない」「押さない」「浮かせる」を基本として体圧を分散させましょう。

清潔保持+保湿

皮膚を清潔に保つことも褥瘡予防では重要です。

汗をかいたときや失禁があった場合、できるだけ早く対応し、皮膚が湿った状態が長時間続かないようにします。

皮膚を清潔にした後は保湿剤を使用し皮膚のバリア機能を保つようにしましょう。

ただし、洗いすぎは皮膚バリアを低下させる、かえってトラブルの原因となるため注意が必要です。

栄養管理

栄養不足は褥瘡ができやすくなる要因のひとつです。

食事量の低下や体重減少が見られる場合、早めに医師や管理栄養士へ相談しましょう。

必要に応じて栄養補助食品を取り入れることもあります。

毎日の観察

褥瘡ができていないか、また悪化していないかを確認するため、日々の観察も欠かせません。

昨日と比べ違和感がないかを意識し、わずかでも変化に気づいた時点で対処することが重症化の予防につながります。

褥瘡の受診目安

以下のような症状が見られる場合、早めに医師に相談しましょう。

  • 赤みが2日以上続く
  • 押しても白くならない
  • 熱感・硬さがある
  • 水疱・皮むけが出てきた
  • 黒っぽい・紫色に変化
  • におい、膿、発熱を伴う

判断に迷った場合も医師に相談してください。

褥瘡ができてしまったときの在宅ケア

褥瘡が出来てしまった場合、自己判断による対応は悪化の原因になることがあります。

特に以下などの対応は絶対に避けてください。

  • 市販消毒薬の多用
  • ガーゼで乾燥
  • 「様子を見る」

褥瘡は、放置すると壊死 → 感染 → 敗血症 → 命の危険へ進行する可能性があるため、軽く考えないことが重要です。

褥瘡が疑われる場合、できるだけ早い段階で医師に相談しましょう。

医師に相談することで褥瘡の程度に応じた適切な被覆材を使用して傷の保護・管理ができます。

傷そのものの処置だけでなく、体圧分散方法や栄養状態の改善、湿気や摩擦による対応など予防方法をについてアドバイスも可能です。

関連記事:訪問診療とは?診療の内容や受診すべき人の特徴などについて解説

千葉内科在宅・美容皮膚科クリニックでできること

当院では、在宅診療による褥瘡の評価・診断が可能です。

訪問看護と連携して適切な処置、栄養・全身状態を含めた包括管理を行っています。

ご家族様、介護者様への具体的な褥瘡ケアの指導も行っていますので、お困り事があればお気軽にご相談ください。

まとめ

褥瘡は予防できる疾患です。

気を付けていても褥瘡が出来てしまった場合、早期の医療介入で重症化を予防することができます。

皮膚の赤みや違和感が続いている場合は、医療機関に相談しましょう。

 迅速な対応が患者様本人とご家族を守る最善の選択です。

参考文献

この記事の監修医師


千葉内科在宅・美容皮膚科クリニック 院長 辺土名 盛之(へんとな もりゆき)

経歴

  • 三重大学医学部医学科 卒業
  • 四日市羽津医療センター
  • 西春内科・在宅クリニック
  • 千葉内科在宅・美容皮膚科クリニック院長

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