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脳梗塞の前兆チェック|予防するための3つのポイントを解説

脳梗塞は、日本人の死因の上位を占める重大な病気です。

しかし、早期発見と適切な治療で後遺症を最小限に抑えることができます。

今回は、脳梗塞の症状や前兆、そして緊急時の対応方法、さらに日常生活での予防法まで、命を守るために知っておきたい知識を、わかりやすくお伝えします。

「もしも」のときに慌てないよう、ご家族みなさんでぜひ確認してください。

脳梗塞とは?

脳梗塞は、脳の血管が詰まって血液の流れが悪くなり、脳の細胞が酸素や栄養を受け取れなくなる病気です。

血管が詰まってから4時間半以内に治療を始めることが大切です。

この「ゴールデンタイム」と呼ばれる時間内に治療を受けられるかどうかが、回復の大きな分かれ目となります。

脳梗塞は、次のように3つのタイプに大きく分かれます。

アテローム血栓性脳梗塞

動脈硬化によって血管が狭くなり、その部分で血栓(血の塊)ができて血管が詰まるタイプです。

心原性脳塞栓症

心臓でできた血栓が血流に乗って脳の血管を詰まらせるタイプです。

心房細動という不整脈が原因のことが多いです。

ラクナ梗塞

脳の奥の細い血管が詰まるタイプで、比較的小さな範囲に影響を与えますが、繰り返すことで重篤な症状が出ることもあります。

関連記事:動脈硬化が引き起こすリスクとは|自覚症状はある?

脳梗塞の主な症状

片側の手足の麻痺や脱力

体の片側(右半身または左半身)が突然動かなくなったり、力が入らなくなります。

足や手が動かしにくくなるだけでなく、顔の片側が垂れ下がることもあります。

言語障害

言葉が突然うまく話せなくなったり、相手の言っていることが理解できなくなる「失語症」が見られることがあります。

また、呂律が回らなくなることもあります。

視力の低下や視野の欠損

視力が急に低下したり、片側の視野が見えなくなることがあります。

これにより、物が二重に見えることや、物の一部が見えなくなることがあります。

めまいやふらつき

平衡感覚を失い、突然ふらついたり、めまいが生じます。

また、歩行が困難になることもあります。

意識障害や混乱

突然、ぼんやりしたり、意識がもうろうとすることがあります。

また、記憶が一時的に混乱することもあります。

激しい頭痛

脳梗塞では頭痛がそれほど顕著でない場合もありますが、脳出血と合併するケースでは、突然の激しい頭痛を伴うことがあります。

脳梗塞の前兆チェックシート

脳梗塞の前兆を早期に発見できるよう、以下の5つのカテゴリーに分けたチェックシートを作成しました。

ひとつでもチェックがある場合は、脳梗塞の前兆の可能性があります。

すぐに医師の診察を受けることを強くお勧めします。

脳梗塞は早期発見・早期治療が重要で、早ければ早いほど後遺症を防ぐことが可能です。

運動障害




言語障害




感覚障害




視覚障害




平衡感覚障害




関連記事:知ってほしい脳卒中の危険な前兆・症状や脳梗塞との違いは?

脳梗塞の前兆を感じた時は救急車要請?

脳梗塞が疑われる症状が出たら、すぐに119番通報をしましょう。

「様子を見よう」という判断が、取り返しのつかない事態を招くことがあります。

たとえ症状が一時的に良くなっても、これは「一過性脳虚血発作」と呼ばれる危険な状態で、本格的な脳梗塞の前触れである可能性が高いです。

救急車を呼ぶことで、適切な病院への素早い搬送と、専門的な初期対応を受けることができます。

救急車の要請は慎重に行うべきですが、脳梗塞の可能性がある場合、救急車を利用することは医療資源の適正な利用に該当します。

脳梗塞は迅速な治療で後遺症や死亡率を大幅に減らせるため、早期治療が後の医療負担(長期入院やリハビリ、後遺症のケア)を減少させます。

  • 自力での病院搬送は危険
    症状が進行する可能性があり、病院に到着するまでに時間がかかると、治療効果が減少します。
  • 救急車が適切に使われるべき理由
    救急隊は、発症時間の確認や初期の対応を行い、専門施設に直行することで治療開始までの時間を短縮できます。

脳梗塞を予防するための3つのポイント

脳梗塞を予防するためには、日常生活でできる対策が非常に重要です。

以下に、早期発見、食生活、適度な運動の3つに分けて説明します。

早期発見

早期発見は脳梗塞の予防において非常に重要です。

脳梗塞の前兆やリスク要因に気をつけることで、発症を防いだり、重篤な後遺症を避けることが可能です。

  • 定期的な健康診断
    高血圧、糖尿病、高コレステロールなどのリスク要因を早期に発見し、適切な治療を受けることが重要です。
  • 脳ドック
    専門的な検査も脳梗塞のリスクを把握するために有効です。
  • 前兆症状を知る
    突然の片側の麻痺、言語障害、視覚障害、めまいなどの症状が現れたらすぐに医療機関に連絡することが必要です。

食生活

食生活の改善は脳梗塞の予防に直結します。

血管の健康を保ち、血液をサラサラに保つ食事を心がけることが重要です。

  • 塩分の摂取を控える
    高血圧は脳梗塞の主な原因です。
    塩分の多い食事は高血圧を引き起こすため、1日7g以下を目指しましょう。
    特に、加工食品や外食は塩分が多いので注意が必要です。
  • バランスの取れた食事
    野菜、果物、全粒穀物、魚を中心とした食事を心がけ、コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控えます。
    これにより、動脈硬化を防ぎ、血管の健康を保つことができます。
  • 魚やオリーブオイルを使った脂肪の良質な摂取
    EPAやDHAが豊富な魚(サバ、イワシ、サーモンなど)は、血液をサラサラにし、脳梗塞のリスクを減少させます。

適度な運動

適度な運動は、脳梗塞を予防するうえで非常に効果的です。

運動は血流を改善し、心血管系の健康を保つだけでなく、高血圧や肥満などのリスクを軽減します。

  • 有酸素運動を習慣に
    ウォーキングやジョギング、水泳、自転車などの有酸素運動は、血流を促進し、心臓や血管にかかる負担を軽減します。
    週に150分以上の中等度の運動を目標にしましょう。
  • 適度な筋力トレーニング
    筋力を維持することで、基礎代謝が向上し、肥満を予防します。
    肥満は脳梗塞のリスクを高めるため、体重管理は重要です。
  • 日常生活に運動を取り入れる
    エレベーターを使わずに階段を利用したり、日常的に歩く習慣をつけることで、運動の機会を増やすことができます。

関連記事:生活習慣病って何種類あるの?予防対策や検診についても紹介

千葉内科・在宅クリニックでできること

当院では脳梗塞の危険因子となる高血圧症・2型糖尿病・脂質異常症、即日で検査結果をお伝えできる最新の血液検査機器のドライケムを導入しています。

他にも、超音波機器・心電図機器等を導入しており、検査を受けたその日に検査結果をお伝えさせていただけます。(一部の特殊検査を除く)

検査結果で異常を認めた際には、追加で精密検査や診察を受けていただく為に、専門機関や医療機関へ情報提供を行い、紹介受診をしていただくことが可能です。

お困りの際は、是非お気軽にお問い合わせください。

まとめ

脳梗塞は恐ろしい病気ですが、予防と早期発見・早期治療が何より大切です。

本記事で紹介した前兆チェックシートを定期的に確認し、気になる症状があればためらわず救急車を呼びましょう。

また、日常生活での予防も重要です。

適切な食事と運動を心がけ、定期的な健康診断で自身の状態をチェックすることで、脳梗塞のリスクを下げることができます。

あなたと大切な人の命を守るため、この知識を家族で共有し、いざというときに適切な行動がとれるよう備えておきましょう。

参考文献

市販で買えるステロイドの強さは?市販でおすすめのステロイドをランキング形式で紹介

皮膚のかゆみやかぶれでお困りの方にとって、ステロイド配合の塗り薬は効果的な治療選択肢の一つです。

しかし「ステロイドは副作用が怖い」「正しい使い方がわからない」という不安の声も多く聞かれます。

この記事では、市販のステロイド薬について、基礎知識から選び方、使い方まで、誰にでもわかりやすく解説していきます。

市販で買えるステロイドの強さは?

ステロイド外用薬は、効果の強さによって5段階に分類されます。

医療用ステロイド外用薬の強さの分類(強い順)

  • ストロンゲスト(最強)
  • ベリーストロング(かなり強い)
  • ストロング(強い)
  • ミディアム(中程度)
  • ウィーク(弱い)

市販薬として購入できるのは下位3段階のみです。

重症度の高い皮膚疾患は医師による診断と治療が必要なためです。

それでは、市販薬の3種類について詳しく説明していきます。

ウィーク

最も刺激が少なく、デリケートな部分に使用できる強さのステロイド薬です。

顔や首など皮膚の薄い部位、お子様の軽い湿疹にも使用できるのが特徴です。

軽い湿疹、かゆみ、虫刺され、軽いかぶれなどの症状に適しています。

ミディアム

体の広い範囲に使える標準的な強さのステロイド薬です。

手足や体幹部の湿疹、かぶれなどの一般的な皮膚トラブルに適しています。

効果はウィークより強めですが、顔面や皮膚の薄い部分への使用は避けましょう。

ストロング

市販薬で最も強い効果を持つステロイド薬です。

頑固な湿疹や強い炎症に効果を発揮します。

ただし、副作用のリスクも高くなるため、使用は短期間にとどめ、症状が改善しない場合は必ず医師に相談してください。

市販で買えるステロイドの選び方

ステロイド薬を選ぶ際は、主に3つのポイントを押さえることが大切です。

それぞれ見ていきましょう。

使用する部位で選ぶ

塗る部位によって、適切なステロイドの強さが異なります。

顔や首など皮膚の薄い部分には、最も刺激の少ないウィークタイプを選びましょう。

手足や体幹部には、ミディアムタイプが適しています。

関節の内側など、症状が強い部分にはストロングタイプを短期間使用することができます。

ステロイドの種類で選ぶ

市販薬に含まれる主なステロイド成分は、以下などです。

  • プレドニゾロン
  • ヒドロコルチゾン
  • デキサメタゾン

それぞれ特徴が異なるため、過去に使用して効果があった成分を参考にするのがおすすめです。

剤形で選ぶ

症状や部位に合わせて、軟膏、クリーム、ローション、スプレーなどから選べます。

  • 軟膏タイプ:乾燥した患部におすすめ(しっとり効果が高い)
  • クリームやローション:じゅくじゅくした患部におすすめ(べたつきが少ない)
  • スプレータイプ:広い範囲に症状がある方におすすめ(塗りやすい)

市販で買えるおすすめステロイドランキング

症状の程度や使用部位に応じて、最適な製品を選びましょう。

ここでは強さ別におすすめの市販ステロイド薬を紹介します。

ストロング(強い)

リンデロンVsシリーズ(ベタメタゾン吉草酸エステル)

特徴OTJ医薬品の中で最も強い分類のステロイドを使用しており、優れた抗炎症作用を発揮します。
軟膏以外にもクリームやローションがあり、塗る場所や患部の状態によって剤形を選べます。
適応症状湿疹、あせも、かぶれ、かゆみ、しもやけ、虫刺され
使用目安1日1〜数回
使用部位手足、体幹部(顔面は避ける)

フルコートf(フルオシノロンアセトニド)

特徴ステロイド剤だけでなく、フラジオマイシン硫酸塩という抗生物質も配合されています。
そのため、膿が出ている部分や搔き壊した患部にも使用できます。
適応症状化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎)
使用目安症状が重い場合は1日3回、通常は1日2回程度
使用部位手足、体幹部(顔面は避ける)

ミディアム(中程度)

リビメックスコーワ軟膏(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)

特徴含まれているステロイドは、OTC医薬品に初めて導入された製剤です。
皮膚の炎症に有効で、体内で低活性物質に変わるステロイドです。
適応症状湿疹、皮膚炎、かぶれ、虫さされ、かゆみ、あせも、じんましん
使用目安1日数回、適量を患部に塗擦
使用部位皮膚(顔面は広範囲に使用しない)

ロコイダン軟膏(ヒドロコルチゾン酪酸エステル)

特徴医療用で処方されるロコイド軟膏と同じステロイド成分を使用しています。
油脂性で、乾燥しているところやジュクジュクしている患部にも塗れます。
適応症状湿疹、皮膚炎、かぶれ、かゆみ、虫さされ、じんましん、あせも
使用目安1日数回、患部に適量を塗布
使用部位皮膚(顔面は広範囲に使用しない)

ウィーク(弱い)

コートf MD軟膏(プレドニゾロン)

特徴赤ちゃんのおつむかぶれや湿疹などに使用できます。
防腐剤未使用、アルコールフリーで刺激が少ないです。
適応症状湿疹、皮膚炎、かぶれ、かゆみ、虫さされ、あせも、じんましん、しもやけ
使用目安1日1~4回、適量を患部に塗布
使用部位顔面、首、デリケートゾーン可

テラ・コートリル軟膏a(オキシテトラサイクリン塩酸塩)

特徴抗生物質が配合されたステロイド製剤です。
化膿した部分にも効果を発揮します。
適応症状湿疹、皮膚炎、あせも、かぶれ、しもやけ、虫さされ、じんましん、化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎)
使用目安1日1~数回、適量を患部に塗布するかガーゼなどにのばして貼付
使用部位顔面、首、デリケートゾーン可

※いずれの製品も、症状が改善しない場合は使用を中止し、医師に相談してください。

ステロイドの副作用

ステロイド外用薬は適切に使用すれば安全性の高い薬剤ですが、使用方法や期間によって以下のような副作用が起こる可能性があります。

主な副作用

  • 皮膚の萎縮(薄くなる、弾力が失われる)
  • 毛細血管の拡張(赤い線が浮き出る)
  • にきびや吹き出物の悪化
  • 多毛(産毛が濃くなる)
  • 皮膚感染症のリスク増加
  • ステロイド皮膚(赤み、むけ、ヒリヒリ感)

市販ステロイドの使用期間の目安

ストロング3-5日程度
ミディアム5-7日程度
ウィーク1-2週間程度

特に慎重な使用が必要なケース

  • 顔面やデリケートゾーンへの強いステロイドの使用
  • 必要以上の長期使用
  • 急な使用中止(リバウンドを起こす可能性)
  • 同じ部位への繰り返し使用
  • 傷のある部分への使用

副作用を防ぐために、以下の点に注意しましょう。

  • 医薬品の説明書をよく読み、用法・用量を守る
  • 症状が改善したら徐々に使用回数を減らす
  • 症状が改善しない場合は使用を継続せず、医師に相談する
  • 感染症が疑われる場合は使用を控える
  • 長期使用が必要な場合は、早めに医療機関を受診する

これらの注意点を守ることで、副作用のリスクを最小限に抑えながら、ステロイド外用薬の効果を安全に得ることができます。

ステロイドの正しい使い方

ステロイド外用薬の効果を最大限に引き出し、副作用を防ぐためには、正しい使用方法を守ることが重要です。

使用手順

  1. 患部を清潔にし、水分をよく拭き取る
  2. 薬剤を5円玉程度の量を指先に取る
  3. 患部全体に優しく薄く伸ばす(こすらない)
  4. 1日2回を目安に塗布(朝・晩)
  5. 改善が見られたら徐々に回数を減らす

ステロイドを使用するときの注意点

効果的かつ安全な治療のために、以下の点に特に注意を払いましょう。

清潔な手で塗る

塗布前には必ず手を石鹸でよく洗い、清潔なタオルでしっかりと水分を拭き取りましょう。

爪は短く切っておくことで、塗布時に皮膚を傷つけるリスクを防ぎます。

手荒れがひどい場合は、清潔な綿棒を使用するのも効果的な方法です。

チューブの口に触れない

薬剤を清潔に保つため、チューブの先端は直接患部に触れないようにしましょう。

使用後は必ずキャップをしっかり閉め、開封後は3ヶ月を目安に使い切ることが推奨されます。

他人との共有は感染リスクを高めるため避けてください。

やさしく塗布

薬剤は患部とその周囲1-2cm程度の範囲に、優しく薄く伸ばします。

強くこすることは皮膚を傷つける可能性があるため避けましょう。

塗布後は最低10分程度、衣類などが触れないよう注意が必要です。

他のものと併用する場合の手順

複数の薬剤を使用する場合は、水分量の少ない順に塗布していきます。

基本的には、ローション、クリーム、軟膏、保湿剤の順序で使用します。

それぞれの薬剤は完全に浸透してから次を塗ることが重要で、5-10分程度の間隔を空けましょう。

使用にあたって特に注意が必要な状況として

  • 妊娠中・授乳中の使用
  • 顔やデリケートゾーンへの使用
  • 傷口や化膿部位への使用
  • 長期連用が必要な場合

これらの場合は、必ず医師に相談してから使用を開始してください。

また、使用中に症状が悪化した場合は直ちに使用を中止し、医療機関を受診することが推奨されます。

千葉内科在宅・美容皮膚科クリニックでできること

千葉内科在宅・美容皮膚科クリニックでは皮膚の症状に関しても外来診療行っており、経験豊富な医師が適切な治療薬を処方することが可能です。

肌のお悩みに対しても適切な治療をご提案いたします。

お悩みの際はぜひ当院へ一度お気軽にご相談ください。

まとめ

市販ステロイド薬を安全に使用するために、以下の点を守ることが重要です。

  • 症状や部位に合わせて適切な強さ(ストロング、ミディアム、ウィーク)を選択する
  • 使用期間を守る(ストロング:3-5日、ミディアム:5-7日、ウィーク:1-2週間程度)
  • 顔やデリケートな部分には弱いタイプを使用し、患部は清潔に保つ
  • 副作用(皮膚の萎縮、毛細血管の拡張など)に注意を払い、長期使用を避ける
  • 症状が改善しない場合や使用に不安がある場合は、すぐに医療機関を受診する

症状が重症化する前の早めの対応が、治療効果を高め、副作用のリスクを減らすことにつながります。

参考文献

EPARK|【薬剤師が解説】市販で買えるステロイド軟膏はどれ?強さのランキングや選び方も紹介

第一三共ヘルスケア|ステロイド外用剤の上手な使い方

田辺三菱製薬|『ステロイド外用剤』とは?強さのランク、副作用、正しい使い方を解説

花粉症と風邪の違い|花粉症でも受診は必要?その理由は?

こんにちは。千葉内科在宅・美容皮膚科クリニックです。

これからの季節、花粉も多く飛び始め特にスギ科の花粉が多く飛び始めます。

コロナの流行以降、鼻水や咳など風邪のような症状があると

風邪なのか、花粉症なのか、はたまたコロナなのか?

判断がつかずに困った経験もあるかと思います。

そんな時のために本記事では、花粉症と風邪の違いについて説明していきます。

是非ご一読ください!

花粉症と風邪の違い

花粉症の症状と特徴

花粉症は大きく分けて4つの特徴的な症状があります。

  • くしゃみ
    連続するくしゃみがでます。
    風邪の場合は1週間程度で改善しますが、花粉症の場合はシーズン中ずっと続くことが特徴です。
  • 鼻水
    水のようにさらさらとした鼻水が特徴的です。
  • 鼻づまり
    入眠時や睡眠時に特に鼻づまりの症状が強くなります。
  • 目のかゆみ
    アレルギー反応で目のかゆみがでたり、涙が多くなります。

その他にも、乾いた咳が続いたり重症化すると気管支粘膜が腫れてしまい、のどの痛みや息苦しさを感じる場合もあります。

また、肌荒れや湿疹・皮膚のかゆみなどの症状も花粉症の症状として出現します。

風邪の症状と特徴

かぜは、ウイルスや細菌などの病原体によって引き起こされる急性の上気道(鼻やのど)の炎症の総称です。

鼻やのどの粘膜から感染するため、以下などの症状が多くみられます。

  • くしゃみ
  • 鼻水

ウイルスや細菌の種類により潜伏期間はまちまちですが、多くの場合は2~4日程度の潜伏期間です。

かぜの症状はほとんどの場合、1週間程度で軽快します。

症状の出方としては、基本的には局所的な炎症症状でのどの痛みや鼻水などの上気道症状が中心となります。

関連記事:舌下免疫療法のメリット|どんなアレルギーに有効?

花粉症のセルフチェック

花粉症の可能性をチェックするために、以下の症状や特徴が当てはまるかどうか確認してみましょう。

1連続するくしゃみがある
2透明でさらさらした鼻水が出る
3よく鼻づまりを起こす
4花粉が飛来している時期に症状がおこる
5鼻のかゆみがある
6目のかゆみがある
7涙が出てくることがある
8発熱はなく、あっても微熱程度
9朝に症状を強く感じる(モーニングアタック)
10皮膚にかゆみを感じる
11肌荒れをおこしている
12特定の食べ物と食べると症状がでる

花粉症だった場合に病院受診は必要?その理由は?

医師は問診や検査結果を通じて、症状の度合いや治療時期をはじめ、患者さんのライフスタイルを考慮して総合的に判断したうえで数ある薬の中から最適な薬剤を選択します。

薬の中には副作用が少なからずありますが、その副作用による影響も考え処方するので一人ひとりにあった治療を行うことができます。

原因の花粉の種類を検査

アレルギー検査により、どの花粉に反応しているのかを特定できます。

これにより、その花粉が飛散する時期に合わせた予防的な治療が可能です。

また、他のアレルギーの有無も同時に確認できるため、総合的な対策を立てることができます。

早めの治療開始が重要

花粉の飛散開始前から治療を始めることで、症状の出現を抑えることができます。

病院での診察を受けることで、お住まいの地域の花粉飛散時期に合わせた最適な治療開始時期を設定できます。

症状・体質に合わせた薬を処方

市販薬は誰にでも合う一般的な薬である一方、病院では個人の症状の程度や体質に合わせて最適な薬を処方できます。

眠気の少ない薬や、長時間効果が持続する薬など、生活スタイルに合わせた選択が可能です。

関連記事:花粉症の症状まとめ|喉のイガイガの治し方はある?

花粉症の検査方法

皮内アレルギーテスト

皮膚に花粉などのアレルゲン液を注入し、反応を見る検査です。

注入から20分程度で結果が分かり、複数のアレルゲンを同時に調べることが可能です。

皮膚に出る膨疹(ほうしん)という赤い腫れの大きさで、アレルギーの程度を判断します。

検査時間が短く、信頼性の高い検査方法として広く実施されています。

スクラッチテスト

皮膚に軽く傷をつけ、そこにアレルゲン液を垂らして反応を見ます。

痛みが少なく、小さな子どもでも受けられる検査方法です。

皮内テストと比べて反応は弱めですが、アレルギー反応が強い方や皮膚が敏感な方にも安全に実施できます。

IgE抗体検査

血液検査でアレルギーの原因を調べます。

体内で作られるIgE抗体という物質を測定することで、どのアレルゲンに反応しているかを詳しく知ることができます。

一度の採血で数十種類ものアレルゲンを同時に調べられるため、効率的です。

また、皮膚テストが受けられない方や、薬の影響で他の検査が難しい方にも実施可能です。

鼻汁中好酸球検査

鼻水の中に含まれる好酸球という細胞を調べる検査です。

好酸球はアレルギー反応で増加する細胞で、この検査によってアレルギー性鼻炎かどうかを判断できます。

検査方法は綿棒で鼻の粘膜をこすり取るだけなので、痛みはほとんどありません。

結果はその場で分かるため、即日の治療方針決定に役立ちます。

抗原誘発反応検査

鼻の粘膜に直接アレルゲンを付けて反応を見ます。

より正確な診断が可能ですが、強い症状が出る可能性があるため、医師が必要と判断した場合にのみ実施されます。

くしゃみや鼻水などの症状が実際に起こるかどうかを確認でき、最も確実な診断方法の一つとされています。

ただし、検査後しばらくは症状が続く可能性があるため、重要な予定がある前日などは避けた方が良いでしょう。

花粉症の治療方法

アレルゲン免疫療法

原因となる花粉のエキスを少しずつ体に入れ、徐々にアレルギー反応を和らげていく根本的な治療法です。

舌下錠や注射による投与方法があり、3〜5年の継続的な治療で効果を発揮します。

一時的な症状改善だけでなく、アレルギー体質そのものを改善できる可能性がある唯一の治療法です。

ただし、効果の現れ方には個人差があり、治療開始から半年〜1年程度は従来の薬物療法と併用することが一般的です。

注射による治療

注射による治療には、複数の種類があり、症状や体質に応じて選択します。

  • ステロイド注射
    即効性が高く、重症の方に効果的です。
    強い症状を素早く抑える効果がありますが、長期使用は避けるべきです。
  • ノイロトロピン注射
    体の免疫機能を整える作用があり、副作用が少ないのが特徴です。
    定期的な投与で症状の予防効果も期待できます。
  • ヒスタグロビン注射
    アレルギー症状を引き起こすヒスタミンへの抵抗力を高める治療です。
    効果の持続時間が長く、シーズン前からの予防投与にも使用されます。
  • ゾレア皮下注用
    重症の方向けの治療法で、IgE抗体の働きを抑制します。
    月1回の投与で効果が持続し、他の治療で改善が見られない場合の選択肢となります。

これらの注射治療は、即効性という利点がある一方で、それぞれ特徴や注意点が異なります。

医師との相談のもと、症状の程度や生活スタイルに合わせて最適な治療法を選択することが重要です。

関連記事:花粉症に効く注射とは?費用や効果を解説

千葉内科・在宅クリニックでできること

千葉内科在宅・美容皮膚科クリニックではアレルギー外来を行っており、採血検査で抗原検査等を行い原因を追求し、適切な治療薬を処方することが可能です。

また美容皮膚科もしており、肌のお悩みに対しても適切な治療をご提案いたします。

お悩みの際はぜひ当院へ一度お気軽にご相談ください。

まとめ

花粉症は適切な診断と治療により、大幅に症状を軽減することができます。

特に、専門医による正確な診断と、個々の症状・体質に合わせた治療法の選択が重要です。

つらい症状に悩まされる前に、ぜひ早めの受診を検討してください。

適切な治療を始めることで、花粉の季節も快適に過ごすことができるようになります。

参考文献

花粉症は病院での治療がおすすめ!受診する診療科と行く基準や治療法を解説|おうち病院

花粉症の検査方法と費用を解説|ヒロオカクリニック

肘内障の整復方法は?整復後に痛がるケースや繰り返す原因を解説

子どもが急に腕を上げられなくなったり、肘を抱えて泣き出した経験はありませんか?

それは、小さな子どもに多い「肘内障」かもしれません。

今回は、肘内障の原因や症状、整復方法などについて詳しく解説します。

小さな子どものいる方には役立つ内容ですので、ぜひ最後までお読みください。

肘内障とは?

肘内障とは、2~6歳の子どもに多く見られる肘関節の亜脱臼のことです。

正式には「橈骨頭亜脱臼(とうこつとうあだっきゅう)」と呼ばれます。

子どもの手を強く引っ張ったり、腕を回して遊ぶことで、前腕の骨(橈骨頭)が肘の靭帯(輪状靭帯)から部分的にずれることで発生します。

深刻なケガではありませんが、痛みが強いため、子どもは腕を上げようとすると激しく泣くことが多いです。

関連記事:早く治したい方必見!骨折の見分け方と対処方法

肘内障の原因

腕を引っ張った

最も多い原因は、子どもの腕を急に引っ張ったときです。

たとえば、転びそうな子どもを助けようとして腕を引っ張ったり、遊びで『ぶらんこ』をして腕を持ち上げたりすると、肘に負担がかかり脱臼することがあります。

腕を引っ張ると、前腕の骨(橈骨)が引っ張られ、肘の関節に隙間ができます。

その後、前腕の骨が戻るときに、靭帯(骨を支える組織)や筋肉が骨の間にはさまってしまいます。

転んで手をついた

子どもが転んだときに手をつくと、肘に強い力が加わり、関節がずれて肘内障が起こることがあります。

転倒時にとっさに手を前に出してしまうのは自然な動きなので、これもよくある原因の一つです。

寝返りをうった

寝返りする時に肘を伸ばしたまま腕が体の下にはいりこんでしまうことがあり、これが腕をひっぱるのと同じ状況を引き起こします。

寝返りが原因で肘内障になるのは1歳未満、特に生後6ヶ月前後の乳児に多いです。

肘内障の症状

肘内障の症状の特徴は以下の通りです。

  • 腕を動かすことができない
  • 肘を痛がって曲げない
  • 腕をだらんと垂れたまま
  • 患肢に触れようとすると嫌がる

肘内障では、関節の腫れや熱、赤みといった外から見える症状はありません。

最初は激しい痛みで泣き出すこともありますが、時間が経つと少しずつ痛みが和らぐことが多いです。

肘を少し曲げ、お腹の近くで動かさずにいることがあります。

関連記事:子供の成長痛とは?痛がる原因や対処法を解説

肘内障の整復方法

主に回旋法(外旋法)と牽引法の2つがあります。

どちらの方法も数秒で完了する簡単な操作ですが、正しい技術が必要です。

回旋法(外旋法)

回旋法は、最も一般的に使われる整復方法です。

  1. 肘を直角に曲げる
    まず、子どもの肘を90度に曲げます。
    痛みがあるため、子どもは嫌がることがあるかもしれませんが、軽く動かします。
  2. 手首を回す
    手首を持ち、ゆっくりと手のひらを上向き(外旋)に回転させます。
    この動きによって、脱臼していた橈骨頭が靭帯の中に戻ります。

整復が成功すると、「カチッ」という整復音が鳴ることが多く、子どもはすぐに痛みが軽減します。

この時点で子どもが腕を自由に動かせるか確認します。

牽引法

回旋法がうまくいかない場合や、別の方法が必要な場合には牽引法が行われることがあります。

この方法は少し異なるアプローチですが、同じように短時間で整復が可能です。

  1. 肘を少し伸ばす
    子どもの腕を優しく引っ張りながら、肘を少し伸ばします。
  2. 前腕の回転
    肘を引っ張りながら、前腕を回転させます。
    これにより、ずれていた橈骨頭を靭帯の中に戻します。

肘を少し引きつつ動かすことで、骨が滑り込むように元の位置に戻ります。

 回旋法同様、整復が成功すると「カチッ」という整復音が鳴ることが多く、子どもはすぐに痛みが軽減します。

この時点で子どもが腕を自由に動かせるか確認します。

整復は簡単に見える作業ですが、正しい技術が必要です。

無理に自分で行おうとすると、逆に関節を痛める可能性があります。

必ず医師や専門の整形外科医に任せましょう。

肘内障の整復後にも痛がるときはどうしたらいい?

整復後にも痛みが続く場合、次のような原因が考えられます。

  • 骨が元の位置に戻っておらず、整復(関節を元の位置に戻す処置)が不完全である
  • 骨折や打撲など、別のケガをしている可能性がある
  • 腕の動きが普段と違ったり、動かせなかったりする

こういった場合は、もう一度医療機関を受診することをおすすめします。

関連記事:肘内障を1日放置したらどうなる?親が治すことはできる?

肘内障を繰り返すことはある?

肘内障は再発することがあります。

特に再発リスクが高いのは1~3歳の子供で、全体の80%がこの年齢帯で発症すると言われています。

ただ、成長するにつれて関節が強くなり、肘内障のリスクは減少し、6歳を過ぎると再発することはほとんどなくなります。

千葉内科・在宅クリニックでできること

千葉内科・在宅クリニックでは、肘内障の診断と整復ができます。

また、必要に応じて他のケガや合併症の有無を確認するための検査も行い、整復後のフォローアップも行います。

子どものケガや健康に関する相談も受け付けているので、ご不安な方はお気軽にご相談ください。

まとめ

肘内障は、幼い子どもに多いケガで、腕を引っ張ったり、転倒したりすることで肘の関節がずれてしまいます。

整復という治療で簡単に治りますが、一度肘内障になると、その後しばらくは再発しやすくなるため注意して過ごしましょう。

もし整復後に痛みが続く場合は、すぐに病院を再受診してください。

参考文献

▶honegori|肘内障(子供の肘の亜脱臼)
▶子供が突然腕を使わなくなったら肘内障かも?3つの原因と受診のタイミング
▶あれ?こどもが突然肘を動かさない。肘内障の原因と整復方法
▶おんやま接骨院|肘内障 <子供のケガ・肘の脱臼>

喘息治療に使う吸入薬とは?長期管理・発作治療に分けておすすめ吸入薬紹介

喘息は、呼吸器の慢性疾患であり、正しい治療を行うことで症状をコントロールできます。

その治療において重要なのが吸入薬の使用です。

本記事では、喘息治療に使われる吸入薬の種類や特徴、選び方について詳しく解説し、さらに発作時や長期管理におすすめの吸入薬についてもご紹介します。

喘息治療に使う吸入薬とは?

喘息治療における吸入薬は、喘息の症状をコントロールし、生活の質を向上させるための重要な治療手段です。

吸入薬は、薬剤を直接気道に届けることで、迅速かつ効率的に治療効果を発揮するのが特徴です。

吸入薬は、喘息の治療目的に応じて以下の2つの用途で使用されます。

長期管理

目的気道の慢性炎症を抑え、喘息の悪化や発作を予防します
対象定期的な管理が必要な患者
使用頻度通常は1日1~2回の定期使用が推奨されます

発作治療

目的喘息発作時の急性症状を速やかに改善します
対象急に息苦しくなるなどの症状が出現した患者
使用頻度必要時のみ使用します

関連記事:咳喘息は喘息ではない?違いや症状のチェック項目をご紹介

喘息治療に使用される吸入薬の種類

吸入ステロイド(ICS:Inhaled Corticosteroids)

効果気道の慢性炎症を抑え、発作を予防
使い方1日1~2回、定期的に使用
吸入後はうがいを行い、口腔カンジダ症を予防します
特徴長期管理の基本薬で効果は数日から数週間で現れます
代表薬フルタイド、パルミコート

長時間作用性β-2刺激薬(LABA:Long-Acting Beta-2 Agonists)

効果気道を長時間広げ、夜間や早朝の症状を改善
使い方1日1~2回※ICSとの併用が必須
特徴長期管理に効果的
単剤での使用は推奨されない
代表薬セレベント、オーキシス

長時間作用性抗コリン薬(LAMA:Long-Acting Muscarinic Antagonists)

効果副交感神経を抑制し、気道を広げる
使い方1日1回吸入
ICSやLABAと併用することが多い
特徴重症例や夜間の症状に有効
代表薬スピリーバ

短時間作用性β-2刺激薬(SABA:Short-Acting Beta-2 Agonists)

効果発作時に気道を速やかに広げる
使い方息苦しいときに必要な回数だけ吸入
特徴即効性があり数分以内に効果が現れる
代表薬メプチンエアー、ベロテック

短時間作用性副交感神経遮断薬(SAMA:Short-Acting Muscarinic Antagonists)

効果副交感神経を一時的に抑え、気道を広げる
使い方SABAと併用して使用することが多い
特徴肺気腫(COPD)にも使用されるが、喘息発作時にも有効
代表薬アトロベント

喘息治療に使われる吸入薬以外の薬

飲み薬

喘息治療における飲み薬は、吸入薬の補助的な役割を果たし、炎症を抑えたり気道を広げたりすることで、症状の安定化を図ります。

特に吸入薬だけでは十分な効果が得られない場合や、アレルギー性疾患を併発している患者にとって重要な治療法です。

以下では、主な飲み薬の種類とその特徴について詳しく説明します。

主な種類と効果

ロイコトリエン受容体拮抗薬

気道で炎症を引き起こすロイコトリエンという物質の働きを抑える薬です。

この薬は、気道のむくみを軽減するだけでなく、アレルギー性鼻炎にも効果があるため、喘息と鼻炎を併発している患者に適しています。

副作用は少ないですが、一部の患者で頭痛や不眠が報告されています。

代表薬:シングレア、キプレス

テオフィリン

気道の平滑筋を弛緩させて気管支を広げる作用があります。

慢性的な喘息症状の緩和に使用され、特に夜間や早朝の症状を改善する目的で用いられます。

ただし、吐き気や動悸などの副作用が発生することがあり、過量摂取には注意が必要です。

代表薬:テオドール、アミノフィリン

抗アレルギー薬

アレルギー反応を抑えることで喘息の引き金となるアレルギー性炎症を軽減します。

アレルギー性鼻炎や蕁麻疹の治療にも広く使用されるため、アレルギー性喘息の患者に特に有効です。

副作用として眠気や口の乾きが報告されています。

代表薬:アレグラ、ザイザル

貼り薬

喘息治療における貼り薬は、吸入薬や飲み薬と並ぶ補助的な治療法として使用されることがあります。

貼り薬は皮膚から薬剤を吸収することで効果を発揮し、気道を広げたり呼吸を楽にする作用を持っています。

特に、小児や高齢者など、吸入薬や飲み薬の使用が難しい患者に適しており、長時間作用する点が特徴です。

主な種類と効果

貼り薬は、皮膚に貼付することで薬剤が体内に吸収され、血液を通じて気道に作用します。

この仕組みにより、気道の筋肉を弛緩させることで気管支を広げ、呼吸を楽にする効果があります。

持続的に作用するため、夜間や長時間の症状コントロールにも適しています。

代表薬:ホクナリンテープ(ツロブテロールテープ)

注射薬

注射薬は、主に中等症から重症の患者に使用される治療法です。

吸入薬や飲み薬だけでは症状がコントロールできない場合や、急性増悪時に迅速な効果を得るために使用されます。

注射薬には、急性期の発作緩和を目的とする「ステロイド注射」と、特定の喘息タイプを対象とした「生物学的製剤」の2つの主要な種類があります。

これらの薬剤は、喘息治療の選択肢を広げ、特に難治性喘息の患者に新たな希望をもたらしています。

主な種類と効果

ステロイド注射

ステロイド注射は、強力な抗炎症作用を持つ薬剤で、急性増悪時に使用されます。

吸入ステロイドや飲み薬では対応が難しい激しい炎症を抑えるために、迅速に効果を発揮します。

短期間の使用が一般的で、医療施設で投与されることが多いです。

代表薬:ヒドロコルチゾン(ソル・コーテフ)、メチルプレドニゾロン(ソル・メドロール)

生物学的製剤

生物学的製剤は、喘息の根本的な原因となる分子や細胞を標的とした新しい治療法です。

特に、アレルギー性喘息や好酸球性喘息といった特定の喘息タイプに効果的で、これまでの治療で十分な効果が得られなかった患者に有効とされています。

関連記事:喘息の主な症状とは?症状が出やすい時や悪化させる要因を解説

喘息治療に使われる吸入薬の選び方

喘息治療で吸入薬を選ぶ際には、患者の症状や生活状況、デバイスの使いやすさを考慮し、最適なものを選択することが重要です。

以下に、吸入薬を選ぶ際に考慮すべきポイントを詳しく解説します。

喘息の重症度の評価

吸入薬の選択は、患者の喘息の重症度に応じて行います。

喘息の重症度は、症状の頻度や発作の程度、ピークフロー値(呼気流量)などを基に以下のように分類されます。

軽症間欠性症状の頻度週2回以下、夜間症状はほぼない
治療薬発作時のみ短時間作用性β-2刺激薬(SABA)を使用
軽症持続性症状の頻度週3回以上、夜間症状は月に2回以下
治療薬吸入ステロイド(ICS)を定期的に使用
中等症持続性症状の頻度毎日、夜間症状が週1回以上
治療薬ICS+長時間作用性β-2刺激薬(LABA)を併用
重症持続性症状の頻度症状が常にあり、夜間症状が頻繁に発生
治療薬高用量ICS+LABA+長時間作用性抗コリン薬(LAMA)など、複数薬剤の併用が必要

吸入デバイスの選び方

吸入薬は薬剤だけでなく、使用するデバイスも治療効果に影響します。

患者の吸気能力や操作性を考慮して適切なデバイスを選ぶことが重要です。

主なデバイスと特徴
定量噴霧式吸入器(pMDI)特徴ボタンを押すと薬剤が霧状に出る、吸気速度が弱い患者でも使用可能
適応小児、高齢者、吸う力が弱い患者
注意点吸入とボタンのタイミングを合わせる必要があり

ドライパウダー吸入器(DPI)
特徴薬剤が粉末状で、吸う力で気道に届ける
適応吸気速度が十分な成人患者
注意点吸う力が弱い場合、薬剤が十分に届かないことがある
ネブライザー特徴薬剤を霧状にして吸入する装置、長時間吸入でき、重症患者にも適する
適応乳幼児や高齢者、重症患者
注意点持ち運びが難しく、家庭や医療施設での使用が中心

デバイスの操作性と携帯性

喘息治療における吸入デバイスの操作性と携帯性は、治療効果を最大限に引き出すための重要な要素です。

操作性の面では、患者の年齢や吸気能力、生活環境に応じたデバイス選びが求められます。

例えば、吸気能力が低い小児や高齢者には、ボタン操作が簡単で吸入タイミングを合わせやすい定量噴霧式吸入器(pMDI)やソフトミスト吸入器(SMI)が適しており、吸気能力が十分な成人にはドライパウダー吸入器(DPI)のような簡便なデバイスが適します。

また、重症患者や吸入操作が苦手な人には、霧状の薬を長時間吸入できるネブライザーが有効です。

一方で、携帯性の観点からは、特に発作治療薬では軽量でコンパクトなpMDIやDPIが推奨され、緊急時の迅速な対応が可能になります。

患者の日常生活の負担を軽減するためにも、小型で堅牢なデバイスを選ぶことが重要です。

局所的副作用のリスクと対策

喘息治療で使用する吸入薬は、正しく使えば効果的に症状をコントロールできますが使い方によっては副作用が起きることがあります。

たとえば、吸入ステロイド(ICS)が口の中に残ると、口腔カンジダ症(口の中に白い斑点ができる病気)が発生することがあります。

また、薬が声帯に付着すると声がかすれることがあり、ドライパウダー吸入器(DPI)では喉の乾燥や刺激感を感じる場合があります。

こうした副作用を防ぐために、吸入後は必ず水でうがいをして口や喉に残った薬を洗い流すことが重要です。

スペーサーを使うと薬が口に残る量を減らせるので便利ですし、吸入方法をしっかり覚えることで薬が気道に届きやすくなります。

喘息治療のおすすめ長期管理吸入薬

フルタイド(Flutide)

種類吸入ステロイド(ICS)
吸入形状定量噴霧式吸入器(pMDI)またはドライパウダー吸入器(DPI)
特徴有効成分のフルチカゾンが、気道の炎症を直接抑え、喘息症状の予防が可能です。
長期使用で喘息のコントロールが向上し、発作の頻度と重症度を減少させます。
ドライパウダー吸入器(DPI)は吸気速度が十分な患者に適し、吸入操作が簡単です。

パルミコート(Pulmicort)

種類吸入ステロイド(ICS)
吸入形状ネブライザー用溶液またはDPI
特徴有効成分のブデソニドが、気道の慢性炎症を抑える効果を発揮します。
小児や高齢者に適しており、ネブライザーを使用して吸入することも可能です。
吸入後の刺激感が少ないのが特徴です。

シムビコート(Symbicort)

種類ICS+LABA(吸入ステロイド+長時間作用性β-2刺激薬の配合薬)
吸入形状DPI
特徴コンパクトなデバイスで携帯性に優れ、外出先でも使いやすい。

アドエア(Advair)

種類ICS+LABA(吸入ステロイド+長時間作用性β-2刺激薬の配合薬)
吸入形状DPIまたはpMDI
特徴吸気速度が十分な患者に適し、吸入操作が簡単です。

スピリーバ(Spiriva)

種類LAMA(長時間作用性抗コリン薬)
吸入形状DPIまたはソフトミスト吸入器(SMI)
特徴ミスト状で吸入しやすく、高齢者にも適しています。

関連記事:アレルギーが原因で起きる咳の特徴|効果のある薬や治し方を紹介

喘息治療のおすすめ発作治療吸入薬

喘息の発作治療には、急性症状を迅速に改善するための即効性吸入薬が使用されます。

以下では、発作治療におすすめの吸入薬のそれぞれの種類や吸入形状、特徴について解説します。

メプチンエアー(Meptin Air)

種類短時間作用性β-2刺激薬(SABA)
吸入形状定量噴霧式吸入器(pMDI)
特徴有効成分のプロカテロールが、気道を迅速に広げて呼吸を楽にします。
発作時に吸入することで、数分以内に効果が現れます。
コンパクトなデバイスで携帯しやすく、外出時にも便利です。
注意点頻繁に使用する場合は、喘息管理が不十分な可能性があるため医師に相談が必要です。

ベロテック(Berotec)

種類短時間作用性β-2刺激薬(SABA)
吸入形状定量噴霧式吸入器(pMDI)
特徴有効成分のサルブタモールが、気道を即座に広げ、呼吸困難を緩和します。
吸入後、速やかに効果を発揮するため、急性発作時に最適です。
操作が簡単で、緊急時でも使いやすいデバイスです。
注意点短時間で効果が切れるため、長期管理には適しません。

アトロベント(Atrovent)

種類短時間作用性副交感神経遮断薬(SAMA)
吸入形状定量噴霧式吸入器(pMDI)
特徴有効成分のイプラトロピウムが、副交感神経を抑え、気道を拡張します。
発作時にSABAと併用することで、相乗効果が得られます。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療にも用いられる薬剤です。
注意点SABAと併用することで効果が高まりますが、単独使用では効果が遅い場合があります。

コンビベント(Combivent)

種類SABA+SAMA(短時間作用性β-2刺激薬+短時間作用性副交感神経遮断薬の配合薬)
吸入形状定量噴霧式吸入器(pMDI)
特徴サルブタモール(SABA)とイプラトロピウム(SAMA)を配合した薬剤で、気道を迅速かつ効果的に広げます。
単剤では効果が不十分な場合に有効です。
発作時の緊急治療に優れた効果を発揮します。
注意点頻繁に使用すると副作用が出る場合があるため、適切な使用回数を守る必要があります。

サルタノール(Ventolin)

種類短時間作用性β-2刺激薬(SABA)
吸入形状定量噴霧式吸入器(pMDI)
特徴有効成分のサルブタモールが気道を迅速に広げ、数分で呼吸困難を改善します。
使用頻度が高く、世界的に広く使われている薬剤です。
携帯性に優れ、外出時の急な発作にも対応可能です。
注意点定期的な使用ではなく、必要時のみの使用が推奨されます。

千葉内科・在宅クリニックでできること

千葉内科・在宅クリニックでは、丁寧な問診・診察を通じて患者様の症状やニーズを詳しく把握し、お一人おひとりに最適な治療をご提案いたします。

また、症状に合わせて適切な処方を選択し、必要に応じて薬の副作用や効果についても詳しくご説明いたします。

万が一、緊急性がある場合や高度な治療が必要な際には、専門病院への迅速な紹介も行っております。

安心してご相談いただける体制を整えていますので、お気軽にご来院ください。

まとめ

喘息治療において、吸入薬は症状の管理や発作予防に欠かせない重要な治療法です。

本記事では、吸入薬の種類や使い方、飲み薬や貼り薬、注射薬の役割について詳しく解説しました。

また、正しいデバイスの選び方や局所的副作用の予防策も治療を成功させるために重要なポイントです。

千葉内科・在宅クリニックでは、患者さま一人ひとりに合わせた最適な治療を提案し、吸入薬の使用指導や在宅医療の提供など、安心して治療を続けられる環境を整えています。

医師やスタッフと連携しながら適切な治療を受けることで、喘息症状の安定化を目指しましょう。

疑問や不安がある場合は、ぜひ当クリニックにご相談ください。

喘息と向き合いながら、より快適な生活を実現していきましょう。

クループ症候群の受診の目安は?治療方法や自宅でのケア方法を紹介

自宅でお子様が、突然の激しい咳や呼吸困難を引き起こしたことはありませんか?

これは特に乳幼児に多く見られる症状で、犬が吠えているような咳やオットセイが鳴くような咳の場合クループ症候群という疾患が考えられます。

クループ症候群は、深夜や早朝に症状が悪化しやすいので、病院も診療時間外の場所が多く、不安になることも少なくありません。

しかし、症状に対する適切な受診のタイミングや自宅でのケア方法について知っておくことで、落ち着いて対処することができるでしょう。

この記事では、クループ症候群の概要や治療方法、自宅での対応策について詳しく解説していきます。

 クループ症候群とは?

クループ症候群とは、主にウイルス感染が原因で喉や声帯、気管が炎症を起こすことで発症する病気です。

特に生後6か月から5歳くらいまでの乳幼児に多く見られ、特徴的な咳や呼吸困難を伴います。

クループ症候群は風邪のような症状で始まることが多く、その後に突発的な咳や呼吸困難に進行することがあるため、早期の対処が重要です。

クループ症候群の原因

クループ症候群の8割ほどは、ウイルスが原因と言われています。

主に以下などウイルスが原因です。

  • パラインフルエンザウイルス
  • インフルエンザウイルス
  • アデノウイルス
  • RSウイルス

これらのウイルスは、上気道に感染し、炎症を引き起こして気道が狭くなることで、典型的な「犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう)」と呼ばれる特徴的な咳を引き起こします。

ウイルス以外にも細菌性のものだったり、アレルギーなどで気管支が狭くなる、逆流性食道炎などが原因となったりもします。

関連記事:こどもが風邪の時におすすめの食べ物は?ご飯を食べないときの対応を解説!

クループ症候群の症状

クループ症候群は、その特有の症状によって診断されることが多いです。

以下に、主な症状について詳しく説明します。

特徴的な咳

クループ症候群の最も特徴的な症状は「犬吠様咳嗽」と呼ばれる、犬が吠えるようだったり、オットセイが鳴くような乾いた咳です。

この咳は、声帯が炎症で腫れることにより、気道が狭くなって起こります。

風邪症状から急激に発症し、特に夜間に強く現れることが多いです。

喘鳴(ぜんめい)

喘鳴(ぜんめい)は、呼吸時にヒューヒュー、ゼーゼーとした音が聞こえる状態を指します。

クループ症候群の場合、息を吸う時に気道の狭窄が原因でこの音が聞こえることがあり、特に呼吸が浅く、苦しそうな状態が見られることが多いです。

かすれ声

声帯の炎症により、声がかすれたり、声が出にくくなることもあります。

お子様が話す際に、声が出にくそうだったり、かすれた声になる場合は、クループ症候群の可能性もあるので注意が必要です。

深夜に症状が悪化

クループ症候群の特徴は、深夜に症状が悪化しやすいということもあります。

体内の自然なホルモンバランスが夜間に変化するため、気道がさらに狭くなることが原因と考えられています。

特に夜中や早朝に、突発的に激しい咳や呼吸困難が起こる場合、クループ症候群の発作である可能性が高いです。

クループ症候群の受診目安

クループ症候群は場合によっては軽度の症状で済み、家庭でのケアで回復することもあります。

しかし、次のような症状の場合には医師の診察を受けましょう。

  • 呼吸が非常に苦しそうで、息を吸うたびにヒューヒュー音がする場合
  • 呼吸をするときに、鎖骨の上の部分、肋骨の一番下の部分が呼吸に伴ってペコペコとへこむ(陥没呼吸)
  • 唇や顔色が青白くなっている場合(チアノーゼ)
  • 水分を十分に取れない、または飲み込むのが難しい状態
  • 深夜に症状が繰り返し悪化し、家庭でのケアで改善しない場合

特に乳幼児の場合、呼吸困難は非常に危険な状態となるため、すぐに医療機関を受診することが大切です。

関連記事:マイコプラズマ肺炎の咳が止まらないときの対処法|治療や予防方法について解説

クループ症候群は何科を受診すべき?

クループ症候群の診察は、基本的に小児科で受けることが推奨されます。

小児科医は、子供特有の呼吸器疾患に対して豊富な知識と経験を持っているため、クループ症候群の診断と適切な治療を受けることが可能です。

症状が非常に重い場合や緊急時には、救急外来の診察が必要となることもあります。

病院を受診する前にどのような咳か録音をしておくと診断や治療に役立ちます。

クループ症候群の治療方法

クループ症候群の治療方法は、症状の重さによって異なります。

軽度の場合は自宅でのケアが中心となることも多いですが、重度の場合は医療機関での治療が必要です。

クループ症候群の主な治療方法を以下に紹介します。

ステロイド剤の投与

炎症を抑え、気道の腫れを軽減するために、経口または吸入によるステロイド剤が処方されることがあります。

ステロイド剤の使用で咳や呼吸困難が和らぐことが多いです。

酸素療法

呼吸をすることが非常に困難な場合には、酸素吸入の処置が行われることもあります。

酸素不足を防ぐことで、お子様の呼吸を安定させることが可能です。

アドレナリン吸入

重度の場合には、気道を迅速に拡張させるためにアドレナリンの吸入が行われることがあります。

これは30分程度の一時的な効果になるため、入院が必要なケースが多いです。

関連記事:百日咳の主な症状は?症状が出ときの対応や予防方法を解説

クループ症候群の家庭でのケア方法

軽度の症状であれば、自宅でのケアも効果的です。

症状が出始めたお子様が快適に過ごせるように、以下のケア方法を紹介します。

部屋の加湿

部屋の乾燥した空気は、炎症が起きた気道をさらに刺激します。

咳や喘鳴を和らげるために部屋の湿度を保つことが重要です。

加湿器を使って部屋を適度に加湿したり、濡れたタオルを掛けておくことで症状が軽減することがあります。

水分補給

水分をしっかりと摂取することも、症状を和らげる助けとなります。

喉の乾燥を防ぐために水やスープなどを、むせないように少量ずつこまめに飲むようにしましょう。

ただし、冷たい飲み物は喉を刺激するので、温かい飲み物を飲むことが推奨されます。

背中をさする

お子様が咳き込んでいる場合、背中をさすってあげることで、落ち着かせたり、症状を和らげたりといった効果が期待できます。

お子様が不安がっている場合には、安心感を与えることも非常に大切です。

上半身を高くして寝る

夜間就寝時の咳や呼吸困難を和らげるために、お子様の上半身を高くして寝かせる方法があります。

上半身を高くすることで気道の圧迫を抑え、呼吸が楽になることがあります。

枕や毛布を使って上半身を少し高くしたり、ベッドの一部を傾斜させるなども効果的です。

千葉内科・在宅クリニックでできること

千葉内科・在宅クリニックでは、クループ症候群の初期診断や治療にも対応しています。

自宅でのケア方法についても詳しくアドバイスし、必要に応じて薬の処方や適切な医療機器の使用を提案することも可能です。

家庭でのケアに不安がある場合や緊急性が高いと感じた場合には、早めの相談をおすすめします。

まとめ

クループ症候群は、特に乳幼児に多く見られる呼吸器疾患で、深夜に発症しやすいという特徴があります。

家庭でのケアが効果的な場合も多いですが、症状が重い場合や改善しない場合には、早めに医療機関を受診することが重要です。

小児科や耳鼻科での診察や治療が適しており、適切な治療を受けることで多くの場合、症状は改善します。

お子様が快適に過ごせるよう、日常からケアにも気を配っていきましょう!

参考文献

クループ症候群(犬吠様咳嗽)とは・・・【 小児科 】|きくな小児科皮ふ科内科クリニック

クループ症候群について

クループ症候群とは|チャイルドクリニック グランベリーパーク院|南町田

クループ症候群で現れる咳の特徴と対処法 | 横浜弘明寺呼吸器内科クリニック健康情報局

大人のおたふく風邪について知っておきたいポイントを解説!

大人のおたふく風邪について知っておきたいポイントを解説!

おたふく風邪と聞くと、子どもがかかる病気というイメージを持つ方が多いかもしれません。

しかし、大人がおたふく風邪に感染すると重篤な合併症を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

この記事では、大人のおたふく風邪が要注意と言われる理由や症状、感染経路について詳しく解説します。

大人のおたふく風邪が要注意と言われる理由

大人のおたふく風邪について知っておきたいポイントを解説!

おたふく風邪(流行性耳下腺炎)は、ムンプスウイルスによって引き起こされる感染症で、特に子どもに多く見られる病気です。

しかし、大人が感染すると、症状が重篤化しやすく、いくつかの重大な合併症が発生するリスクがあります。

大人のおたふく風邪に注意を要する理由を以下に詳しく解説します。

精巣炎

大人の男性が感染した場合、精巣炎を発症することがあります。

精巣炎は、ムンプスウイルスが血流を介して精巣に到達し、炎症を引き起こすものです。

以下の点が問題とされています。

  • 症状
    精巣の腫れ、強い痛み、発熱が主な症状です。
    通常は片側の精巣に症状が現れますが、両側が腫れる場合もあります。
  • 後遺症
    稀ではありますが重度の精巣炎では、精子を作り出す機能が低下し、不妊の原因となる可能性があります。
    不妊のリスクは両側の精巣が炎症を起こした場合に特に高まります。
  • 頻度
    男性の20~30%が精巣炎を発症すると言われています。

卵巣炎

成人女性が感染した場合、卵巣炎を発症することがあります。

卵巣炎は、腹部の痛みや不快感を引き起こします。

  • 症状
    下腹部痛、圧痛、軽度の発熱などが見られます。
  • 後遺症
    通常、卵巣炎は軽症で後遺症を残さないことが多いですが、重症化すると生殖機能に影響を与える可能性があります。
  • 頻度
    成人女性の約5%に見られる比較的稀な合併症です。

無菌性髄膜炎

ムンプスウイルスが脳と脊髄を包む髄膜に感染することで、無菌性髄膜炎を引き起こすことがあります。

これは、早期の診断と治療が求められる重篤な状態です。

  • 症状
    激しい頭痛、発熱、吐き気、嘔吐、首の硬直が特徴です。
    これらの症状が見られた場合、速やかに医療機関を受診する必要があります。
  • 頻度
    成人のおたふく風邪患者のうち、約10%が無菌性髄膜炎を発症するとされています。
  • 治療
    無菌性髄膜炎は通常、適切な対症療法によって回復しますが、治療が遅れると重篤化する恐れがあります。

難聴

おたふく風邪の合併症として稀ですが、「ムンプス難聴」という障害が発生することがあります。

  • 症状
    片耳または両耳で聴力が低下し、耳鳴りを伴うこともあります。
    聴力が完全に失われるケースも報告されています。
  • 後遺症
    ムンプス難聴は、ほとんどの場合、不可逆的であり回復が見込めません。
    したがって、感染予防が極めて重要です。
  • 頻度
    非常に稀で、1000人に1人程度とされています。

なぜ大人の方がリスクが高いのか?

  • 免疫の欠如
    子どもの頃にワクチンを接種していない、または自然感染していない人は、免疫を持っていないため、大人になってから初感染すると症状が重くなりやすい傾向があります。
  • 体の反応
    成人の免疫システムは、子どもに比べて過剰に反応しやすく、炎症が強くなることで症状や合併症のリスクが高まります。

大人もうつるおたふく風邪とは?

大人のおたふく風邪について知っておきたいポイントを解説!

おたふく風邪に大人が感染すると、耳下腺の腫れや痛み、発熱などの症状が顕著になるだけでなく、以下などの重篤な合併症が発生するリスクが高まります。

  • 精巣炎
  • 卵巣炎
  • 無菌性髄膜炎
  • 難聴

これらの合併症は不可逆的な難聴など一生涯にわたる後遺症を残す場合もあるため、大人の感染には特に注意が必要です。

予防策としては、ワクチン接種が最も効果的であり、免疫がない可能性がある場合は抗体検査を行うことが推奨されます。

また、感染者との接触を避けることや、手洗い・マスク着用といった基本的な衛生管理を徹底することも重要です。

家庭や職場などの生活環境で感染を広げないためにも、大人が適切な予防と対策を講じることが必要不可欠です。

おたふく風邪の症状

大人のおたふく風邪について知っておきたいポイントを解説!

おたふく風邪(流行性耳下腺炎)は、感染後14~25日の潜伏期間を経て発症します。

発症すると特徴的な症状が現れ、体全体に影響を及ぼすことがあります。

耳下腺の腫れと痛み

おたふく風邪の最も特徴的な症状が、耳下腺(耳の下から顎にかけて位置する唾液腺)の腫れと痛みです。

症状の詳細

  • 腫れ
    片側または両側の耳下腺が腫れ、顔が丸みを帯びた特徴的な外見になります。
    腫れは発症から1~3日でピークを迎え、5~7日ほどで徐々に引いていきます。
  • 痛み
    腫れた部分は触れると痛みを感じ、日常生活で不快感を伴います。
    特に食事中や唾液が分泌されるタイミングで痛みが増すことがあります。

影響と注意点

耳下腺の腫れは多くの患者で見られる典型的な症状ですが、大人の場合は腫れや痛みがより強く出ることがあり、治癒までに時間がかかる傾向があります。

腫れが片側だけの場合や耳下腺以外の唾液腺が腫れるケースもあるため、症状に気づいたら早めに医療機関を受診しましょう。

38度以上の発熱

おたふく風邪では、多くの患者で38度以上の発熱が見られます。

これは、体がムンプスウイルスと闘うための免疫反応として起こるものです。

症状の詳細

  • 発熱の特徴
    熱は耳下腺の腫れが始まる頃に現れ、1~3日間続くのが一般的です。
    時には40度近くまで上がることもあり、発熱とともに全身倦怠感や寒気を伴うことがあります。
  • 大人の場合
    大人では発熱が子どもより長引く
    傾向があり、高熱による体力消耗が大きくなる場合があります。

影響と注意点

発熱そのものは感染症に対する体の防御反応ですが、高熱が続く場合は脱水症状に注意が必要です。

発熱に加えて強い頭痛や嘔吐が見られる場合、無菌性髄膜炎の可能性もあるため、速やかに医療機関を受診してください。

嚥下痛

嚥下痛(飲み込む際の痛み)は、耳下腺の腫れによって喉や周辺組織が圧迫されることで引き起こされる症状です。

症状の詳細

  • 痛みの程度
    軽度の違和感から、強い痛みを伴う場合まで症状はさまざまです。
    特に固形物や酸味のある食べ物を飲み込む際に痛みが増します。
  • 関連する部位
     嚥下時の痛みは耳下腺に限らず、顎下腺や咽頭部の腫れや炎症が原因になることもあります。

影響と注意点

嚥下痛が強い場合、食事や水分摂取が難しくなり、栄養不足や脱水症状につながる恐れがあります。

無理に固形物を摂るのではなく、スープやゼリーなど、喉越しの良い食事を選ぶと良いでしょう。

また、嚥下痛がある場合でも水分摂取は特に重要です。こまめに飲み物を摂ることを心掛けてください。

おたふく風邪の感染経路

大人のおたふく風邪について知っておきたいポイントを解説!

おたふく風邪は、一般的に冬から春にかけて(1月~5月)増加する傾向があり、主に飛沫感染や接触感染を通じて広がります。

このウイルスは非常に感染力が高く、症状が現れる前後の時期にも他人にうつす可能性があります。

以下に、感染の具体的な経路について詳しく解説しましょう。

飛沫感染

飛沫感染は、感染者の咳やくしゃみによって飛び散るムンプスウイルスを含む微小な液滴を、周囲の人が吸い込むことで感染する経路です。

感染のメカニズム

  • 発生源
    感染者が咳、くしゃみ、話をする際に放出される飛沫にウイルスが含まれます。
    この飛沫は空気中に短時間漂い、近くの人の鼻や口、喉の粘膜から体内に侵入します。
  • 感染しやすい条件
    密閉された空間や人が多く集まる場所で感染リスクが高まります。
    特に家庭内や学校、職場といった近距離での会話や接触が避けられない環境では、飛沫感染が主要な感染経路となります。

注意が必要なタイミング

飛沫感染は、発症の1~2日前から感染力を持つため、感染者本人がまだ自覚症状がない状態でも他人にウイルスをうつす可能性があります。

このため、潜伏期間中の感染が問題になることもあります。

予防方法

マスクを着用することで、飛沫の拡散を防ぐことができます。

感染者だけでなく、周囲の人も予防目的でマスクを使用すると効果的です。

また、密閉空間では換気を行い、空気中のウイルス濃度を低減させることが重要です。

接触感染

接触感染は、感染者が触れた物や表面を介してウイルスが広がり、別の人がそのウイルスに触れた後に鼻や口、目などの粘膜を触ることで感染する経路です。

感染のメカニズム

  • 発生源
    感染者が手で口や鼻を触ったり、咳やくしゃみをした際にウイルスが手や物に付着します。
    この手で触れたドアノブ、机、タオル、食器、スマートフォンなどがウイルスの媒介となります。
  • 感染の流れ
    次にそれらの物や表面を他の人が触り、ウイルスが手に付着。
    その手で顔を触ることで、ウイルスが鼻や口から体内に侵入します。

注意が必要な場面

  • 家庭内
    タオルや食器を共有することで感染が広がりやすくなります。
  • 職場や学校
    複数の人が触れる共用スペース(ドアノブやスイッチなど)は特に注意が必要です。

予防方法

手洗いを徹底することで、接触感染のリスクを大幅に軽減できます。

外出先から戻った際や食事の前後に、石鹸と流水で20秒以上手を洗うことを習慣づけましょう。

また、アルコール消毒剤を使った手指消毒も効果的です。

家庭内で感染者がいる場合は、タオルや食器の共有を避け、ウイルスの付着が疑われる物を定期的に消毒してください。

おたふく風邪の治療法

大人のおたふく風邪について知っておきたいポイントを解説!

おたふく風邪の治療法には特効薬がないため、治療は対症療法が中心となります。

耳下腺の腫れや痛みには冷却や鎮痛剤の使用、発熱時には解熱剤や水分補給が効果的です。

嚥下痛がある場合は、喉越しの良いスープやゼリーなどを選ぶと負担を軽減できます。

大人の場合、精巣炎や無菌性髄膜炎、難聴といった合併症のリスクがあるため、以下などの異変を感じたら速やかに医療機関を受診してください。

  • 強い頭痛
  • 嘔吐
  • 精巣や腹部の痛み

また、治療中は安静を保ち、症状が完全に収まるまで活動を控えることが大切です。

周囲への感染を防ぐために、隔離や手洗い、マスクの着用を徹底し、家庭内ではタオルや食器を共有しないよう注意しましょう。

おたふく風邪を予防するポイント

大人のおたふく風邪について知っておきたいポイントを解説!

おたふく風邪は、感染力の高いムンプスウイルスによって引き起こされるため、予防策を徹底することが非常に重要です。

特に、大人は重症化や合併症のリスクが高いため、感染を防ぐための取り組みが必要です。

以下では、具体的な予防策を詳しく解説します。

ワクチン接種

おたふく風邪を予防する最も効果的な方法は、ムンプスワクチン(おたふく風邪ワクチン)の接種です。

ワクチンの概要

  • 対象年齢
    通常、初回の接種は生後12か月以降に行われ、2回目の接種が小学校入学前に推奨されます。
    大人の場合、過去に接種歴がなく抗体がない場合は接種を検討することが推奨されます。
  • 効果
    ワクチンを接種することで感染を予防できる確率が高まり、たとえ感染した場合でも症状が軽減され、重症化や合併症のリスクが大幅に低減します。
  • 注意点
    妊娠中の接種は避ける必要があります。
    また、接種後2~3週間は発熱や軽い発疹が出ることがありますが、これは一時的な反応です。

成人のワクチン接種

免疫がない成人もワクチン接種が可能です。

職場や家庭内で子どもと接する機会が多い人や、医療従事者、教育関係者は特に接種が推奨されます。

自身の抗体の有無を確認するため、医療機関で抗体検査を受けることもできます。

手洗い

手洗いは接触感染を防ぐ基本的な予防策であり、ウイルスが手や物を介して体内に侵入するのを防ぐために非常に重要です。

正しい手洗いの手順として、まず流水で手を濡らし、石鹸を使ってしっかりと泡立てます。

その後、手のひら、手の甲、指の間、指先、爪の周り、手首といった部位を20秒以上かけて丁寧に洗い、石鹸が残らないよう十分に流水ですすぎます。

洗った後は、共用のタオルではなく個人専用のタオルや使い捨てのペーパータオルで拭くと効果的です。

手洗いが難しい場合は、アルコール消毒液を使うことも有効な補助手段となります。

マスクの着用

マスクは飛沫感染を防ぐための重要な対策で、感染者の飛沫の拡散を防ぐだけでなく、周囲の人が飛沫を吸い込むリスクを軽減します。

正しい着用方法として、鼻と口を完全に覆い、顔に密着させて隙間ができないように装着することが大切です。

使い捨てマスクは、外側に触れないように注意して外し、すぐにゴミ箱に捨てる必要があります。

また、布マスクを使用する場合は、1日1回洗濯し、清潔な状態を保つことを心掛けましょう。

千葉内科・在宅クリニックでできること

当クリニックでは、おたふく風邪(流行性耳下腺炎)の診察・治療において、患者様一人ひとりに寄り添い、丁寧な問診・診察を心がけています。

症状の進行や合併症のリスクを適切に評価し、最適な治療プランをご提案いたします。

大人からお子様まで幅広く対応しておりますので、安心してご相談ください。

また、外来診療だけでなくオンライン診療も行っております。

オンライン診療では診察時間までご自宅でゆっくりと安静にしておまちいただけますのでぜひご利用ください。

▶オンライン診療についてはこちらから

まとめ 

おたふく風邪は、子どもだけでなく大人にも感染し、重篤な合併症を引き起こすことがあります。

特に大人が感染した場合は、合併症のリスクが高まるため、予防が重要です。

感染経路や症状、治療法を理解し、適切な対策を講じることが大切です。

千葉内科・在宅クリニックでは、おたふく風邪に関する診療や予防接種を行っています。

ぜひご活用ください。

がんの放射線治療について|副作用や費用などについて解説

こんにちは。千葉内科・在宅クリニック 辺土名です。

社会の高齢化に伴い、日本人の2人に1人が一生に一度はがんに罹ります。

現在、年間で80万人以上の方が新たにがんと診断される状況です。

日本で主に行われているがんの治療法は、以下の4つがあり、これらはがんの四大治療法と呼ばれているのです。

  1. 手術療法
  2. 放射線療法
  3. 化学療法(抗がん剤)
  4. 免疫療法

今回は、これらの中でも特に放射線療法に焦点を当て、その特徴や治療法について詳しく解説していきましょう。

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がんの放射線治療とは

放射線療法とは、手術と同様にがんのある部分だけを治療する局所治療です。

臓器をとらずに治療することができるので、手術などの外科的療法に比べ、体への負担が少ないことがほとんどです。

そのため、高齢者や体力のない患者さんでも治療行うことができます。

また、局所的な治療のため効果も悪影響も原則として治療した部位に限られます。

放射線療法に使われる放射線には、以下など種類があります。

  • エックス線
  • 電子線
  • 陽子線
  • 重粒子線
  • ガンマ線
  • ベータ線
  • アルファ線

さらに、外部照射や小線源治療、粒子線治療、内用療法など治療法により使用する放射線の種類は異なります。

一般的な放射線治療には、リニアックと呼ばれる放射線発生装置を使用し、リニアックによって作られた放射線を体の外部から照射。

そして、放射線治療でがん細胞の遺伝子を傷つけて、がん細胞を死滅させる仕組みです。

活発に活動し、分裂している細胞ほど、放射線の影響を受けやすく、ゆっくりとしたスピードで大きくなるがんは影響を受けにくい傾向があります。

放射線療法は、局所治療にはなりますが正常な細胞も放射線の影響を受けることを免れることはできません。

ただし、がん細胞に比べてかなり速いスピードで傷を修復することができるので、正常細胞が受ける傷は少なくて済みます。

関連記事:末期がんによく見られる症状とは?急に悪化するのは死の兆候?

がんの放射線治療の種類

X線

放射線療法の中でも、電磁放射線による治療に分類されるX線療法。

X線療法には、以下などの照射方法によって細かく分類されています。

  • 高エネルギー放射線治療
  • 三次元原体照射(3D-CRT)
  • 強度変調放射線治療(IMRT)
  • 定位放射線治療(SRT)

現在多く用いられているのが、高エネルギーのX線を発生させて、がんに直接X線を照射する治療法です。

X線は放射線治療で古い歴史があり、場合によっては外科手術と同等、もしくはそれ以上の治療成績を残せるようになってきています。

ただ、体の表面近くで線量が最大となり、それ以降体内を進むにしたがって吸収される放射線線量が徐々に減少します。

電子線療法

電子線は、体の深部まで届かず、浅いところで止まる性質から、周りの正常細胞を傷つけずに治療を行うことができます。

主に皮膚がんのような表在性のがんの治療に用いられています。

粒子線治療(陽子線・重粒子線)

比較的新しい放射線療法として、現在行われている粒子線治療。

放射線によって陽子線治療や重粒子線治療と呼ばれることがあります。

陽子や重粒子などの粒子放射線のビームを病巣に照射する放射線療法の総称です。

X線による治療と比較して、がんの病巣に合わせて放射線をより集中できる利点があります。

粒子線は、体内に入っても表面近くではエネルギーをあまり放出せず、停止する直前にエネルギーを放出して大きな線量を組織に与える性質があります。

病巣の深さや大きさに合わせて、ピークの深さや幅を調整することで、病巣に効率よく線量を集中させることが可能です。

一方、正常な組織への線量を少なくします。

関連記事:胃がんの診断・治療と名医を受診するお勧めポイント|BeMEC

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特殊な放射線治療

IMRT(強度変調放射線治療)

IMRTとは、放射線の分布を腫瘍に沿った複雑な形状にするため、空間的に不均一な照射ビームを多方面から照射する技術です。

特に、放射線治療の標的が複雑な形状で温存するべき正常組織と近接している場合に力を発揮するので、頭頸部腫瘍や前立腺がんに対してよく用いられます。

SRT(定位放射線治療)

がん病巣に対してあらゆる方向から放射線を照射することにより、線量を集中させて治療を行う方法です。

そのため一度に高線量の放射線を病巣に対し照射することができます。

放射線を集中的に照射するために、治療部位の位置合わせをより精密に行い、治療中は体が動かないように対策を講じる必要があります。

BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)

通常の生体内元素の数千倍の核反応を中性子と起こすホウ素薬剤BPAを注射により腫瘍細胞に集積させ、そこに中性子を照射し、病巣内部に限局的な核反応を起こします。

核反応により生じた重荷電粒子は、従来の放射線療法に比べて、はるかに大きな線量を腫瘍細胞のみに照射することができるようになりました。

そのため、これまで治療不可であった病巣にも、著しい損傷を与えることが期待できる、大きな可能性を持った治療法です。

関連記事:乳がんのしこりは痛みがない?なりやすい人の特徴や検査についても

放射線治療の有害事象

皮膚反応

皮膚は全身を覆っている臓器です。

体外照射では、どの方向から照射しても皮膚への影響は避けられません。

放射線治療開始し、2~3週間後位から放射線が当たった範囲の皮膚の赤みやかゆみ・痛みなど、日焼けのような症状が出現。

照射を重ねるごとに、皮膚のびらんなどの炎症症状が強く出る場合もありますが、症状は治療終了とともに、徐々に落ち着いていきます。

ただし、色素沈着や皮膚の乾燥・かゆみが残るケースもみられます。

疲労感

放射線治療による疲労は、治療によってダメージを受けた正常な細胞が修復する時に、多くのエネルギーが必要になるためと考えられています。

これは、治療の回数が進むと出現しやすい症状ですが、治療終了後は徐々に感じなくなっていきます。

消化器症状

放射線治療開始から比較的早い時期に、吐き気・食欲がないなどの消化器症状が出現することがあります。

消化器症状は、一般的には数日間~一週間程度で改善することがほとんどです。

照射範囲が広い場合や、照射部位が腹部の場合は強く症状が出現する傾向があります。

口腔内の症状

口や喉の周囲は、粘膜や唾液腺は影響を受けやすく、粘膜の炎症や唾液分泌量の低下が起こります。

口・喉の粘膜炎や口腔乾燥は、放射線治療開始後2~3週間ごろから症状が出現します。

粘膜炎は放射線照射範囲で粘膜が赤くなり、痛みが出現。

食べ物や飲み物が飲み込みにくくなったり、声がかすれるなどの症状が出現します。

炎症に関しては、治療終了後から徐々に改善していきますが、口の乾燥は回復に時間がかかったり、完全には回復しない可能性があります。

口の中を清潔に保ち、保湿剤などを使い、うるおいのある状態にして乾燥を予防しましょう。

骨髄抑制

血液細胞は、骨髄で作られます。

骨髄がたくさんある骨盤・胸骨・椎体など広範囲に放射線が照射されると、骨髄で血液細胞を作る能力が低下。

これを骨髄抑制をいい、以下などの症状が現れことがあります。

  • 白血球の減少
    細菌と戦う能力が低下し、感染症にかかりやすくなる
  • 赤血球の減少
    酸素を運ぶ能力が低下し、貧血や疲労感を引き起こす
  • 血小板の減少
    血液凝固が妨げられ、出血しやすくなったり血が止まりにくくなる

放射線療法だけで治療している場合は、治療を中止しなければならなくなるほどの低下はかなり稀です。

抗がん剤などと併用される場合は注意が必要になります。

放射線肺炎

肺に放射線が照射された範囲で起こる肺炎です。

症状は咳や発熱、息苦しさですが、無症状で経過することもあります。

軽症であれば自然に治癒しますが、症状によっては抗炎症薬の投与など治療が必要になる場合もあります。

肺炎が起こった部位は、治療終了後数か月から数年かけて肺線維症に移行しますが、多くの場合自覚症状がなく問題となることはありません。

性機能障害

がんの種類や治療期間によっても変動しますが、骨盤内にある臓器に放射線を照射した場合、男性は勃起を維持することが難しくなる場合があります。

また、精巣は放射線の影響を受けるため、男性ホルモンの分泌が低下し、勃起不全が起こる可能性も否定できません。

女性は、骨盤内臓器に照射した場合、女性ホルモンが低下し、膣の粘膜が乾燥したり、膣の弾力が低下する可能性があります。

また、かゆみや不快感が現れる可能性もあります。

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がんの放射線治療の費用

放射線治療の費用は、使う放射線の種類や治療方法・治療回数によってことなります。

定位放射線療法であれば、3割負担で約19万円、1割負担で約6万円ほどです。

その他、診察代や入院で行う場合は、入院費等もかかるので、治療先の病院で確認してみてください。

関連記事:訪問診療とは?診療の内容や受診すべき人の特徴などについて解説

放射線治療が効かないがんとは?

胃がんや大腸がんは放射線治療の効果が低いと言われています。

また、効果が弱いだけでなく、正常な大腸や小腸を損傷しやすいため、通常は放射線を照射することはありません。

しかし、骨やリンパ節に転移が起きたときに、その転移部位に放射線を照射することはあります。

胃がんは出血を止めるため、大腸がんは手術後の局所再発を防いだり、肛門を温存することを目的とした補助治療として放射線療法を行う場合があります。

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千葉内科・在宅クリニックでの放射線治療

千葉内科・在宅クリニックでは放射線治療を行うことができません。

放射線治療が必要な患者様がいらっしゃれば、当院から放射線治療を行っている医療機関へのご紹介を行うことができます。

また、放射線治療後の有害事象にお悩みの際は、当院にて適切に治療を行っていきますので、気軽にご相談ください。

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まとめ

様々な放射線や放射線による有害事象を説明しましたが、いかがでしたでしょうか?

がんの種類や部位によって様々な選択肢があるので、検討されている方は、医師に相談してみましょう。

放射線療法は、高い治療効果と少ない有害事象を目指し、最近では保険対応の範囲も広がってきています。

治療時間もおおむね10分~30分前後で痛みもないため、治療の1つとしてご検討ください。

参考文献

▶放射線治療Q&A|公益社団法人 日本放射線腫瘍学会

▶放射線治療の種類と方法|がん情報サービス

▶定位放射線治療(SRT/SBRT)|国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院

足の臭いの原因は?臭う人の特徴や自宅ケアを解説

足の臭い

男女や年齢に関係なく、足の臭さに悩んだことは無いでしょうか?

外出中の場合は、足を洗うことができず靴が脱げない!

なんて経験も誰しもしたことがあるでしょう。

本記事では足の臭いの原因や臭いやすい人の特徴、自宅でできるケア方法などをご紹介します。

足の臭いが気になる方はぜひ参考にしてください。

足の臭いの原因は?

知らない人が多いかと思いますが、本来、足の汗は無臭です!

足の裏にはエクリン汗腺という汗の腺が集中しているので、汗を沢山かきますが、エクリン汗腺から出る汗は無味無臭です。

足の臭いの主な原因は、足の汗と細菌の相互作用です。

足は1日に最大500mlもの汗をかくことがあります。

特に、靴を履いたまま長時間過ごすと、足の汗が蒸れて、細菌が増殖しやすくなります。

これによって、汗の成分が細菌によって分解され、特有の悪臭『イソ吉草酸』という成分を生じさせるのです。

この『イソ吉草酸』は、特定悪臭物質に指定され、チーズなどにも含まれています。

また、足の指間の湿度や皮膚の角質層の厚さもにおいの発生に影響を与えます。

これらの要因が重なることで、足のにおいが強くなることがあるのです。

これらのことから、足の匂いの対策は「細菌対策」!

これに尽きるでしょう。

関連記事:汗が臭い原因と対策を男女別にわけて解説|匂いの特徴についても

足が臭う人の特徴

足の臭いの原因が判明したところで、足が臭う人の特徴はあるのか気になるところだと思います。

足が臭う人の特徴として以下などが挙げられます。

  • 足裏に汗をかきやすい
  • 靴や靴下の通気性が悪い
  • 同じ靴を履き続けている
  • 足を十分に洗えていない
  • 疲れている

これらの特徴について解説しましょう。

足裏に汗をかきやすい

先述した通り、足の裏にはエクリン汗腺という汗の腺が集中しています。

そのため、人は足裏に汗をかきやすいと言えるでしょう。

主に体温調節として汗をかきますが、多汗症などの場合は、ストレスや自律神経の乱れなどで汗が多くなります。

靴や靴下の通気性が悪い

靴の中の湿度は、靴の素材や形状、靴下の種類、歩行の強度や時間、気温や湿度などによって変化します。

一般的には、靴を履いていると足から発汗するために靴内は高温多湿になりやすく、特に足指間は通気性が悪くて蒸れやすい部分です。

靴の素材や形状が通気性や透湿性に欠ける場合、湿度が高くなりやすくなります。

また、靴のサイズが足に合っていない場合、靴が足に密着しすぎたり、余裕がありすぎたりすると、足に余計な負担がかかり、汗をかきやすい状況になってしまいます。

足の臭いを抑えるためにも通気性のよい、サイズの合った靴を選ぶとよいでしょう。

同じ靴を履き続けている

毎日、同じ靴を履くと、靴の中にも細菌が増えて、靴自体が臭くなる事もあります。

長時間同じ靴を履き続ける場合、細菌やカビが繁殖しやすくるためです。

特に暑い季節や運動時は注意が必要になるでしょう。

足を十分に洗えていない

足を定期的に洗っていないと、角質・垢が蓄積し、常在菌による酸化・分解作用の材料がたまっている状態になります。

指先やかかと、指の間は特に汚れが残りやすい場所です。

足を洗う場合はこれらの汚れが残りやすい場所にも気を付けて洗うようにしましょう。

疲れている

ヒトはストレスを感じると交感神経が優位に働き、闘争逃走行動を効果的に行うために、血圧・心拍数・呼吸数を上昇させ、汗腺を活発にします。

そのため、ストレスがたまると汗をかき、臭いを作りやすい環境を作りやすいと言えるでしょう。

また、疲労がたまると足の臭いが発生する仕組みとは別に「疲労臭」と呼ばれる臭いがすることがあります。

この原因は、タンパク質を分解するときに発生するアンモニアの臭いです。

アンモニアは通常、肝臓で分解され、体外に排出されますが、肉体的ストレスや精神的ストレスがたまっている状況では、免疫力が低下してアンモニアが排出されずに体内に残ってしまうことがあります。

その場合、血液に乗って全身をめぐり、汗や皮脂に含まれた状態で分泌されることがあります。

足の臭いに効果のある自宅ケア

足の臭いが気になるときにどういった対策ができるでしょうか?

自宅でできるケアとして以下などが挙げられます。

  • 通気性の良い靴・靴下に変える
  • 足を清潔に保つ
  • 足の爪をこまめに切る
  • ミョウバン水を使用
  • 重曹足湯

これらの自宅ケアについて詳しく紹介しましょう。

通気性の良い靴・靴下に変える

靴の蒸れを防ぐためには、通気性や透湿性の良い素材を選びましょう。

また、防水タイプの靴は防水にはもってこいですが、その反面蒸れやすいといえます。

そのため、必要な時以外は避けましょう。

足を清潔に保つ

足を清潔に保つ方法として6つのポイントをご紹介します。

  1. 毎日、足指の間まで丁寧に泡で洗う 
  2. 靴を履くときは必ず靴下を履く
  3. 除菌効果のあるウェットティッシュで拭くことで、臭いの原因菌を除去する
  4. 靴下は天然繊維(綿、ウール、絹など)の物
  5. 清潔な靴下を履く(毎日洗い替える、すでににおっている靴下は履かない)
  6. 履物を共有しない(靴、靴下、サンダル、スリッパなど)

これらのポイントを抑え、足を清潔に保ちましょう。

足の爪をこまめに切る

爪に古くなった角質がたまります。

爪と指の間の黒色や白色の垢を見たことありませんか。

爪が長いと、爪垢がたまる面積が増え、細菌の繁殖が急速に進行します。

また、巻き爪の方は特に汚れがたまりやすい傾向です。

この場合には、爪ブラシや爪垢取りなどの道具を使い取り除きましょう。

ゴシゴシと力を入れて擦ってしまうと皮膚を傷つけてしまうこともあるので、丁寧に優しく行ってください。

ミョウバン水を使用

ミョウバンとは、硫酸アルミニウムカリウムのことです。

無色または白色の粉末となっており、味は渋く、匂いはありません。

ミョウバンには、収れん効果があります。

収れん作用とは毛穴を一時的に引き締めて、汗や皮脂の過剰分泌を抑制する作用です。

ミョウバン原液は、水道水300mlと焼きミョウバン10gを混ぜて、白く濁った液体が透明になるまで数日ほど待てば完成します。

ミョウバン原液を10倍に薄めたミョウバン水にタオルやハンカチを浸して絞ればミョウバンおしぼりができます。

これをポリ袋に入れて持ち歩き、こまめに足の裏をぬぐうと効果的です。

重曹足湯

重曹足湯とは、重曹(重炭酸ソーダ)を溶かした足湯のことです。

重曹は弱アルカリ性の性質を有するため、足の臭いの原因である酸性の悪臭成分を中和する働きがあります。

また、足裏や指間の古い角質を取り除く効果もあり、足の嫌な臭いを発生させるのを防ぐ働きがあります。

ただし、足の臭いがアンモニア臭である場合、アンモニアはアルカリ性であるため同じアルカリ性の重曹では、臭いが取れません。

その場合、ミョウバン水で代用することができます。

関連記事:ワキガ・汗の臭いの原因は?効果的な対策をご紹介

足だけでなく靴の対策も必要?

足の臭いを抑えるには足だけでなく靴の対策も必要になります。

具体的な対策として以下などが挙げられます。

  • 靴をローテーションさせる
  • 靴を干す
  • 防臭・抗菌スプレーを使用する

これらの対策について詳しく解説しましょう。

靴をローテーションさせる

1日履いた靴は、沢山の汗を吸っています。

毎日同じ靴を履くと汗は蓄積していきます。

そのため、靴は何足かをローテーションで履くようにしましょう。

靴を乾燥させる

靴を乾燥させるだけなら、日向に干せば雑菌の繁殖を抑えることができると考えがちです。

しかし、日向に干してしまうと、直接日光(紫外線)が靴に当たり、靴の傷み方が早くなります。

それによって、靴が変色してしまったり、ゴムなどの部分が固くなってしまったりします。

お気に入りの靴を長持ちさせるためにも、日向ではなく日陰に干すことが大切です。

陰干しする場所は、室内外を問いません。

直接日光が当たらず、風通しの良い場所であればどこでも大丈夫です。

但し、時間帯によって日向・日陰になる場所が変わるのでそれを考慮しましょう。

どうしても日陰の場所がなければ、大きめのタオルなどを近くに干して日陰の場所を作りましょう。

靴を干す時は、乾きにくい部分が風に当たるようにして置くことがポイントです。

例えば、湿気が多い内側部分や、なかなか乾かない縫い目の部分などですね。

これらの部分を重点的に風に当てることで、よりスムーズに乾くようになります。

防臭・抗菌スプレーを使用する

靴のローテーションができない人や日陰干しなどの時間が無い人におすすめの方法です。

やや値段がしますが、防臭・抗菌スプレーの使用をおすすめします。

消臭とは、発生した臭いを無臭化することを言います。

そのため、臭いがすでに発生しているときに使用すると効果は抜群です。

防臭スプレーは臭い分子を生み出す細菌にアプローチすることで、臭い分子が発生することを抑制することができます!

防臭・抗菌スプレーは、臭いが発生する前に使用すると効果的です。

足の臭いで病院受診は必要?

今まで、足が臭う理由や原因を述べてきましたが、あらゆる対策を講じても、臭う原因が分からない場合もあるかと思います。

病院やクリニックに通うのは、気が引けるかもしれませんが、ほかの病気が原因ではないことを確かめるために、医師に相談することは意味があるといえるでしょう。

躊躇せずに、ぜひ受診を検討してください。

基本的に、診療科目は皮膚科となります。

近くに皮膚科がない場合は、かかりつけの内科などで相談してみるのもおすすめです。

気軽にご相談ください。

関連記事:気になる汗のにおいの対策について|汗が臭い人と臭くない人の違いとは?

千葉内科・在宅クリニックでできる対応

千葉内科・在宅クリニックでは足の臭いに関してのご相談や治療を行っています。

まず問診や診察を行い、日常的なケアで改善が可能か、投薬などの治療が必要かを判断します。

必要と判断した場合は、塗り薬や飲み薬の処方が可能です。

少しでも困っていることがあれば、気軽にご相談ください。

▶オンライン診療について詳しくはこちら

まとめ

足の臭いの主な原因は汗と細菌の相互作用です。

足の汗自体は無臭ですが、細菌との反応で特有の臭い(イソ吉草酸)が発生します。

今回紹介した対策を試しても改善が見られない場合は、皮膚科や千葉内科・在宅クリニックでも相談や治療が可能です。

「考えすぎかな」と思わずに、専門家の助けを求めてください。

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心配せずに、医師に相談してみましょう。

インフルエンザの潜伏期間は何日?感染力や薬の予防投与について解説

インフル 潜伏期間

こんにちは!千葉内科・在宅クリニックの辺士名です!

急に気温が下がり、インフルエンザが流行する季節がやってきました。

インフルエンザは感染力が強いので周囲の方にうつしてしまわないか不安になりますよね。

そこで、今回はインフルエンザの主な症状や合併症はもちろん。

潜伏期間や潜伏期間中の感染力などについて詳しく解説しています。

インフルエンザが流行するこれからの時期にぜひ参考にしてください。

インフルエンザの主な症状

インフルエンザはインフルエンザウイルスによって引き起こされる急性呼吸器感染症です。

毎年冬から春先にかけて流行します。

主に飛沫感染・接触感染により感染します。

従来のかぜ症候群(ライノウイルスや、新型ではない従来のコロナウイルス)よりも急速に発症するのが特徴です。

インフルエンザの症状には以下などが挙げられます。

発熱

インフルエンザの代表的な症状の一つが、突然の発熱です。

通常、38度以上の発熱が数日続きます。

大人も子供も一気に体温が上昇することが多く、悪寒や寒気を伴うことがあります。

頭痛

インフルエンザの頭痛は強く耐え難い痛みを伴うことも少なくありません。

特に前頭部やこめかみ付近で感じることが多く、目の奥が痛む場合もあります。

発熱と同時に現れることが多いです。

筋肉痛・関節痛

インフルエンザでは、発熱と同に筋肉痛や関節痛もよく見られる症状です。

特に、背中や脚の筋肉が痛むことが多く、動くたびに痛みが増す場合もあります。

通常、発熱が治まると徐々に筋肉痛や関節痛も治まります。

倦怠感

インフルエンザでは、強い倦怠感や疲労感があり、日常生活に支障をきたします。

体全体に力が入らない、何をするにも億劫といった重だるさが特徴です。

風邪と比べて長引く傾向にあります。

呼吸器症状

インフルエンザでは、咳、喉の痛み、鼻水や鼻づまりなどの呼吸器症状が現れます。

これらの症状は風邪と似ていますが、より重症であることが多いです。

咳が激しくなることもあり、胸に痛みを感じることもあります。

その他の症状

一部の患者では、食欲不振、悪寒、吐き気、嘔吐、下痢などの消化器症状が見られることもあります。

特に、高齢者や子どもはこうした症状が出やすく、脱水症状を引き起こす場合もあるため注意が必要です。

重症化した場合、中枢神経に影響が及び、意識障害や錯乱が生じる場合もあります。

このような症状が出た場合は、早急に医療機関へ受診しましょう。

インフルエンザの合併症

インフルエンザは通常、数日から1週間程度で回復します。

しかし、高齢者、幼児、妊婦、慢性疾患を持つ人などは、以下のような重篤な合併症を引き起こすことがあり注意が必要です。

インフルエンザ肺炎

インフルエンザにより、ウイルスが肺まで侵入するとインフルエンザ肺炎、インフルエンザが原因で細菌に二次感染した場合、細菌性肺炎を併発することがあります。

通常、インフルエンザの初期症状が出てから数日以内に発症することが多く、高齢者や免疫力が低下している方は、インフルエンザの症状が治まる前後に発症することがあります。

インフルエンザ初期の咳や呼吸困難が長く続く場合は注意が必要です。

急性呼吸窮迫症候群(ARDS)

急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、インフルエンザが重症化した際に起こる可能性がある合併症です。

肺内での強い炎症反応により、肺が正常に機能しなくなり、酸素が血液に十分に取り込めない状態が引き起こされます。

急性呼吸窮迫症候群はインフルエンザ発症から1~2週間以内に見られることが多いです。

また、進行が早く、短時間で呼吸不全に至ることが多いため、緊急の対応が必要となります。

特に基礎疾患を持つ方は高いリスクがあり、インフルエンザ発症時に注意しましょう。

心筋炎・心膜炎

インフルエンザウイルスが血流を通じて心臓に到達すると、心筋や心膜に炎症を引き起こし、心筋炎や心膜炎を発症することがあります。

インフルエンザ発症後4~7日後に発症することが多く、胸痛や不整脈、呼吸困難などの症状が見られます。

特に高齢者や基礎疾患を持つ方はリスクが高いため、注意が必要です。

心臓に異常が見られた場合は早急に医療機関を受診しましょう。

インフルエンザ脳症

特に5歳以下の子どもでは、インフルエンザに関連する脳症が発症することがあります。

インフルエンザ感染後3日~2週間と長い期間おいて発症、ウイルス感染にともなう急速に進行する広範囲の脳浮腫による脳機能の障害です。

突然の痙攣や意識障害を引き起こすことがあります。

重症になると昏睡状態や亡くなってしまうケースも考えられるため、インフルエンザが治った後も状態に注意するようにしましょう。

悪化する既存の慢性疾患

インフルエンザは、糖尿病や喘息、心疾患などの既存の慢性疾患を悪化させる原因にもなります。

ウイルス感染により、体の免疫システムが負担を受け、持病の症状が増悪することが多いです。

例えば、喘息患者では気道がさらに炎症を起こして呼吸困難が悪化し、糖尿病患者では血糖値の管理が難しくなる場合があります。

このため、慢性疾患を持つ方はインフルエンザの予防接種や日常的な健康管理が重要です。

インフルエンザのハイリスク郡について

インフルエンザに感染した際に、重症化(死に至ることもまれではない)や合併症を引き起こすハイリスクな患者さんがいます。

ハイリスク群の患者さんにはワクチン接種による積極的な予防や、抗インフルエンザ薬の投与を検討します。

以下がハイリスク群にあたる患者さんの主な特徴です。

  • 高齢者(65歳以上)
  • 乳幼児
  • 妊婦
  • 著しい肥満
  • 慢性呼吸器疾患(COPD,喘息など)
  • 慢性心疾患(僧帽弁膜症など)
  • 慢性腎疾患(慢性腎臓病など)
  • 代謝性疾患(糖尿病など)
  • 神経筋疾患(嚥下障害など)
  • 免疫不全(ステロイド長期投与など)

インフルエンザの潜伏期間は?

インフルエンザの潜伏期間は、通常1日~3日程度です。

個人差はありますが、平均的には約2日間で症状が出始めます。

インフルエンザウイルスは、感染してから短期間で急速に体内で増殖し、発熱や咳、全身の倦怠感などの典型的症状が現れます。

潜伏期間中はほとんど症状がないため、感染には気づきにくでしょう。

インフルエンザの潜伏期間中の感染力

インフルエンザウイルスは潜伏期間中であってもウイルスが排出され周囲に感染させるリスクが高まります。

インフルエンザの流行が見られる場合、手洗いやうがい、マスク着用、定期的な換気など感染症対策を徹底して行いましょう。

以下にインフルエンザを周囲に感染する可能性がある時期をまとめました。

潜伏期間中
(症状が現れる前)
インフルエンザに感染してから症状が出現する1日前ほどでも、ウイルスを他者に感染させる可能性があります。
発症後
(症状が現れてから)
症状が現れてから通常は5日間ほど他者にウイルスを移す可能性があります。
特に発症後の最初の2〜3日間は、感染力が最も強い時期です。
高齢者や子ども、免疫力が低い人小さな子供や免疫機能が低下している方は10日以上他人にウイルスを移す可能性があるともいわれています。
理由として、そのような方はウイルスに感染している期間が長いため、ウイルスが唾液等の分泌物に含まれる期間もその分伸びるためと考えられています。

インフルエンザの潜伏期間中の家族との関わり

家族内の感染リスク

インフルエンザの潜伏期間中は、まだ明確な症状が出ておらず、自分がインフルエンザに感染しているかどうかが分からないことが多いです。

しかし、潜伏期間中でもウイルスを他人に伝染させるリスクがあります。

このため、同居している家族に対しても感染が広がる可能性もあるため注意が必要です。

家庭内の感染リスク要因

  • 密接な接触
    家族で食事を共にしたり、同じ部屋で過ごしたりすることで、自然と密接な接触が増えます。
    このため、ウイルスが飛沫を通じて他の家族に広がるリスクが高まります。
  • 共有スペースの利用
    トイレ、浴室、キッチンなどの共有スペースでの接触も、感染リスクを高める要因となります。
    ウイルスは、手や物の表面に付着して残ることがあるため、共用する物品を通じて感染が広がることがあります。
  • 免疫力の違い
    家族の中には、免疫力が低い幼児、高齢者、または基礎疾患を持つ人がいることがあります。
    これらの人々は、インフルエンザに感染すると重症化しやすいため、特に注意が必要です。

家庭内感染を防ぐために

インフルエンザの流行時期には、以下の対策を講じることで家族内での感染を防ぐことが可能です。

感染予防対策

  • 個別の食器・タオルの使用
    家族全員が各自の食器やタオルを使用するようにします。
    個別の物品を使うことで、ウイルスが広がるリスクを最小限に抑えます。
  • マスクの着用
    自分が感染している可能性がある場合、家庭内でもマスクを着用することが推奨されます。
    これにより、飛沫を介したウイルスの拡散を防ぎます。
    特に、共有スペースを使用する際や他の家族と話すときに着用することが重要です。
  • 手洗いと手指消毒
    家族全員が定期的に手洗いやアルコールでの手指消毒を行うことが重要です。
    特に、トイレの後、食事の前後、鼻をかんだ後など、ウイルスが手に付着する可能性がある場面では徹底的に行います。
  • 共有スペースの消毒
    ドアノブ、スイッチ、リモコンなど、手がよく触れる場所を定期的に消毒します。
    これにより、表面に付着したウイルスが他の家族に広がるリスクを軽減できます。
  • 適切な換気
    室内の換気を定期的に行い、空気の流れを保つことで、ウイルスが空気中に長時間留まるのを防ぎます。
    窓を開けて新鮮な空気を入れるか、換気扇を使用するなどの方法があります。
  • 症状が出た場合の早期対応
    インフルエンザの症状が出始めた場合は、直ちに家族と距離を置くようにします。
    可能であれば、別の部屋で隔離し、他の家族との接触を避けるようにしましょう。

家族への配慮

  • 情報共有
    インフルエンザの潜伏期間や感染リスクについて家族に正確な情報を伝え、予防策を共に実行することが大切です。
  • 健康観察
    家族の健康状態を観察し、早期に異常を発見できるようにします。
    発熱や倦怠感、咳などの症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

インフルエンザの潜伏期間中に薬は有効?

インフルエンザの潜伏期間中における抗ウイルス薬の有効性

インフルエンザの潜伏期間中は、まだ明確な症状が現れていないため、通常は抗ウイルス薬(特効薬)の使用は推奨されていません。

抗ウイルス薬は、症状が現れてからできるだけ早い段階で投与することでウイルスの増殖を抑え、症状の重症化を防ぐ効果があります。

潜伏期間中に使用しても、インフルエンザウイルスがまだ活発に増殖していないため、薬の効果が十分に発揮されない可能性が高いでしょう。

潜伏期間中に抗ウイルス薬を投与する場合は、医師の指示のもとで行い、自己判断での使用は推奨されません。

抗ウイルス薬の種類と効果

タミフル (オセルタミビル)

  • 作用機序
    ノイラミニダーゼ阻害薬で、ウイルスが感染細胞から遊離するのを防ぎます。
  • 使用タイミング
    発症後48時間以内に使用することで、症状の持続期間を1〜2日短縮する効果があります。
  • 適応
    5日間にわたって服用しますが、特に高リスク患者(高齢者、幼児、慢性疾患を持つ人など)に対して効果的です。

イナビル (ラニナミビル)

  • 作用機序
    ノイラミニダーゼ阻害薬で、タミフルと同様にウイルスの遊離を阻害します。
  • 使用タイミング
    発症後48時間以内に使用。吸入タイプで、一度の吸入で治療が完了する点が特徴です。
  • 適応
    単回投与で済むため、服薬が困難な患者や迅速な治療が必要なケースでの使用が推奨されます。

リレンザ (ザナミビル)

  • 作用機序
    こちらもノイラミニダーゼ阻害薬で、吸入することでウイルスの拡散を防ぎます。
  • 使用タイミング
    発症後48時間以内に使用。1日2回、5日間の吸入が必要です。
  • 適応
    吸入薬であるため、呼吸器疾患を持つ患者には慎重に使用する必要があります。

ゾフルーザ (バロキサビル マルボキシル)

  • 作用機序
    キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬で、ウイルスの増殖を早期に抑制します。
  • 使用タイミング
    発症後48時間以内に使用。単回の経口投与で治療が完了します。
  • 適応
    単回投与であるため、早期に効果が期待できますが、ウイルスの耐性が問題となることがあり、慎重な使用が必要です。

千葉内科・在宅クリニックでできる対応

今回はインフルエンザウイルスについて解説しました。

インフルエンザウイルスは感染力が強く、飛沫を吸い込む飛沫感染、体の粘膜に触れたりする接触感染で感染します。

インフルエンザの場合はワクチン接種により、感染リスクを下げることができることが分かっています。

日頃から行えることとしては、流行時期にマスクや手洗いやうがい、手指消毒などをこまめに行い予防していきましょう。

当院では発熱外来でインフルエンザの抗原検査を行うことができます。

陽性の場合は各種抗ウイルス薬と対処療法薬について丁寧に説明し、治療を行っております。

また重大な合併症が疑われる場合には専門の医療機関へ紹介することも可能です。

お困りの場合はお気軽に千葉内科・在宅クリニックへご相談ください。

まとめ

いかがでしたか?

インフルエンザは、毎年多くの人々に影響を与える感染症であり、特に冬季に流行します。

インフルエンザウイルスは非常に感染力が強く、適切な予防と早期の治療が非常に重要です。

潜伏期間中でも感染が広がる可能性があるため、手洗いやマスクの着用、ワクチン接種などの基本的な予防策を徹底することが、家族や友人など周囲の人々を守るために不可欠です。

インフルエンザの症状が現れた場合は、早期に医療機関を受診し、必要に応じて抗ウイルス薬を適切に使用することが重症化を防ぐ鍵となります。

特に高齢者や基礎疾患を持つ方々は、合併症のリスクが高いため、早期対応が必要です。

家族内での感染を防ぐためには、適切な情報を共有し、予防策を一緒に実践することが大切です。

インフルエンザに対する正しい知識と行動が、健康な生活を守る第一歩となります。

健康的な冬を過ごすために、インフルエンザの予防と早期対応を心がけましょう。

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