BLOGブログ
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)で乾燥が悪化する原因は?正しい塗り方で肌を守る方法
ヒルドイド(一般名:ヘパリン類似物質)は、皮膚科で広く処方される保湿剤です。高い保湿力から、乾燥肌やアトピー性皮膚炎の治療に使われることが多く、「塗るだけで肌がしっとりする」と評判の薬剤です。
ところが、なかには「ヒルドイドを塗り始めてから逆に乾燥がひどくなった」という声も聞かれます。
この記事では、ヒルドイドを使っているのに乾燥が悪化してしまう原因と、その対処法を詳しく解説します。また、正しい塗り方で肌を守るためのポイントや、使用を中止して医師に相談すべき症状についても丁寧にお伝えします。
Contents
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)で乾燥が悪化する原因
ヒルドイドの有効成分であるヘパリン類似物質は、ヒアルロン酸やコンドロイチンと同じムコ多糖類に属し、水分子を引き寄せて保持する優れた保湿作用を持ちます。さらに血行促進作用・抗炎症作用もあわせ持つ、皮膚科では非常に信頼性の高い外用薬です。
それでも乾燥が悪化することがあるのは、使い方や個々の肌状態に問題がある場合がほとんどです。主な原因を見ていきましょう。
塗るタイミングの誤り
ヒルドイドは「水分を保持する」薬剤であり、肌が乾ききってしまったあとに塗っても十分な効果が得られません。お風呂上がりに何分も経ってから塗るケースや、乾燥した状態にだけ塗る習慣がある場合、水分の蒸発をそもそも防げていない可能性があります。
正しいタイミングは、入浴後や洗顔後など、肌がまだ潤いを含んでいる状態で塗ることです。保湿のゴールデンタイムは「入浴後5分以内」とされており、この時間を逃さないことが大切です。
塗布量の不足
「なんとなく少量を薄く塗っている」という方は非常に多いです。しかし、製造会社マルホ株式会社の試験データでは、塗布量が多いほど角層水分量が有意に高い結果が出ており、使用量の少なさが保湿効果不足の主な原因になることが明らかになっています。
適切な量の目安は「FTU(Finger Tip Unit:フィンガーティップユニット)」で判断します。クリームタイプ・軟膏タイプでは人差し指の先端から第一関節まで絞り出した量(約0.5g)が1FTUで、これを手のひら2枚分の面積に塗布するのが基本です。塗り終えたあとに塗布部位がうっすらテカテカし、ティッシュを当てると軽く張り付く程度がちょうどよい量の目安です。
副作用・接触アレルギーによる皮膚刺激
ヒルドイドは比較的安全性の高い薬剤ですが、まれに接触アレルギーや皮膚刺激症状が現れることがあります。添付文書にも「かゆみ・発赤・発疹」が副作用として記載されており、血行促進作用による一時的な赤みとは区別が必要です。
特にヒルドイドクリームやローションに含まれる「ラノリン」という添加物はアレルギーを起こしやすい成分として知られており、ラノリンに対してアレルギーがある方はこれらの剤形を避ける必要があります。塗った直後から赤み・かゆみ・じんましんなどが現れた場合はアレルギー反応の疑いがありますので、直ちに使用を中止してください。
環境的な乾燥・外的刺激の影響
ヒルドイドを正しく使っていても、環境要因が肌の乾燥を進めてしまうことがあります。主な要因として、冬季の低湿度・エアコンによる空気の乾燥、熱いお湯での長時間入浴、ナイロンタオルなどでの強い摩擦洗浄、紫外線による肌ダメージなどが挙げられます。
室内の湿度は50〜60%を保つことが理想とされています。また、洗顔・入浴時は熱すぎないお湯を使い、ゴシゴシこすらず、泡で優しく撫でるように洗うことが基本です。紫外線対策も肌のバリア機能を守るうえで年間を通じて重要です。
肌のバリア機能の低下による悪循環
肌のバリア機能は、角質細胞と細胞間脂質(セラミドなど)が水分蒸発を防いでいる仕組みです。乾燥が続くとバリア機能がさらに低下し、外部刺激を受けやすくなる→かゆくて搔いてしまう→さらに肌が傷つく、という悪循環に陥ることがあります。
ヒルドイドはバリア機能の回復を助ける薬剤ですが、すでに炎症が生じている状態では、保湿剤だけでは不十分なことがあります。その場合は抗炎症作用を持つステロイド外用薬などと組み合わせた治療が必要になるケースもあります。
剤形が肌に合っていない
ヒルドイドにはソフト軟膏・クリーム・ローション・フォームの4種類の剤形があります。それぞれ基剤の成分や保湿持続力が異なるため、肌状態や部位に合わない剤形を使用すると、十分な保湿効果が得られなかったり、逆に刺激になる場合があります。
油分を含まないローションやフォームは水分蒸発を防ぐ力が弱く、乾燥の強い部位には向きません。逆に、ソフト軟膏は密着力と保湿持続力が最も高く、かかとやひじなど角質の厚い部位・乾燥が強い時期に向いています。顔には刺激が少なくさっぱりとしたローションから試すとよいでしょう。
関連記事:肌質改善とは?セルフケアやお悩み別の治療方法を紹介
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)による乾燥悪化を防ぐ正しい塗り方
正しい使い方を実践するだけで、ヒルドイドの保湿効果は大きく向上します。以下のポイントを意識してスキンケアを見直してみましょう。
入浴後すぐ(5分以内)のタイミングで塗る
保湿剤の効果を最大限に発揮するためには、お風呂やシャワー後、肌がまだ水分を含んでいる状態で塗ることが大切です。
体を拭いたらすぐに、時間を置かずにヒルドイドを塗布しましょう。乾き切ってしまった肌に塗っても保湿効果が発揮されにくいため、「入浴後5分以内」を鉄則として習慣にしてください。
FTUを目安に十分な塗布量を確保する
前述のとおり、1FTU(約0.5g)を手のひら2枚分に塗布するのが基本です。
多くの方が実際には必要量の半分以下しか塗れていないと言われており、「足りているかどうか不安」と感じたら、少し多めを意識することが重要です。塗布後に肌がテカッと光り、ティッシュがうっすら付く程度がちょうどよい量の目安です。
こすらず優しく肌に乗せる
保湿剤を塗る際にゴシゴシとこすると、摩擦によって肌のバリア機能がさらに傷ついてしまいます。手のひらで優しく「のせる」「押さえ込む」イメージで塗り広げましょう。こすり塗りは厳禁です。特に顔は肌が薄くデリケートなため、丁寧に扱うことが大切です。
化粧水との併用と順番
化粧水とヒルドイドを併用する場合は、「化粧水を先に塗り、そのあとにヒルドイドを重ねる」順番が基本です。
ヒルドイドは水分を保持し外部への蒸散を防ぐ働きを持つため、先に化粧水で水分を補い、その上からヒルドイドで蓋をするイメージです。逆の順番にすると、化粧水の浸透が妨げられることがあります。
剤形を肌状態・部位に合わせて選ぶ
剤形の選び方も乾燥悪化を防ぐうえで重要です。乾燥の強い部位・冬場はソフト軟膏、顔や広範囲にはローション、日中さっぱり使いたい場合はクリーム、子どもの全身塗布にはフォームと、状況に合わせて使い分けるのが効果的です。
剤形を変えるだけで改善するケースも多くあります。もし現在の剤形が合わないと感じたら、医師や薬剤師に相談して変更を検討してみましょう。
関連記事:ヒルドイド(ヘパリン類似物質)の正しい使い方|種類別の適量と顔に塗る際の注意点
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)の使用を中止して医師に相談すべき症状
以下のような症状が現れた場合は、ヒルドイドの使用を一旦中止し、医療機関を受診してください。
- 赤みやかゆみが塗布後に悪化し、数日以上続く場合
- 塗布部位に発疹・じんましん・腫れが現れた場合
- ヒリヒリとした刺激感・しみる感じが強く続く場合
- 塗布直後から呼吸困難・全身のかゆみ・動悸などが生じた場合(重篤なアレルギー反応の疑いあり)
- 傷や潰瘍・びらん(皮膚がただれている)部位に誤って塗布してしまった場合
- 数週間使用を続けても乾燥・湿疹の改善が見られない場合
- 血友病・血小板減少症・紫斑病などの出血性血液疾患がある方(ヒルドイドは禁忌)
- 妊娠中・授乳中の方(使用前に必ず医師に相談する)
ヒルドイドは一般的に安全性の高い薬剤ですが、「乾燥以外の皮膚疾患が隠れている」可能性もあります。乾燥性湿疹・アトピー性皮膚炎・接触性皮膚炎・乾癬・魚鱗癬などは保湿だけでは改善しないことが多く、適切な診断と治療が必要です。
自己判断での継続使用は症状の悪化につながる恐れがあるため、気になる症状があれば早めに受診することをおすすめします。
関連記事:皮膚のかゆみはアレルギー?原因の見分け方と自分でできる対処法
千葉内科在宅・美容皮膚科クリニックでの対応
千葉内科在宅・美容皮膚科クリニックでは、一般内科から美容皮膚科診療までを行うクリニックです。
ヒルドイドなどの外用保湿剤がかかわる乾燥肌・皮膚トラブルに対して、当院では以下のような対応を行っています。
- 乾燥肌・湿疹・アトピー性皮膚炎などの診察と適切な保湿剤・外用薬の処方
- ヒルドイドの使い方相談・形状変更の検討
- シミ・ニキビ跡・毛穴・小じわなど乾燥が引き金となる肌トラブルへの美容皮膚科治療
- 肌診断器VISIA®を用いた客観的な肌の状態の評価
- スキンケア成分・美容内服薬の処方・オンライン診療対応
「ヒルドイドを使っているのに乾燥が改善しない」「どの形状が自分にあっているかわらない」「乾燥を根本から改善したい」など。お悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ
ヒルドイドは正しく使えば非常に優れた保湿剤ですが、「塗るタイミング・塗布量の不足・剤形ミスマッチ・副作用・環境要因・バリア機能の悪循環」などにより乾燥が悪化して見えることがあります。
症状が改善しない、症状が長引くといった場合は、乾燥の裏に別の皮膚疾患が隠れているケースもめずらしくありません。そのため、自己判断せず、皮膚科・内科を受診することもおすすめします。
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)について(綾瀬皮フ科クリニック)
保湿剤「ヒルドイド(ヘパリン類似物質)」塗り薬(巣鴨千石皮ふ科)

千葉内科在宅・美容皮膚科クリニック 院長 辺土名 盛之(へんとな もりゆき)
経歴
- 三重大学医学部医学科 卒業
- 四日市羽津医療センター
- 西春内科・在宅クリニック
- 千葉内科在宅・美容皮膚科クリニック院長




