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悪性腫瘍と良性腫瘍の違いとは?がんとの関係と見分け方を解説
健康診断や画像検査で「腫瘍があります」と言われた瞬間、多くの方が「がんでは?」と強い不安を感じます。
医学的には、腫瘍(neoplasm)は
- 良性腫瘍(benign tumor)
- 悪性腫瘍(malignant tumor)=がん
に分類され、腫瘍が見つかった=がん確定ではありません。
本記事では、WHO腫瘍分類・日本および海外の診療ガイドライン・医学論文などを基に、一般の方にもわかりやすく、医師が腫瘍の違いについて解説します。
Contents
悪性腫瘍と良性腫瘍の違い
腫瘍の良性・悪性は、細胞の性質と生体への影響で判断されます。
悪性腫瘍と良性腫瘍の比較表
| 比較項目 | 良性腫瘍 | 悪性腫瘍 |
| 大きくなる速さ | ゆっくりと増える | 短期間で急に大きくなる |
| 周囲への広がり方 | 周囲を押しのけるように広がり、境界が明確に保たれる | 周囲の組織に入り込みながら広がり、境界があいまいになる |
| 境界の明瞭さ | 境界が明瞭(被膜形成があり、周囲と区別しやすい) | 境界が不明瞭(浸潤性があり、周囲の組織に入り込む) |
| 周囲の組織への影響 | 周囲を壊さず圧迫するだけ | 周囲の組織を破壊しながら進む |
| 転移 | ほとんど起こらない | 他の臓器に転移することがある |
| 再発 | 再発しにくい | 再発しやすい |
| 症状の出方 | 無症状のことが多い | 進行に伴って痛みや体調の変化が出る |
| 治療の基本方針 | 経過観察または摘出 | 手術や薬物療法などの治療が必要 |
| 生命への影響 | 命に関わることはまれ | 命に関わる場合がある |
医学的に重要なポイント
悪性腫瘍の本質は、 「浸潤」と「転移」にあり、これが良性腫瘍との決定的な違いです。
関連記事:末期がんによく見られる症状とは?急に悪化するのは死の兆候?
関連記事:疲れやすいのはがんのサイン?受診の目安となる症状と考えられる病気
腫瘍が良性か悪性かを見分ける検査
腫瘍が良性か悪性かを判断するには、複数の検査結果を総合的に評価することが重要です。
画像検査や血液検査は診断の参考になりますが、最終的な確定診断には病理検査が必要とされています。
画像検査(一次評価)

画像検査では、超音波検査(エコー)、CT、MRIなどを用いて腫瘍の状態を評価します。
主に以下のポイントを確認します。
- 腫瘍の大きさや形状
- 境界の明瞭さ
- 浸潤像の有無(周囲組織への広がり)
- 周囲の臓器との位置関係
画像検査は腫瘍の性質を推測するうえで有用ですが、画像所見のみで良性・悪性を確定することはできません。
そのため、診断の一助として位置づけられています(日本癌治療学会・NICEガイドライン)。
血液検査(補助診断)
血液検査では、炎症反応の有無や貧血の有無など、全身状態を確認します。
また、腫瘍の種類によっては腫瘍マーカーを測定することがあります。
ただし、腫瘍マーカーは偽陽性・偽陰性が生じる可能性があり、 スクリーニングや確定診断として単独で用いることは不十分です。
そのため、あくまで補助的な指標として活用されます。
生検・病理診断(確定診断)

腫瘍の一部を採取し、病理医が顕微鏡で細胞の性質を詳しく調べる検査です。
腫瘍が良性か悪性かを確定するための最も信頼性の高い方法とされています。
WHO(世界保健機関)の腫瘍分類においても、**病理診断はゴールドスタンダード(最終基準)**と位置づけられています。
治療方針の決定においても、病理診断の結果が重要な判断材料となります。
関連記事:健診項目を理解して無駄なく受診|よくある検査とオプションの選び方
受診の目安
以下は、悪性腫瘍を否定できない所見として、国内外の診療ガイドラインで共通して挙げられている症状です。
これらがみられる場合、早めの医療機関受診が推奨されます。
早期受診が推奨されるサイン
「痛みがない=安心」とは限りません。
悪性腫瘍の初期段階では、痛みを伴わないケースも多く報告されています。
よくある質問
Q1. 腫瘍が見つかった場合、必ずがんですか?
いいえ。腫瘍の多くは良性ですが、画像や症状だけで断定することはできません。
確定には病理診断が必要です。
Q2. 痛みのないしこりは良性の可能性が高いですか?
必ずしもそうではありません。
悪性腫瘍でも初期は無痛であるケースが多いと報告されています。
Q3. 腫瘍が小さい場合は経過観察で問題ありませんか?
大きさよりも、増大速度・硬さ・可動性などの変化が重要です。
小さくても注意が必要なケースがあります。
Q4. 良性腫瘍が悪性化することはありますか?
頻度は高くありませんが、一部の腫瘍では悪性化の報告があります。
そのため、医師の判断に基づく経過観察が推奨されます。
Q5. どの診療科を受診すればよいか迷った場合は?
迷う場合は内科またはかかりつけ医で初期評価を受け、必要に応じて専門科へ紹介される流れが一般的です。
関連記事:健康寿命を伸ばすためのポイントや気をつけるべき病気や疾患とは
千葉内科在宅・美容皮膚科クリニックでできること
千葉内科在宅・美容皮膚科クリニックでは、しこり・腫瘍が疑われる症状に対し、初期評価から専門医療機関との連携まで対応しています。
対応可能な内容
- しこり・腫瘍に対する初期評価(問診・視診・触診)
- 必要に応じた血液検査などの基礎検査
- 専門医療機関への適切な紹介・連携
- 通院困難な方への在宅医療の調整・支援
「受診すべきか迷っている段階」でも、医学的観点から相談を受け付けています。
不安がある場合は、早めの相談をご検討ください。
まとめ
腫瘍が見つかったからといって、必ずしもがんとは限りませんが、良悪性の確定には病理診断が必要です。
画像検査や血液検査は参考になりますが、診断を確定できる検査ではありません。
しこりの増大や性状の変化がみられる場合は、早期受診が推奨されます。
重要なのは、自己判断で放置せず、医学的評価を受けることです。
参考文献(医学論文・ガイドライン)
- WHO Classification of Tumours Editorial Board.
WHO Classification of Tumours, 5th Edition. IARC. - Kumar V, Abbas AK, Aster JC.
Robbins & Cotran Pathologic Basis of Disease. 10th ed. - Hanahan D, Weinberg RA.
Hallmarks of Cancer: The Next Generation. Cell. 2011. - 日本癌治療学会
がん診療ガイドライン総論 - NICE guideline NG12
Suspected cancer: recognition and referral. - Sturgeon CM, et al.
Clin Chem. 2008;54: e11–79.

千葉内科在宅・美容皮膚科クリニック 院長 辺土名 盛之(へんとな もりゆき)
経歴
- 三重大学医学部医学科 卒業
- 四日市羽津医療センター
- 西春内科・在宅クリニック
- 千葉内科在宅・美容皮膚科クリニック院長