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手足口病は子どもの間で流行している?|初期症状やうつる確率などについて解説

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手足口病は子どもの間で流行している?|初期症状やうつる確率などについて解説

こんにちは。

熱を出している子供たちの一部で増えてきているのが『夏の三大感染症』と呼ばれる、「手足口病」「ヘルパンギーナ」「咽頭結膜熱(プール熱)」です。

毎年のように夏になると増えるこの三大感染症について解説していきます。

今回は「手足口病」について、わかりやすい形で解説していこうと思います。

手足口病とは?

手足口病は子どもの間で流行している?|初期症状やうつる確率などについて解説

手足口病は、感染症法で「5類感染症」に定められており、定点把握疾患(決まった病院が発生数を毎週報告する)となっている感染症です。

まずは、手足口病の概要について説明していきます。

手足口病の原因は?

手足口病は、新型コロナウイルスやインフルエンザと同じ、ウイルス感染によって引き起こされる感染症です。

主に「コクサッキーウイルスA16・A6」や「エンテロウイルス71」など複数のウイルスが原因となる病気です。

手足口病の流行時期は?

手足口病は、4~5歳ぐらいまでの乳幼児を中心に夏場に流行する疾患となります。

発症者の90%近くは5歳以下、半数は2歳以下にみられます。

また、成長過程で症状が発生しない感染(不顕性感染)を起こしていることも多いので、成人で起こることは少なくなります。

手足口病は子どもの間で流行している?|初期症状やうつる確率などについて解説

こちらは古いですが、手足口病の定点あたりの報告数となります。

5月頃から9月頃(20~40週)の夏場に多く発生することがわかります。

手足口病の感染経路は?

手足口病の感染経路としては、

  • 飛沫感染
  • 接触感染
  • 糞口感染(ウイルスを含む糞便が手指に付着し、口などに入るルート)

がわかっています。

幼稚園や保育園などでは、特に感染予防策が弱いことに加え、原因ウイルスへの感染経験がない子供の割合が多いです。

そのため、幼稚園や保育園では感染拡大が起こりやすいと考えられます。

手足口病で幼稚園・保育園・学校は休むべき?

手足口病は、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザのように、出席停止の決まりはありません。

厚生労働省の発表している目安としては「解熱して1日以上経過して、普段通りの食事が切る状態」というものはあります。

周囲への感染予防ということはなかなか難しい病気ですので、出席については本人の体調によって決定してください。

関連記事:手足口病は大人にもうつる?症状や潜伏期間を徹底解説

手足口病の症状や経過について

手足口病は子どもの間で流行している?|初期症状やうつる確率などについて解説

ここからは手足口病の代表的な症状や時間経過によりどのように症状が変わっていくかについて詳しく解説します。

手足口病の潜伏期間

エンテロウイルスやコクサッキーウイルスは、感染したのち3−5日間の潜伏期間があります。

潜伏期間の間に周囲に感染を広げる可能性は低いと考えられています。

手足口病のよくある症状

手足口病では潜伏期間のあとに次のような症状がみられることが特徴的です。

  • 発熱
  • 皮膚の水疱性発疹(みずぶくれ)
  • 口腔内の水疱性発疹

続いてそれぞれの症状について少し詳しく説明していきます。

 発熱

発熱は3人に1人程度の患者さんで発生します。

あまり高熱となることはなく、ほとんどが38℃以下で長期間続くことはありません。

 口や唇などに出る症状

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口周囲の粘膜に2~3mmの水疱性発疹が発生します。

時に小さな潰瘍となり、口内炎のような見た目になることもあります。

3日~1週間程度で発疹はおさまります。

また、咽頭(のどの奥)に発疹ができることは少ないとされています。

皮膚に出る症状

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手足口病による発疹(小児)(左;手掌、右;足裏)(写真提供;八尾市八木小児科)

手のひらや足の裏、脚の背など、手足の末端に2~3mmの水疱性発疹が発生します。

時に肘やひざ、おしりなどにも出現することがあります。

口の症状と同じく、3日から1週間程度で発疹はおさまります。

おさまる過程でかさぶたをつくることはありません。

 その他の症状

発熱と発疹が特徴的な手足口病ですが、時に下痢や嘔吐といった消化器症状を引き起こすことがあります。

また、手足口病はそのほとんどが軽い症状でおさまってしまうことが多いですが、ごくまれに重症な状態となることがあります。

  • 中枢神経系合併症(髄膜炎、小脳失調症、脳炎)
  • 心筋炎
  • 神経原性肺水腫
  • 急性弛緩性麻痺

これらの症状は非常に稀となります。

特に重症化する場合は皮疹などの典型的な症状が出ないこともありますので注意が必要です。

関連記事:子どもが汗疹(あせも)になったときはどうすればいい?治し方や湿疹との違い・対策法について

手足口病は大人がかかると重症化する?

手足口病は子どもの間で流行している?|初期症状やうつる確率などについて解説

子供に多い「手足口病」ですが、大人もかかってしまう可能性があります。

ここでは、大人の感染について説明していきます。

 手足口病は大人もうつる?

最初に書かせていただきましたが、手足口病は様々なウイルスが原因となっています。

そのため、感染したことのないウイルスがあった場合は大人になっても感染してしまう可能性があります。

手足口病は子供が感染することが多いため、大人への感染は子供からの感染がほとんどです。

特におむつ替えの際に便からの感染をする場合が多くなります。

子供の症状が治まった場合にも便にはウイルスが残存していますので、十分な注意を要します。

 大人が手足口病にかかった時の初期症状や症状

成人の場合は小児の感染と少し異なることが多いといわれています。

初期症状としては

  • 発熱
  • 全身倦怠感
  • 関節痛
  • 頭痛
  • 咽頭痛
  • 嘔吐・下痢

などが多く見られます。

これらの初期症状の後に

  • 皮膚の水疱性発疹(みずぶくれ)
  • 口腔内の水疱性発疹

がみられます。

初期症状がおさまるまでは約10日間程度、皮膚や口腔内症状がおさまるまでは2週間程度と、子供に比べて症状が強く、長期間続きます。

 大人が手足口病にかかってしまったら会社への出勤はいつから?

手足口病は新型コロナウイルス感染症のように自宅療養などといった決まりはありません。

厚生労働省の発表している目安としては「解熱して1日以上経過して、普段通りの食事ができる状態」といわれています。

発熱が改善するまではできるだけお仕事は休むことをおすすめします。

手足口病による妊婦の胎児への影響

手足口病は子どもの間で流行している?|初期症状やうつる確率などについて解説

日本産婦人科学会からも情報が出ておりますが、ほとんどの成人に感染歴があり、免疫がありますので妊婦への感染はまれと考えられます。

また、妊婦への罹患と胎児異常との関係を証明した報告はありません。

ほとんどの患者さんで、対症療法による経過観察で対応可能と考えられます。

しかしながら、流産や死産、胎児水腫が発生したとの報告もあるようです。(参考:日本産婦人科医会

妊婦の方で身近に手足口病の患者さんがいる場合は、最低限の感染対策をおこないましょう。

関連記事:手足口病とは?症状や大人にうつる確率を徹底解説

手足口病の感染予防

手足口病は子どもの間で流行している?|初期症状やうつる確率などについて解説

手足口病に有効なワクチンはなく、予防できる薬や治療できる薬もありません。

感染していても症状が出ていない人も多いです。

また、症状がおさまった後も比較的長期間、便中にウイルスが排出されることがわかっています。

そのため、新型コロナウイルスのような「隔離対策」はあまり効果的ではない予防手段になります。

重症化する患者さんもいますが、ほとんどが軽症あるいは無症状で治る感染症ですので、感染してはいけない病気ではありません。

みなさんも子供の頃にかかっており、免疫をつけてきた感染症です。

それでも感染対策を行う必要がある場合には、

  • 流水と石鹸での手洗いをおこなう
  • 排泄物(特におむつ)を適切に処理する

ことが有効と考えます。また、タオルは共用しない方がいいと考えられます。

無症状の感染者もいるので、日頃からの手洗い等での対策が必要です。

手足口病の市販の薬での対応

手足口病に効果的な薬はありません。

そのため、症状に対して薬剤を使用していく必要があります。

一般的に薬局などで販売されている風邪薬や解熱剤が使用可能となります。

しかし、子供の体重に合わせた投与量の薬は少ないです。

大人用の薬剤の量を減らして使用することは危険が伴います。

また、他の疾患であった場合、自己判断での経過観察は危険を伴う場合があります。

不安な場合は病院の受診をよろしくお願いします。

まとめ

今回は「夏の三大感染症」の一つである手足口病についてご説明いたしました。

比較的軽症な患者さんが多いため軽く見ていることも多いかと思いますが、少ないながらも重症化のリスクが存在します。

手洗いという簡単な対策で感染を予防することができますので、子供が感染した際はぜひとも感染対策をしていただくようお願いいたします。

参考資料

国立感染症研究所ホームページ 

厚生労働省ホームページ

この記事の監修医師


伊藤医師

経歴

  • 西春内科在宅クリニック

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