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大人のおたふく風邪について知っておきたいポイントを解説!

大人のおたふく風邪について知っておきたいポイントを解説!

おたふく風邪と聞くと、子どもがかかる病気というイメージを持つ方が多いかもしれません。

しかし、大人がおたふく風邪に感染すると重篤な合併症を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

この記事では、大人のおたふく風邪が要注意と言われる理由や症状、感染経路について詳しく解説します。

大人のおたふく風邪が要注意と言われる理由

大人のおたふく風邪について知っておきたいポイントを解説!

おたふく風邪(流行性耳下腺炎)は、ムンプスウイルスによって引き起こされる感染症で、特に子どもに多く見られる病気です。

しかし、大人が感染すると、症状が重篤化しやすく、いくつかの重大な合併症が発生するリスクがあります。

大人のおたふく風邪に注意を要する理由を以下に詳しく解説します。

精巣炎

大人の男性が感染した場合、精巣炎を発症することがあります。

精巣炎は、ムンプスウイルスが血流を介して精巣に到達し、炎症を引き起こすものです。

以下の点が問題とされています。

  • 症状
    精巣の腫れ、強い痛み、発熱が主な症状です。
    通常は片側の精巣に症状が現れますが、両側が腫れる場合もあります。
  • 後遺症
    稀ではありますが重度の精巣炎では、精子を作り出す機能が低下し、不妊の原因となる可能性があります。
    不妊のリスクは両側の精巣が炎症を起こした場合に特に高まります。
  • 頻度
    男性の20~30%が精巣炎を発症すると言われています。

卵巣炎

成人女性が感染した場合、卵巣炎を発症することがあります。

卵巣炎は、腹部の痛みや不快感を引き起こします。

  • 症状
    下腹部痛、圧痛、軽度の発熱などが見られます。
  • 後遺症
    通常、卵巣炎は軽症で後遺症を残さないことが多いですが、重症化すると生殖機能に影響を与える可能性があります。
  • 頻度
    成人女性の約5%に見られる比較的稀な合併症です。

無菌性髄膜炎

ムンプスウイルスが脳と脊髄を包む髄膜に感染することで、無菌性髄膜炎を引き起こすことがあります。

これは、早期の診断と治療が求められる重篤な状態です。

  • 症状
    激しい頭痛、発熱、吐き気、嘔吐、首の硬直が特徴です。
    これらの症状が見られた場合、速やかに医療機関を受診する必要があります。
  • 頻度
    成人のおたふく風邪患者のうち、約10%が無菌性髄膜炎を発症するとされています。
  • 治療
    無菌性髄膜炎は通常、適切な対症療法によって回復しますが、治療が遅れると重篤化する恐れがあります。

難聴

おたふく風邪の合併症として稀ですが、「ムンプス難聴」という障害が発生することがあります。

  • 症状
    片耳または両耳で聴力が低下し、耳鳴りを伴うこともあります。
    聴力が完全に失われるケースも報告されています。
  • 後遺症
    ムンプス難聴は、ほとんどの場合、不可逆的であり回復が見込めません。
    したがって、感染予防が極めて重要です。
  • 頻度
    非常に稀で、1000人に1人程度とされています。

なぜ大人の方がリスクが高いのか?

  • 免疫の欠如
    子どもの頃にワクチンを接種していない、または自然感染していない人は、免疫を持っていないため、大人になってから初感染すると症状が重くなりやすい傾向があります。
  • 体の反応
    成人の免疫システムは、子どもに比べて過剰に反応しやすく、炎症が強くなることで症状や合併症のリスクが高まります。

大人もうつるおたふく風邪とは?

大人のおたふく風邪について知っておきたいポイントを解説!

おたふく風邪に大人が感染すると、耳下腺の腫れや痛み、発熱などの症状が顕著になるだけでなく、以下などの重篤な合併症が発生するリスクが高まります。

  • 精巣炎
  • 卵巣炎
  • 無菌性髄膜炎
  • 難聴

これらの合併症は不可逆的な難聴など一生涯にわたる後遺症を残す場合もあるため、大人の感染には特に注意が必要です。

予防策としては、ワクチン接種が最も効果的であり、免疫がない可能性がある場合は抗体検査を行うことが推奨されます。

また、感染者との接触を避けることや、手洗い・マスク着用といった基本的な衛生管理を徹底することも重要です。

家庭や職場などの生活環境で感染を広げないためにも、大人が適切な予防と対策を講じることが必要不可欠です。

おたふく風邪の症状

大人のおたふく風邪について知っておきたいポイントを解説!

おたふく風邪(流行性耳下腺炎)は、感染後14~25日の潜伏期間を経て発症します。

発症すると特徴的な症状が現れ、体全体に影響を及ぼすことがあります。

耳下腺の腫れと痛み

おたふく風邪の最も特徴的な症状が、耳下腺(耳の下から顎にかけて位置する唾液腺)の腫れと痛みです。

症状の詳細

  • 腫れ
    片側または両側の耳下腺が腫れ、顔が丸みを帯びた特徴的な外見になります。
    腫れは発症から1~3日でピークを迎え、5~7日ほどで徐々に引いていきます。
  • 痛み
    腫れた部分は触れると痛みを感じ、日常生活で不快感を伴います。
    特に食事中や唾液が分泌されるタイミングで痛みが増すことがあります。

影響と注意点

耳下腺の腫れは多くの患者で見られる典型的な症状ですが、大人の場合は腫れや痛みがより強く出ることがあり、治癒までに時間がかかる傾向があります。

腫れが片側だけの場合や耳下腺以外の唾液腺が腫れるケースもあるため、症状に気づいたら早めに医療機関を受診しましょう。

38度以上の発熱

おたふく風邪では、多くの患者で38度以上の発熱が見られます。

これは、体がムンプスウイルスと闘うための免疫反応として起こるものです。

症状の詳細

  • 発熱の特徴
    熱は耳下腺の腫れが始まる頃に現れ、1~3日間続くのが一般的です。
    時には40度近くまで上がることもあり、発熱とともに全身倦怠感や寒気を伴うことがあります。
  • 大人の場合
    大人では発熱が子どもより長引く
    傾向があり、高熱による体力消耗が大きくなる場合があります。

影響と注意点

発熱そのものは感染症に対する体の防御反応ですが、高熱が続く場合は脱水症状に注意が必要です。

発熱に加えて強い頭痛や嘔吐が見られる場合、無菌性髄膜炎の可能性もあるため、速やかに医療機関を受診してください。

嚥下痛

嚥下痛(飲み込む際の痛み)は、耳下腺の腫れによって喉や周辺組織が圧迫されることで引き起こされる症状です。

症状の詳細

  • 痛みの程度
    軽度の違和感から、強い痛みを伴う場合まで症状はさまざまです。
    特に固形物や酸味のある食べ物を飲み込む際に痛みが増します。
  • 関連する部位
     嚥下時の痛みは耳下腺に限らず、顎下腺や咽頭部の腫れや炎症が原因になることもあります。

影響と注意点

嚥下痛が強い場合、食事や水分摂取が難しくなり、栄養不足や脱水症状につながる恐れがあります。

無理に固形物を摂るのではなく、スープやゼリーなど、喉越しの良い食事を選ぶと良いでしょう。

また、嚥下痛がある場合でも水分摂取は特に重要です。こまめに飲み物を摂ることを心掛けてください。

おたふく風邪の感染経路

大人のおたふく風邪について知っておきたいポイントを解説!

おたふく風邪は、一般的に冬から春にかけて(1月~5月)増加する傾向があり、主に飛沫感染や接触感染を通じて広がります。

このウイルスは非常に感染力が高く、症状が現れる前後の時期にも他人にうつす可能性があります。

以下に、感染の具体的な経路について詳しく解説しましょう。

飛沫感染

飛沫感染は、感染者の咳やくしゃみによって飛び散るムンプスウイルスを含む微小な液滴を、周囲の人が吸い込むことで感染する経路です。

感染のメカニズム

  • 発生源
    感染者が咳、くしゃみ、話をする際に放出される飛沫にウイルスが含まれます。
    この飛沫は空気中に短時間漂い、近くの人の鼻や口、喉の粘膜から体内に侵入します。
  • 感染しやすい条件
    密閉された空間や人が多く集まる場所で感染リスクが高まります。
    特に家庭内や学校、職場といった近距離での会話や接触が避けられない環境では、飛沫感染が主要な感染経路となります。

注意が必要なタイミング

飛沫感染は、発症の1~2日前から感染力を持つため、感染者本人がまだ自覚症状がない状態でも他人にウイルスをうつす可能性があります。

このため、潜伏期間中の感染が問題になることもあります。

予防方法

マスクを着用することで、飛沫の拡散を防ぐことができます。

感染者だけでなく、周囲の人も予防目的でマスクを使用すると効果的です。

また、密閉空間では換気を行い、空気中のウイルス濃度を低減させることが重要です。

接触感染

接触感染は、感染者が触れた物や表面を介してウイルスが広がり、別の人がそのウイルスに触れた後に鼻や口、目などの粘膜を触ることで感染する経路です。

感染のメカニズム

  • 発生源
    感染者が手で口や鼻を触ったり、咳やくしゃみをした際にウイルスが手や物に付着します。
    この手で触れたドアノブ、机、タオル、食器、スマートフォンなどがウイルスの媒介となります。
  • 感染の流れ
    次にそれらの物や表面を他の人が触り、ウイルスが手に付着。
    その手で顔を触ることで、ウイルスが鼻や口から体内に侵入します。

注意が必要な場面

  • 家庭内
    タオルや食器を共有することで感染が広がりやすくなります。
  • 職場や学校
    複数の人が触れる共用スペース(ドアノブやスイッチなど)は特に注意が必要です。

予防方法

手洗いを徹底することで、接触感染のリスクを大幅に軽減できます。

外出先から戻った際や食事の前後に、石鹸と流水で20秒以上手を洗うことを習慣づけましょう。

また、アルコール消毒剤を使った手指消毒も効果的です。

家庭内で感染者がいる場合は、タオルや食器の共有を避け、ウイルスの付着が疑われる物を定期的に消毒してください。

おたふく風邪の治療法

大人のおたふく風邪について知っておきたいポイントを解説!

おたふく風邪の治療法には特効薬がないため、治療は対症療法が中心となります。

耳下腺の腫れや痛みには冷却や鎮痛剤の使用、発熱時には解熱剤や水分補給が効果的です。

嚥下痛がある場合は、喉越しの良いスープやゼリーなどを選ぶと負担を軽減できます。

大人の場合、精巣炎や無菌性髄膜炎、難聴といった合併症のリスクがあるため、以下などの異変を感じたら速やかに医療機関を受診してください。

  • 強い頭痛
  • 嘔吐
  • 精巣や腹部の痛み

また、治療中は安静を保ち、症状が完全に収まるまで活動を控えることが大切です。

周囲への感染を防ぐために、隔離や手洗い、マスクの着用を徹底し、家庭内ではタオルや食器を共有しないよう注意しましょう。

おたふく風邪を予防するポイント

大人のおたふく風邪について知っておきたいポイントを解説!

おたふく風邪は、感染力の高いムンプスウイルスによって引き起こされるため、予防策を徹底することが非常に重要です。

特に、大人は重症化や合併症のリスクが高いため、感染を防ぐための取り組みが必要です。

以下では、具体的な予防策を詳しく解説します。

ワクチン接種

おたふく風邪を予防する最も効果的な方法は、ムンプスワクチン(おたふく風邪ワクチン)の接種です。

ワクチンの概要

  • 対象年齢
    通常、初回の接種は生後12か月以降に行われ、2回目の接種が小学校入学前に推奨されます。
    大人の場合、過去に接種歴がなく抗体がない場合は接種を検討することが推奨されます。
  • 効果
    ワクチンを接種することで感染を予防できる確率が高まり、たとえ感染した場合でも症状が軽減され、重症化や合併症のリスクが大幅に低減します。
  • 注意点
    妊娠中の接種は避ける必要があります。
    また、接種後2~3週間は発熱や軽い発疹が出ることがありますが、これは一時的な反応です。

成人のワクチン接種

免疫がない成人もワクチン接種が可能です。

職場や家庭内で子どもと接する機会が多い人や、医療従事者、教育関係者は特に接種が推奨されます。

自身の抗体の有無を確認するため、医療機関で抗体検査を受けることもできます。

手洗い

手洗いは接触感染を防ぐ基本的な予防策であり、ウイルスが手や物を介して体内に侵入するのを防ぐために非常に重要です。

正しい手洗いの手順として、まず流水で手を濡らし、石鹸を使ってしっかりと泡立てます。

その後、手のひら、手の甲、指の間、指先、爪の周り、手首といった部位を20秒以上かけて丁寧に洗い、石鹸が残らないよう十分に流水ですすぎます。

洗った後は、共用のタオルではなく個人専用のタオルや使い捨てのペーパータオルで拭くと効果的です。

手洗いが難しい場合は、アルコール消毒液を使うことも有効な補助手段となります。

マスクの着用

マスクは飛沫感染を防ぐための重要な対策で、感染者の飛沫の拡散を防ぐだけでなく、周囲の人が飛沫を吸い込むリスクを軽減します。

正しい着用方法として、鼻と口を完全に覆い、顔に密着させて隙間ができないように装着することが大切です。

使い捨てマスクは、外側に触れないように注意して外し、すぐにゴミ箱に捨てる必要があります。

また、布マスクを使用する場合は、1日1回洗濯し、清潔な状態を保つことを心掛けましょう。

千葉内科・在宅クリニックでできること

当クリニックでは、おたふく風邪(流行性耳下腺炎)の診察・治療において、患者様一人ひとりに寄り添い、丁寧な問診・診察を心がけています。

症状の進行や合併症のリスクを適切に評価し、最適な治療プランをご提案いたします。

大人からお子様まで幅広く対応しておりますので、安心してご相談ください。

また、外来診療だけでなくオンライン診療も行っております。

オンライン診療では診察時間までご自宅でゆっくりと安静にしておまちいただけますのでぜひご利用ください。

▶オンライン診療についてはこちらから

まとめ 

おたふく風邪は、子どもだけでなく大人にも感染し、重篤な合併症を引き起こすことがあります。

特に大人が感染した場合は、合併症のリスクが高まるため、予防が重要です。

感染経路や症状、治療法を理解し、適切な対策を講じることが大切です。

千葉内科・在宅クリニックでは、おたふく風邪に関する診療や予防接種を行っています。

ぜひご活用ください。

この記事の監修医師


千葉内科・在宅クリニック 院長 辺土名 盛之(へんとな もりゆき)

経歴

  • 三重大学医学部医学科 卒業
  • 四日市羽津医療センター
  • 西春内科・在宅クリニック
  • 千葉内科・在宅クリニック院長

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