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がんの放射線治療について|副作用や費用などについて解説

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こんにちは。千葉内科・在宅クリニック 辺土名です。

社会の高齢化に伴い、日本人の2人に1人が一生に一度はがんに罹ります。

現在、年間で80万人以上の方が新たにがんと診断される状況です。

日本で主に行われているがんの治療法は、以下の4つがあり、これらはがんの四大治療法と呼ばれているのです。

  1. 手術療法
  2. 放射線療法
  3. 化学療法(抗がん剤)
  4. 免疫療法

今回は、これらの中でも特に放射線療法に焦点を当て、その特徴や治療法について詳しく解説していきましょう。

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がんの放射線治療とは

放射線療法とは、手術と同様にがんのある部分だけを治療する局所治療です。

臓器をとらずに治療することができるので、手術などの外科的療法に比べ、体への負担が少ないことがほとんどです。

そのため、高齢者や体力のない患者さんでも治療行うことができます。

また、局所的な治療のため効果も悪影響も原則として治療した部位に限られます。

放射線療法に使われる放射線には、以下など種類があります。

  • エックス線
  • 電子線
  • 陽子線
  • 重粒子線
  • ガンマ線
  • ベータ線
  • アルファ線

さらに、外部照射や小線源治療、粒子線治療、内用療法など治療法により使用する放射線の種類は異なります。

一般的な放射線治療には、リニアックと呼ばれる放射線発生装置を使用し、リニアックによって作られた放射線を体の外部から照射。

そして、放射線治療でがん細胞の遺伝子を傷つけて、がん細胞を死滅させる仕組みです。

活発に活動し、分裂している細胞ほど、放射線の影響を受けやすく、ゆっくりとしたスピードで大きくなるがんは影響を受けにくい傾向があります。

放射線療法は、局所治療にはなりますが正常な細胞も放射線の影響を受けることを免れることはできません。

ただし、がん細胞に比べてかなり速いスピードで傷を修復することができるので、正常細胞が受ける傷は少なくて済みます。

関連記事:末期がんによく見られる症状とは?急に悪化するのは死の兆候?

がんの放射線治療の種類

X線

放射線療法の中でも、電磁放射線による治療に分類されるX線療法。

X線療法には、以下などの照射方法によって細かく分類されています。

  • 高エネルギー放射線治療
  • 三次元原体照射(3D-CRT)
  • 強度変調放射線治療(IMRT)
  • 定位放射線治療(SRT)

現在多く用いられているのが、高エネルギーのX線を発生させて、がんに直接X線を照射する治療法です。

X線は放射線治療で古い歴史があり、場合によっては外科手術と同等、もしくはそれ以上の治療成績を残せるようになってきています。

ただ、体の表面近くで線量が最大となり、それ以降体内を進むにしたがって吸収される放射線線量が徐々に減少します。

電子線療法

電子線は、体の深部まで届かず、浅いところで止まる性質から、周りの正常細胞を傷つけずに治療を行うことができます。

主に皮膚がんのような表在性のがんの治療に用いられています。

粒子線治療(陽子線・重粒子線)

比較的新しい放射線療法として、現在行われている粒子線治療。

放射線によって陽子線治療や重粒子線治療と呼ばれることがあります。

陽子や重粒子などの粒子放射線のビームを病巣に照射する放射線療法の総称です。

X線による治療と比較して、がんの病巣に合わせて放射線をより集中できる利点があります。

粒子線は、体内に入っても表面近くではエネルギーをあまり放出せず、停止する直前にエネルギーを放出して大きな線量を組織に与える性質があります。

病巣の深さや大きさに合わせて、ピークの深さや幅を調整することで、病巣に効率よく線量を集中させることが可能です。

一方、正常な組織への線量を少なくします。

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特殊な放射線治療

IMRT(強度変調放射線治療)

IMRTとは、放射線の分布を腫瘍に沿った複雑な形状にするため、空間的に不均一な照射ビームを多方面から照射する技術です。

特に、放射線治療の標的が複雑な形状で温存するべき正常組織と近接している場合に力を発揮するので、頭頸部腫瘍や前立腺がんに対してよく用いられます。

SRT(定位放射線治療)

がん病巣に対してあらゆる方向から放射線を照射することにより、線量を集中させて治療を行う方法です。

そのため一度に高線量の放射線を病巣に対し照射することができます。

放射線を集中的に照射するために、治療部位の位置合わせをより精密に行い、治療中は体が動かないように対策を講じる必要があります。

BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)

通常の生体内元素の数千倍の核反応を中性子と起こすホウ素薬剤BPAを注射により腫瘍細胞に集積させ、そこに中性子を照射し、病巣内部に限局的な核反応を起こします。

核反応により生じた重荷電粒子は、従来の放射線療法に比べて、はるかに大きな線量を腫瘍細胞のみに照射することができるようになりました。

そのため、これまで治療不可であった病巣にも、著しい損傷を与えることが期待できる、大きな可能性を持った治療法です。

関連記事:乳がんのしこりは痛みがない?なりやすい人の特徴や検査についても

放射線治療の有害事象

皮膚反応

皮膚は全身を覆っている臓器です。

体外照射では、どの方向から照射しても皮膚への影響は避けられません。

放射線治療開始し、2~3週間後位から放射線が当たった範囲の皮膚の赤みやかゆみ・痛みなど、日焼けのような症状が出現。

照射を重ねるごとに、皮膚のびらんなどの炎症症状が強く出る場合もありますが、症状は治療終了とともに、徐々に落ち着いていきます。

ただし、色素沈着や皮膚の乾燥・かゆみが残るケースもみられます。

疲労感

放射線治療による疲労は、治療によってダメージを受けた正常な細胞が修復する時に、多くのエネルギーが必要になるためと考えられています。

これは、治療の回数が進むと出現しやすい症状ですが、治療終了後は徐々に感じなくなっていきます。

消化器症状

放射線治療開始から比較的早い時期に、吐き気・食欲がないなどの消化器症状が出現することがあります。

消化器症状は、一般的には数日間~一週間程度で改善することがほとんどです。

照射範囲が広い場合や、照射部位が腹部の場合は強く症状が出現する傾向があります。

口腔内の症状

口や喉の周囲は、粘膜や唾液腺は影響を受けやすく、粘膜の炎症や唾液分泌量の低下が起こります。

口・喉の粘膜炎や口腔乾燥は、放射線治療開始後2~3週間ごろから症状が出現します。

粘膜炎は放射線照射範囲で粘膜が赤くなり、痛みが出現。

食べ物や飲み物が飲み込みにくくなったり、声がかすれるなどの症状が出現します。

炎症に関しては、治療終了後から徐々に改善していきますが、口の乾燥は回復に時間がかかったり、完全には回復しない可能性があります。

口の中を清潔に保ち、保湿剤などを使い、うるおいのある状態にして乾燥を予防しましょう。

骨髄抑制

血液細胞は、骨髄で作られます。

骨髄がたくさんある骨盤・胸骨・椎体など広範囲に放射線が照射されると、骨髄で血液細胞を作る能力が低下。

これを骨髄抑制をいい、以下などの症状が現れことがあります。

  • 白血球の減少
    細菌と戦う能力が低下し、感染症にかかりやすくなる
  • 赤血球の減少
    酸素を運ぶ能力が低下し、貧血や疲労感を引き起こす
  • 血小板の減少
    血液凝固が妨げられ、出血しやすくなったり血が止まりにくくなる

放射線療法だけで治療している場合は、治療を中止しなければならなくなるほどの低下はかなり稀です。

抗がん剤などと併用される場合は注意が必要になります。

放射線肺炎

肺に放射線が照射された範囲で起こる肺炎です。

症状は咳や発熱、息苦しさですが、無症状で経過することもあります。

軽症であれば自然に治癒しますが、症状によっては抗炎症薬の投与など治療が必要になる場合もあります。

肺炎が起こった部位は、治療終了後数か月から数年かけて肺線維症に移行しますが、多くの場合自覚症状がなく問題となることはありません。

性機能障害

がんの種類や治療期間によっても変動しますが、骨盤内にある臓器に放射線を照射した場合、男性は勃起を維持することが難しくなる場合があります。

また、精巣は放射線の影響を受けるため、男性ホルモンの分泌が低下し、勃起不全が起こる可能性も否定できません。

女性は、骨盤内臓器に照射した場合、女性ホルモンが低下し、膣の粘膜が乾燥したり、膣の弾力が低下する可能性があります。

また、かゆみや不快感が現れる可能性もあります。

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がんの放射線治療の費用

放射線治療の費用は、使う放射線の種類や治療方法・治療回数によってことなります。

定位放射線療法であれば、3割負担で約19万円、1割負担で約6万円ほどです。

その他、診察代や入院で行う場合は、入院費等もかかるので、治療先の病院で確認してみてください。

関連記事:訪問診療とは?診療の内容や受診すべき人の特徴などについて解説

放射線治療が効かないがんとは?

胃がんや大腸がんは放射線治療の効果が低いと言われています。

また、効果が弱いだけでなく、正常な大腸や小腸を損傷しやすいため、通常は放射線を照射することはありません。

しかし、骨やリンパ節に転移が起きたときに、その転移部位に放射線を照射することはあります。

胃がんは出血を止めるため、大腸がんは手術後の局所再発を防いだり、肛門を温存することを目的とした補助治療として放射線療法を行う場合があります。

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千葉内科・在宅クリニックでの放射線治療

千葉内科・在宅クリニックでは放射線治療を行うことができません。

放射線治療が必要な患者様がいらっしゃれば、当院から放射線治療を行っている医療機関へのご紹介を行うことができます。

また、放射線治療後の有害事象にお悩みの際は、当院にて適切に治療を行っていきますので、気軽にご相談ください。

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まとめ

様々な放射線や放射線による有害事象を説明しましたが、いかがでしたでしょうか?

がんの種類や部位によって様々な選択肢があるので、検討されている方は、医師に相談してみましょう。

放射線療法は、高い治療効果と少ない有害事象を目指し、最近では保険対応の範囲も広がってきています。

治療時間もおおむね10分~30分前後で痛みもないため、治療の1つとしてご検討ください。

参考文献

▶放射線治療Q&A|公益社団法人 日本放射線腫瘍学会

▶放射線治療の種類と方法|がん情報サービス

▶定位放射線治療(SRT/SBRT)|国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院

この記事の監修医師


千葉内科・在宅クリニック 院長 辺土名 盛之(へんとな もりゆき)

経歴

  • 三重大学医学部医学科 卒業
  • 四日市羽津医療センター
  • 西春内科・在宅クリニック
  • 千葉内科・在宅クリニック院長

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