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インフルエンザの潜伏期間は何日?感染力や薬の予防投与について解説

インフル 潜伏期間

こんにちは!千葉内科・在宅クリニックの辺士名です!

急に気温が下がり、インフルエンザが流行する季節がやってきました。

インフルエンザは感染力が強いので周囲の方にうつしてしまわないか不安になりますよね。

そこで、今回はインフルエンザの主な症状や合併症はもちろん。

潜伏期間や潜伏期間中の感染力などについて詳しく解説しています。

インフルエンザが流行するこれからの時期にぜひ参考にしてください。

インフルエンザの主な症状

インフルエンザはインフルエンザウイルスによって引き起こされる急性呼吸器感染症です。

毎年冬から春先にかけて流行します。

主に飛沫感染・接触感染により感染します。

従来のかぜ症候群(ライノウイルスや、新型ではない従来のコロナウイルス)よりも急速に発症するのが特徴です。

インフルエンザの症状には以下などが挙げられます。

発熱

インフルエンザの代表的な症状の一つが、突然の発熱です。

通常、38度以上の発熱が数日続きます。

大人も子供も一気に体温が上昇することが多く、悪寒や寒気を伴うことがあります。

頭痛

インフルエンザの頭痛は強く耐え難い痛みを伴うことも少なくありません。

特に前頭部やこめかみ付近で感じることが多く、目の奥が痛む場合もあります。

発熱と同時に現れることが多いです。

筋肉痛・関節痛

インフルエンザでは、発熱と同に筋肉痛や関節痛もよく見られる症状です。

特に、背中や脚の筋肉が痛むことが多く、動くたびに痛みが増す場合もあります。

通常、発熱が治まると徐々に筋肉痛や関節痛も治まります。

倦怠感

インフルエンザでは、強い倦怠感や疲労感があり、日常生活に支障をきたします。

体全体に力が入らない、何をするにも億劫といった重だるさが特徴です。

風邪と比べて長引く傾向にあります。

呼吸器症状

インフルエンザでは、咳、喉の痛み、鼻水や鼻づまりなどの呼吸器症状が現れます。

これらの症状は風邪と似ていますが、より重症であることが多いです。

咳が激しくなることもあり、胸に痛みを感じることもあります。

その他の症状

一部の患者では、食欲不振、悪寒、吐き気、嘔吐、下痢などの消化器症状が見られることもあります。

特に、高齢者や子どもはこうした症状が出やすく、脱水症状を引き起こす場合もあるため注意が必要です。

重症化した場合、中枢神経に影響が及び、意識障害や錯乱が生じる場合もあります。

このような症状が出た場合は、早急に医療機関へ受診しましょう。

インフルエンザの合併症

インフルエンザは通常、数日から1週間程度で回復します。

しかし、高齢者、幼児、妊婦、慢性疾患を持つ人などは、以下のような重篤な合併症を引き起こすことがあり注意が必要です。

インフルエンザ肺炎

インフルエンザにより、ウイルスが肺まで侵入するとインフルエンザ肺炎、インフルエンザが原因で細菌に二次感染した場合、細菌性肺炎を併発することがあります。

通常、インフルエンザの初期症状が出てから数日以内に発症することが多く、高齢者や免疫力が低下している方は、インフルエンザの症状が治まる前後に発症することがあります。

インフルエンザ初期の咳や呼吸困難が長く続く場合は注意が必要です。

急性呼吸窮迫症候群(ARDS)

急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、インフルエンザが重症化した際に起こる可能性がある合併症です。

肺内での強い炎症反応により、肺が正常に機能しなくなり、酸素が血液に十分に取り込めない状態が引き起こされます。

急性呼吸窮迫症候群はインフルエンザ発症から1~2週間以内に見られることが多いです。

また、進行が早く、短時間で呼吸不全に至ることが多いため、緊急の対応が必要となります。

特に基礎疾患を持つ方は高いリスクがあり、インフルエンザ発症時に注意しましょう。

心筋炎・心膜炎

インフルエンザウイルスが血流を通じて心臓に到達すると、心筋や心膜に炎症を引き起こし、心筋炎や心膜炎を発症することがあります。

インフルエンザ発症後4~7日後に発症することが多く、胸痛や不整脈、呼吸困難などの症状が見られます。

特に高齢者や基礎疾患を持つ方はリスクが高いため、注意が必要です。

心臓に異常が見られた場合は早急に医療機関を受診しましょう。

インフルエンザ脳症

特に5歳以下の子どもでは、インフルエンザに関連する脳症が発症することがあります。

インフルエンザ感染後3日~2週間と長い期間おいて発症、ウイルス感染にともなう急速に進行する広範囲の脳浮腫による脳機能の障害です。

突然の痙攣や意識障害を引き起こすことがあります。

重症になると昏睡状態や亡くなってしまうケースも考えられるため、インフルエンザが治った後も状態に注意するようにしましょう。

悪化する既存の慢性疾患

インフルエンザは、糖尿病や喘息、心疾患などの既存の慢性疾患を悪化させる原因にもなります。

ウイルス感染により、体の免疫システムが負担を受け、持病の症状が増悪することが多いです。

例えば、喘息患者では気道がさらに炎症を起こして呼吸困難が悪化し、糖尿病患者では血糖値の管理が難しくなる場合があります。

このため、慢性疾患を持つ方はインフルエンザの予防接種や日常的な健康管理が重要です。

インフルエンザのハイリスク郡について

インフルエンザに感染した際に、重症化(死に至ることもまれではない)や合併症を引き起こすハイリスクな患者さんがいます。

ハイリスク群の患者さんにはワクチン接種による積極的な予防や、抗インフルエンザ薬の投与を検討します。

以下がハイリスク群にあたる患者さんの主な特徴です。

  • 高齢者(65歳以上)
  • 乳幼児
  • 妊婦
  • 著しい肥満
  • 慢性呼吸器疾患(COPD,喘息など)
  • 慢性心疾患(僧帽弁膜症など)
  • 慢性腎疾患(慢性腎臓病など)
  • 代謝性疾患(糖尿病など)
  • 神経筋疾患(嚥下障害など)
  • 免疫不全(ステロイド長期投与など)

インフルエンザの潜伏期間は?

インフルエンザの潜伏期間は、通常1日~3日程度です。

個人差はありますが、平均的には約2日間で症状が出始めます。

インフルエンザウイルスは、感染してから短期間で急速に体内で増殖し、発熱や咳、全身の倦怠感などの典型的症状が現れます。

潜伏期間中はほとんど症状がないため、感染には気づきにくでしょう。

インフルエンザの潜伏期間中の感染力

インフルエンザウイルスは潜伏期間中であってもウイルスが排出され周囲に感染させるリスクが高まります。

インフルエンザの流行が見られる場合、手洗いやうがい、マスク着用、定期的な換気など感染症対策を徹底して行いましょう。

以下にインフルエンザを周囲に感染する可能性がある時期をまとめました。

潜伏期間中
(症状が現れる前)
インフルエンザに感染してから症状が出現する1日前ほどでも、ウイルスを他者に感染させる可能性があります。
発症後
(症状が現れてから)
症状が現れてから通常は5日間ほど他者にウイルスを移す可能性があります。
特に発症後の最初の2〜3日間は、感染力が最も強い時期です。
高齢者や子ども、免疫力が低い人小さな子供や免疫機能が低下している方は10日以上他人にウイルスを移す可能性があるともいわれています。
理由として、そのような方はウイルスに感染している期間が長いため、ウイルスが唾液等の分泌物に含まれる期間もその分伸びるためと考えられています。

インフルエンザの潜伏期間中の家族との関わり

家族内の感染リスク

インフルエンザの潜伏期間中は、まだ明確な症状が出ておらず、自分がインフルエンザに感染しているかどうかが分からないことが多いです。

しかし、潜伏期間中でもウイルスを他人に伝染させるリスクがあります。

このため、同居している家族に対しても感染が広がる可能性もあるため注意が必要です。

家庭内の感染リスク要因

  • 密接な接触
    家族で食事を共にしたり、同じ部屋で過ごしたりすることで、自然と密接な接触が増えます。
    このため、ウイルスが飛沫を通じて他の家族に広がるリスクが高まります。
  • 共有スペースの利用
    トイレ、浴室、キッチンなどの共有スペースでの接触も、感染リスクを高める要因となります。
    ウイルスは、手や物の表面に付着して残ることがあるため、共用する物品を通じて感染が広がることがあります。
  • 免疫力の違い
    家族の中には、免疫力が低い幼児、高齢者、または基礎疾患を持つ人がいることがあります。
    これらの人々は、インフルエンザに感染すると重症化しやすいため、特に注意が必要です。

家庭内感染を防ぐために

インフルエンザの流行時期には、以下の対策を講じることで家族内での感染を防ぐことが可能です。

感染予防対策

  • 個別の食器・タオルの使用
    家族全員が各自の食器やタオルを使用するようにします。
    個別の物品を使うことで、ウイルスが広がるリスクを最小限に抑えます。
  • マスクの着用
    自分が感染している可能性がある場合、家庭内でもマスクを着用することが推奨されます。
    これにより、飛沫を介したウイルスの拡散を防ぎます。
    特に、共有スペースを使用する際や他の家族と話すときに着用することが重要です。
  • 手洗いと手指消毒
    家族全員が定期的に手洗いやアルコールでの手指消毒を行うことが重要です。
    特に、トイレの後、食事の前後、鼻をかんだ後など、ウイルスが手に付着する可能性がある場面では徹底的に行います。
  • 共有スペースの消毒
    ドアノブ、スイッチ、リモコンなど、手がよく触れる場所を定期的に消毒します。
    これにより、表面に付着したウイルスが他の家族に広がるリスクを軽減できます。
  • 適切な換気
    室内の換気を定期的に行い、空気の流れを保つことで、ウイルスが空気中に長時間留まるのを防ぎます。
    窓を開けて新鮮な空気を入れるか、換気扇を使用するなどの方法があります。
  • 症状が出た場合の早期対応
    インフルエンザの症状が出始めた場合は、直ちに家族と距離を置くようにします。
    可能であれば、別の部屋で隔離し、他の家族との接触を避けるようにしましょう。

家族への配慮

  • 情報共有
    インフルエンザの潜伏期間や感染リスクについて家族に正確な情報を伝え、予防策を共に実行することが大切です。
  • 健康観察
    家族の健康状態を観察し、早期に異常を発見できるようにします。
    発熱や倦怠感、咳などの症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

インフルエンザの潜伏期間中に薬は有効?

インフルエンザの潜伏期間中における抗ウイルス薬の有効性

インフルエンザの潜伏期間中は、まだ明確な症状が現れていないため、通常は抗ウイルス薬(特効薬)の使用は推奨されていません。

抗ウイルス薬は、症状が現れてからできるだけ早い段階で投与することでウイルスの増殖を抑え、症状の重症化を防ぐ効果があります。

潜伏期間中に使用しても、インフルエンザウイルスがまだ活発に増殖していないため、薬の効果が十分に発揮されない可能性が高いでしょう。

潜伏期間中に抗ウイルス薬を投与する場合は、医師の指示のもとで行い、自己判断での使用は推奨されません。

抗ウイルス薬の種類と効果

タミフル (オセルタミビル)

  • 作用機序
    ノイラミニダーゼ阻害薬で、ウイルスが感染細胞から遊離するのを防ぎます。
  • 使用タイミング
    発症後48時間以内に使用することで、症状の持続期間を1〜2日短縮する効果があります。
  • 適応
    5日間にわたって服用しますが、特に高リスク患者(高齢者、幼児、慢性疾患を持つ人など)に対して効果的です。

イナビル (ラニナミビル)

  • 作用機序
    ノイラミニダーゼ阻害薬で、タミフルと同様にウイルスの遊離を阻害します。
  • 使用タイミング
    発症後48時間以内に使用。吸入タイプで、一度の吸入で治療が完了する点が特徴です。
  • 適応
    単回投与で済むため、服薬が困難な患者や迅速な治療が必要なケースでの使用が推奨されます。

リレンザ (ザナミビル)

  • 作用機序
    こちらもノイラミニダーゼ阻害薬で、吸入することでウイルスの拡散を防ぎます。
  • 使用タイミング
    発症後48時間以内に使用。1日2回、5日間の吸入が必要です。
  • 適応
    吸入薬であるため、呼吸器疾患を持つ患者には慎重に使用する必要があります。

ゾフルーザ (バロキサビル マルボキシル)

  • 作用機序
    キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬で、ウイルスの増殖を早期に抑制します。
  • 使用タイミング
    発症後48時間以内に使用。単回の経口投与で治療が完了します。
  • 適応
    単回投与であるため、早期に効果が期待できますが、ウイルスの耐性が問題となることがあり、慎重な使用が必要です。

千葉内科・在宅クリニックでできる対応

今回はインフルエンザウイルスについて解説しました。

インフルエンザウイルスは感染力が強く、飛沫を吸い込む飛沫感染、体の粘膜に触れたりする接触感染で感染します。

インフルエンザの場合はワクチン接種により、感染リスクを下げることができることが分かっています。

日頃から行えることとしては、流行時期にマスクや手洗いやうがい、手指消毒などをこまめに行い予防していきましょう。

当院では発熱外来でインフルエンザの抗原検査を行うことができます。

陽性の場合は各種抗ウイルス薬と対処療法薬について丁寧に説明し、治療を行っております。

また重大な合併症が疑われる場合には専門の医療機関へ紹介することも可能です。

お困りの場合はお気軽に千葉内科・在宅クリニックへご相談ください。

まとめ

いかがでしたか?

インフルエンザは、毎年多くの人々に影響を与える感染症であり、特に冬季に流行します。

インフルエンザウイルスは非常に感染力が強く、適切な予防と早期の治療が非常に重要です。

潜伏期間中でも感染が広がる可能性があるため、手洗いやマスクの着用、ワクチン接種などの基本的な予防策を徹底することが、家族や友人など周囲の人々を守るために不可欠です。

インフルエンザの症状が現れた場合は、早期に医療機関を受診し、必要に応じて抗ウイルス薬を適切に使用することが重症化を防ぐ鍵となります。

特に高齢者や基礎疾患を持つ方々は、合併症のリスクが高いため、早期対応が必要です。

家族内での感染を防ぐためには、適切な情報を共有し、予防策を一緒に実践することが大切です。

インフルエンザに対する正しい知識と行動が、健康な生活を守る第一歩となります。

健康的な冬を過ごすために、インフルエンザの予防と早期対応を心がけましょう。

この記事の監修医師


千葉内科・在宅クリニック 院長 辺土名 盛之(へんとな もりゆき)

経歴

  • 三重大学医学部医学科 卒業
  • 四日市羽津医療センター
  • 西春内科・在宅クリニック
  • 千葉内科・在宅クリニック院長

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