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ノロウイルスとロタウイルスの違いは?症状や二次感染のリスクについても解説
冬になると、胃腸炎にかかりやすくなります。
その中でも特に気を付けたいのが「ノロウイルス」と「ロタウイルス」です。
ノロウイルス、ロタウイルスは共に感染力が強く、家庭内で誰かが感染すると家族全員がかかってしまうこともあり注意が必要です。
また、ノロウイルスとロタウイルスにはそれぞれ異なる特徴があり、適切な対処法も少しずつ違いがあります。
本記事では「ノロウイルス」と「ロタウイルス」の症状の違いから二次感染のリスクについてご紹介します。
Contents
ノロウイルス・ロタウイルスとは?
ノロウイルス
ノロウイルスは、感染性胃腸炎を引き起こす代表的な原因ウイルスの一つです。
特に冬場に流行しやすく、食品や水を介して感染が広がることが特徴です。
感染後12〜48時間という比較的短い潜伏期間を経て、急激な嘔吐、下痢、腹痛などの症状が現れます。
現時点で特効薬は存在せず、症状に応じた対症療法が主な治療法となっています。
ロタウイルス
ロタウイルスは、主に乳幼児や小児に感染することが多いウイルスで、胃腸炎の原因の一つです。
特に生後6か月から2歳までの乳幼児が感染しやすく、重度の嘔吐や水様性の下痢を引き起こすため、脱水症状に注意が必要です。
感染から発症までの潜伏期間は1〜3日で、感染後は長期間にわたってウイルスを排出し続けます。
そのため、家庭内や保育施設などで集団感染が起こりやすくなります。
ロタウイルス感染症にも特効薬はありませんが、予防接種による感染予防が可能です。
重症化を防ぐため、予防接種が強く推奨されています。
関連記事:水下痢の原因とは?腹痛がないのに止まらないのはなぜ?
ノロウイルスとロタウイルスの違いは?
ノロウイルスとロタウイルスは、どちらも胃腸炎を引き起こしますが、流行のピークや症状などに違いがあります。
それぞれのウイルスの違いを以下の表でご説明します。
感染しやすい年齢
ノロウイルスは全年齢層に感染しますが、ロタウイルスは特に乳幼児や小児が感染しやすいです。
症状の違い
ノロウイルスは、嘔吐が主な症状で、下痢も伴いますが短期間で治ることが多いです。
一方、ロタウイルスは、水様性の下痢が長引くことが多く、重症になると脱水症状が発生しやすいです。
季節性
ノロウイルスは冬季に流行する傾向がありますが、ロタウイルスは冬から春にかけての時期に流行します。
ただし、ロタウイルスは予防接種の普及により、流行の程度が抑えられることがあります。
感染経路
どちらも接触感染や飛沫感染が主な経路です。
ですが、ノロウイルスは特に食品や水を介した食中毒が原因になることが多いのに対して、ロタウイルスは主に便口感染(汚染された物を介して口から感染)による感染が多いです。
ノロウイルス・ロタウイルスの感染経路
ノロウイルスの感染経路
ノロウイルスは、主に以下の3つの経路で感染します。
飛沫感染
感染者が嘔吐する際に飛散する飛沫や、乾燥した嘔吐物・便が空気中に舞い上がったものを吸い込むことで感染します。
集団生活の場で特に広がりやすい経路です。
経口感染(食品や水を介して)
ウイルスに汚染された食品や水を摂取することで感染します。
特に生のカキなどの貝類が感染源として知られています。
また、感染者が調理した食品を介した二次感染にも注意が必要です。
接触感染
感染者の嘔吐物や便に含まれるウイルスが付着した物(ドアノブ、手すりなど)に触れた後、手洗いをせずに食事や顔に触れることで感染します。
感染拡大を防ぐには、感染者の排泄物の適切な処理、共用スペースの徹底した消毒、そして頻繁な手洗いが不可欠です。
特に家庭内では、これらの対策を確実に実施することが重要です。
ロタウイルスの感染経路
ロタウイルスは、主に口から体内に侵入することで感染します。
糞口感染
ロタウイルスは、感染者の便に含まれるウイルスが口を通じて感染する「糞口感染」が主な経路です。
例えば、おむつ交換やトイレの後に手洗いが不十分だと、ウイルスが手につき、その手で食べ物や口周りに触れることで感染します。
特に幼児や乳児は、物を口に入れることが多いため、便口感染が多発します。
ロタウイルスは、便からウイルスが長期間にわたって排出されるため、家庭や保育施設での二次感染が頻発するため、注意が必要です。
特に集団生活を送る保育施設では、感染が急速に広がることがよくあります。
関連記事:ウイルス性胃腸炎の症状で下痢のみが起きる理由|何日で治る?
ノロウイルス・ロタウイルスの嘔吐物や便の処理方法
処理方法
ノロウイルスやロタウイルスによる嘔吐物や便を処理する際は、以下の点に気をつけましょう。
- 手袋、マスクを着用し、感染者の嘔吐物や便に直接触れない
- 汚染物を拭き取る際、周囲の床や壁も一緒に拭き取りる
- 消毒液を作成し、汚染箇所に十分にスプレーし拭き取る
- 使用した手袋やペーパータオルは密閉できるビニール袋に入れ、廃棄する
- 石けんと流水で手をしっかり洗い、手指消毒剤をして完全にウイルスを除去する
消毒液の作り方
【準備するもの】
- 塩素系漂白剤(ブリーチ剤やハイター等)
- 水
- 計量カップ
- スプレーボトル
【手順】
- 1.塩素系漂白剤を水で希釈し50倍に薄める
例:漂白剤10mlの場合、水500ml - 2.希釈した消毒液をスプレーボトルに入れ、汚染箇所にスプレーする
使用後は換気を行い、手指をしっかり洗いましょう。
ノロウイルス・ロタウイルスの予防方法
手洗いの徹底
ウイルスの感染を予防するために最も効果的なのは、正しい手洗いです。
特にノロウイルスやロタウイルスは、手を介して広がることが多いため、手洗いを徹底することで感染リスクを大幅に減らすことができます。
【手洗いの手順】
1.手を濡らす
まず、手全体をしっかりと水で濡らします。
ぬるま湯を使うと、石けんがよく泡立ち、汚れやウイルスを効果的に除去できます。
2.石けんをつける
適量の石けんを手に取り、泡立てながら手全体に行き渡らせます。
石けんの成分は、ウイルスの脂質膜を破壊するため、しっかりと行き渡らせることが重要です。
3.手のひら、手の甲、指の間を洗う
手のひらをこすり合わせた後、手の甲も洗います。
続いて、指の間や付け根部分を念入りにこすり合わせ、洗い残しがないようにします。
指の間は特に汚れがたまりやすい場所なので、十分に洗浄することが大切です。
4.爪の間や指先を洗う
爪の間や指先には、ウイルスや汚れが溜まりやすいです。
指先をもう片方の手のひらでこすり、しっかり洗います。
爪が長い場合は、特に念入りに洗いましょう。
5.親指を洗う
親指は他の指と異なる動きをするため、洗い残しやすい部分です。
反対の手で親指を握り、回すようにしてしっかりと洗います。
6.手首を洗う
最後に、手首もウイルスが付着しやすい部分です。
手のひらと同じように、手首も念入りに洗浄しましょう。
7.十分にすすぐ
手に付着している石けんや汚れ、ウイルスをしっかりと洗い流します。
手首から指先に向かって水を流すことで、汚れが再び手に付着するのを防ぎます。
8.清潔なタオルやペーパータオルで手を拭く
手を乾かすことも重要です。
清潔なタオルやペーパータオルで水気をしっかり拭き取ります。
使い回しのタオルは雑菌が繁殖する可能性があるため、頻繁に交換するか、使い捨てのペーパータオルを使用することが望ましいです。
9.アルコール消毒の併用
手洗い後や外出先で手洗いが難しい場合は、アルコール消毒剤を使用するのも効果的です。
アルコール濃度が60~95%の手指消毒剤は、ノロウイルスやロタウイルスをある程度不活性化できます。
ただし、手が目に見えて汚れている場合は、まず石けんと水で手を洗うことが大切です。
これらの手洗い方法を習慣化することで、ウイルス感染を効果的に防ぎ、家庭内の感染拡大を予防することができます。
家族全員で手洗いの重要性を理解し、日々の生活に取り入れることが大切です。
食材の加熱
ノロウイルスやロタウイルスは、高温での加熱により無力化することができます。
特に生の魚介類や肉類にウイルスが付着している可能性があるため、85℃以上の温度で1分以上しっかりと加熱することが重要です。
この温度で調理することで、ウイルスが死滅し安全に食べることができます。
調理器具や家庭用品の洗浄・殺菌
調理器具や家庭用品にはウイルスが付着しやすいため、使用後は念入りに洗浄と消毒を行うことが大切です。
例えば、包丁やまな板や食器類は使用後に熱湯をかけ、塩素系の消毒剤を使って洗浄することで、ウイルスを効果的に取り除くことができます。
また、感染者が使ったタオルや衣類は他の洗濯物と分けて洗い、漂白剤などを使用し適切に消毒することがおすすめです。
こうした対策を徹底することで、家庭内でのウイルスの拡散を防ぐことができます。
関連記事:ストレス性胃腸炎とは?何日で治る?仕事は休むべき?
千葉内科・在宅クリニックでできる対応
千葉内科・在宅クリニックでは、ノロウイルスやロタウイルスに関する相談や診療を受け付けています。
症状が現れた場合、家庭での対応だけでなく、医師の診察を受けることで適切な治療が可能です。
さらにクリニックでは、感染症対策に関するアドバイスや、家庭内での予防策についても詳しく説明しています。
ご心配なことがあれば、いつでもご相談ください。
まとめ
ノロウイルスとロタウイルスに家族全員が感染しないよう、日常生活での予防策をしっかりと実行することが非常に重要です。
手洗いや食材の十分な加熱、調理器具の適切な消毒といった基本的な対策を忘れずに行いましょう。
適切な対応を心がけることで、家族の健康を守ることができます。
日頃から予防を意識し、安心して冬を過ごせるよう備えましょう。
参考文献
杉並区|ありがたくない冬の風物詩「ノロ」「ロタ」に備えておこう
千葉内科・在宅クリニック 院長 辺土名 盛之(へんとな もりゆき)
経歴
- 三重大学医学部医学科 卒業
- 四日市羽津医療センター
- 西春内科・在宅クリニック
- 千葉内科・在宅クリニック院長