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『IVR』最新医療について解説
こんにちは!皆様、いかがお過ごしでしょうか?
千葉内科・在宅クリニック院長の辺土名です!
突然ですが、「IVR」というものを知っていますか??
おそらく聞いたことのない方が多いと思われます。
この記事では、IVRの基本や具体的な治療法、利点について詳しくご説明いたします!
Contents
インターベンショナルラジオロジー(IVR)とは?
IVRとは、「インターベンショナルラジオロジー」の略です。
日本語では「画像下治療」と訳しています。
X線やCT、超音波などの画像を使って、体の中にカテーテルや針を入れて治療する方法です。
これにより、体を切る手術をしなくても治療ができます。
「低侵襲治療」とも呼ばれ、従来の外科手術よりも患者様の体にかかる負担が少ないのが特徴です。
体にとって害のあることを医学用語で侵襲と言い、低侵襲は侵襲の度合いが低い治療を意味します。
カテーテルや針を入れるのは気が引けますが、体を切ったり縫ったりする外科手術よりははるかに良いですね。
IVRの仕組み
先程もお伝えしたようにIVRは、画像誘導技術を使用して体内の病変に対してカテーテルや針を挿入し、治療を行います。
ここでは、IVRの仕組みについてご説明します!
IVRでは、次のような画像を使います。
X線透視
- 用途:リアルタイムで体内の様子を観察しながら治療を進める。
- 特徴:骨やカテーテルなどの硬い物質がよく見える。
- 利点:リアルタイムの動きを観察できるため、治療の進行を確認しやすい。
CTスキャン
- 用途:詳細な断層画像(人体の輪切りの画像)で、正確な位置決めを行う。
- 特徴:体内のあらゆる部位を詳細に撮影できる。
- 利点:正確な位置決めができ、複雑な治療に適している。
超音波
- 用途:柔らかい組織や血管の状態を観察する。
- 特徴:リアルタイムで動きを確認でき、放射線被ばくがない。
- 利点:安全で手軽に使用できるため、特に血管や内臓の観察に適している。
治療手順
- 1.麻酔:局所麻酔や全身麻酔をします。
- 2.画像誘導:画像を見ながらカテーテルや針を入れます。
- 3.治療:薬を注入したり、ステントなどの金属のチューブのようなものを留置したりします。
- 4.終了とフォローアップ:治療が完了したら、カテーテルや針を抜去し、患者様の状態を観察します。
カテーテルは、とても痛そうに思いますが、最初の麻酔薬の注射以外は基本的に痛みを感じないと言われています。
少し安心できますね…(笑)
IVRで行われる主な治療法
IVRでは、さまざまな疾患や病態に対して画像誘導を用いて低侵襲な治療を行います。
以下に、IVRで行われる代表的な治療法をいくつかご紹介します!
血管内治療
- 冠動脈インターベンション:心臓の血管の狭くなった部分を広げます。
- 末梢動脈治療:足の血管の狭くなった部分を広げます。
- 動脈瘤コイル塞栓術:脳や内臓の動脈瘤(血管の壁がもろく薄くなって大きく膨らんでくる病気)を治療します。
腫瘍治療
- 経皮的エタノール注入療法(PEIT):腫瘍にエタノールを注入して小さくします。
- ラジオ波焼灼療法(RFA):腫瘍を高周波で焼きます。
- 動脈内化学療法:腫瘍に直接薬を注入します。
ドレナージ
- 経皮的胆管ドレナージ(PTBD):胆管の詰まりを治します。
具体的な治療法をお伝えしましたが、その他の代表的な治療法もグラフにまとめましたので、御覧ください。
IVRの利点
IVRには多くの利点があります。
ここでは、その主要な利点をご説明いたします。
低侵襲
体を切らずに治療が出来るので、体への負担が少なく済みます。
回復が早い
外科手術よりも回復が早いです。
リスクが少ない
手術に比べて合併症が少ないです。
患者様の快適さ
治療中の痛みや不安を軽減します。
経済的なメリット
入院期間が短く、トータルの医療費が削減されることがあります。
色々とメリットはありますが、中でも低侵襲な事が一番のメリットですね。
病気の場所だけを正確に治療でき、入院期間も短縮できる為、患者様にとっても良い選択になると思われます。
IVRの導入事例
IVRは、多くの医療機関で導入され、その効果が実証されています。
ここでは、総合病院や小規模クリニック等での具体的な導入事例をご紹介します!
総合病院
総合病院では、IVRを使って心臓や脳の血管、腫瘍の治療を行っています。
これにより、多くの患者様が短期間で回復しています。
大学病院
最新の医療技術を研究・提供する大学病院では、IVRを積極的に導入し、治療の医学的根拠を蓄積することを目指しています。
また、医療従事者の教育と研修にも力を入れています。
クリニック
小さなクリニックでも、IVRを使って簡単な治療を行うことが増えています。
特に、高齢者や手術が難しい患者様にとって有効です。
幅広い医療機関で導入されているIVR・・・医療技術の進歩を感じますね。
IVRの課題と解決策
IVRは、多くの利点がありますが、技術習得や設備コスト、患者の理解、データ保護などの課題があります。
課題についてもいくつかご紹介しますね!
課題
技術の習得
医師が技術を習得するのに時間と労力がかかります。
設備の導入
専用の設備が必要で、コストがかかります。
患者様の理解と協力
高齢者やITに不慣れな患者様にとっては、その手順や効果を理解するのが難しい場合があります。
データとプライバシーの保護
IVR治療には大量の医療データが生成され、不正アクセスやデータ漏洩のリスクがあります。
これらの課題は、下記のように適切な解決策を講じることで克服できます。
解決策
研修の充実
専門の研修を行い、技術を身につけます。
設備投資
長期的なコスト削減を見込んで、設備を導入します。
相談窓口
専門スタッフが相談に応じ、患者様の不安を解消します。
データセキュリティ
最新のセキュリティ技術を導入します。
IVRをより多くの患者様に知っていただき、且つ治療を受けられるような医療社会になる事を祈っております。
IVRの未来
IVRは、1964年に米国で初めて採用された治療法ですが、やはりまだまだ日本での認知度は低いと言われています。
しかし、IVRは今後さらに進化し、より高度な画像技術や人工知能(AI)の導入が進むことが期待されてます!
たくさんの人にIVRという治療法がある事を知っていただき、医療の選択肢が増えればと心から思っております。
このブログを通じて、IVRについて知っていただけたなら幸いです。
千葉内科・在宅クリニックでの対応
千葉内科・在宅クリニックでは、IVR(画像下治療)機器は設置されていません。
ですが患者様の症状に応じて、IVR治療が提供できる医療施設を紹介することができます。
また、IVRについて気になる事などございましたら、詳しくご説明する事も可能です。
当院は患者様に寄り添い、「患者様を慮る(おもんぱかる)」という医療理念を持ち日々診療に取り組んでいます。
少しでも患者様のお力になれるよう、何でもご相談くださいね!
まとめ
インターベンショナルラジオロジー(IVR)は、体を切らずに治療を行う最新の医療技術として、医療現場で重要な役割を果たしています。
患者様の負担を軽減し、回復を早めることで、より質の高い医療サービスを提供することが可能です。
今後も技術の進化と共に、IVRはますます多くの治療分野で活用され、患者様にとって安心で信頼できる選択肢となることでしょう!
難しい医療用語や解説が多くなったため、もしご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせくださいね♪
参考文献
千葉内科・在宅クリニック 院長 辺土名 盛之(へんとな もりゆき)
経歴
- 三重大学医学部医学科 卒業
- 四日市羽津医療センター
- 西春内科・在宅クリニック
- 千葉内科・在宅クリニック院長