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RSウイルスに高齢者が感染すると危険?重症化や死亡のリスクについても
こんにちは!千葉内科・在宅クリニックの辺土名です!
最近、RSウイルス感染症による高齢者の危険性について注目されています。
お子様が感染するイメージの強いRSウイルスですが、年齢関係なく感染し、基礎疾患のある高齢者の方などは特に注意が必要なんです!
そこで今回は高齢者の方が注意すべきリスクや治療法についてお話していきます。
Contents
RSウイルスとは?
RSウイルスは感染すると発熱や咳などの風邪症状が現れます。
1歳までに半数以上、2歳までにはほぼ100%感染すると言われており、感染力は非常に強いです。
7割の患者様は数日で改善していきますが、およそ3割の患者様は症状が悪化することがあります。
特に生後1歳未満、呼吸器や心臓に基礎疾患がある方は重症化するリスクが高いです。
関連記事:RSウイルスとは|大人と小児の症状の違いや潜伏期間を解説
高齢者がRSウイルスに感染した場合の症状
RSウイルス感染症は4〜5日の潜伏期間(症状が現れない期間)を経て、以下のような症状が現れます。
特に高齢者の方は重症化しやすいので、早期に対処することが重要です。
発熱
RSウイルス感染による発熱は38度以上の高熱になる事があります。
咳
持続的な咳が特徴で、特に夜間に悪化することが多いです。
鼻水
透明または黄色の粘性の鼻水が大量に出ることがあります。
喉の痛み
喉の痛みや違和感が伴うことが多いです。
また、飲み込みにくさを感じ、誤嚥を引き起こすことがあります。
気管支炎
生後1歳未満の乳幼児や高齢者、呼吸器に基礎疾患のある方は細気管支炎や肺炎に注意が必要です。
次の症状である喘鳴や呼吸困難感を引き起こします。
喘鳴
呼吸時にゼーゼーという音がする喘鳴(ぜんめい)が見られることがあります。
これは気管や気管支が炎症により狭くなっているためです。
吸う時に音が鳴る場合は鼻や喉が、吐くときに音が鳴る場合は肺や気管支に原因があります。
呼吸困難感
肺や気管に炎症が起きている場合、酸素が上手く取り込めない為、息苦しさを感じることがあります。
重篤なため早期の入院加療が必要です。
高齢者が注意すべき重症化のリスク
まず、下記の基礎疾患がある方は重症化してしまうリスクがあるので注意が必要です。
- 慢性呼吸器疾患(特にCOPD)
- 心疾患
- 免疫系が低下している
COPDはタバコなどに含まれる有害物質を長期的に吸入することで肺に炎症が生じる疾患で、RSウイルスに感染すると安定期であっても進行してしまう危険性があります。
また、RSウイルスに感染し抵抗力や体力が低下してしまうことで発生するリスクもあるので見ていきましょう。
二次感染(肺炎・インフルエンザなど)
RSウイルス感染により抵抗力が落ちてしまうと肺炎やインフルエンザを合併してしまうことがあります。
特に肺炎を発症した場合は高齢者にとって重大な合併症となる為、早期の治療が必要です。
入院・寝たきりによる体力低下
重症度に応じて入院や寝たきりになってしまう事があります。
活動量が低下すると食欲不振となり身体機能や筋力が低下し、その後の日常生活に支障をきたしてしまいます。
その場合は、リハビリが必要です。
また、RSウイルスはインフルエンザに比べて入院期間が長引く傾向にあるので、そのまま寝たきりになってしまうこともあります。
誤嚥
RSウイルスと誤嚥が直接的に関係があるわけではありません。
しかし、むせたり咳き込むことで誤嚥を防いでいる機能が低下してしまい、誤嚥のリスクが高まります。
特に高齢者は嚥下機能が低下している場合が多く、食事や飲み物が誤って気管に入りやすくなります。
その結果起きる可能性として誤嚥によって発症する肺炎、誤嚥性肺炎です。
関連記事:COPD(慢性閉塞性肺疾患)はタバコが原因?症状や治療を解説
高齢者がRSウイルスに感染した場合の死亡率
RSウイルスそのものが直接的な死因になる事は少ないです。
しかし危険なのはRSウイルス感染が持病を悪化させたり、合併症や二次感染の引き金になることです。
日本では毎年60歳以上のおよそ60000人の入院と4000人の院内死亡が推測されています。
その死亡率はインフルエンザと同等です。
高齢者のRSウイルスの治療について
RSウイルスはインフルエンザなどと異なり、成人の抗ウイルス薬はありません。
なので症状に対する薬を用いる対症療法が中心です。
しかし、重症化している場合は下記の治療を行います。
呼吸管理
高齢者の方で呼吸困難が見られる方には酸素投与、人工呼吸器を用います。
薬物療法
発熱の症状があれば解熱剤、咳の症状があれば鎮咳薬を使用します。
しかし肺炎球菌などの細菌感染が認められた場合は抗生物質の投与が必要です。
また、喘息発作、COPDの悪化が見られる場合はステロイド投与を行います。
関連記事:咳喘息は喘息ではない?違いや症状のチェック項目をご紹介
RSウイルスを予防するには
上述した通りRSウイルスに対する効果的な治療法はありません。
なので重症化する危険性のある高齢者の方は、予防することが非常に重要です。
では、どのような予防方法があるのか紹介いたします。
ワクチン
60歳以上の方を対象としたRSウイルスに対するワクチン(アレックスビー)が2023年に承認されました。
特にCOPDや心疾患などの基礎疾患がある方に有効です。
効果としては発症する確率、入院する確率、人工呼吸になる確率をおよそ5分の1にする有効性が見込まれています。
日常的な予防策
RSウイルスの感染経路は飛沫感染と接触感染が主です。
飛沫感染は感染者の会話や咳、くしゃみで生じる飛沫が体内に入って感染することです。
接触感染は感染者に直接触れたり、感染者が触れてウイルスが付着したものに触ったり、なめたりして感染することを指します。
成人している方の多くは感染者である子供を看病していて感染することが多いです。
なので基本的な「手洗い・うがい・マスク」が非常に有効です。
看病しているときはマスクを着用し、手洗いは石鹸を使用して20秒以上かけて丁寧に行いましょう。
千葉内科・在宅クリニックでできる対応
当クリニックでは症状に対して薬の処方を行うことが出来ます。
重症と診断した場合は入院可能な病院へ紹介状の作成をいたします。
また、オンライン診療も行っているので、外来への受診が難しい場合などは是非ご活用くださいね!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
RSウイルスは高齢者の方や基礎疾患のある方には注意が必要な疾患です。
介護施設などで集団感染が起きている事例もあります。
しかし、手洗いやうがい、マスクで予防することが出来るのでこちらを行っていくことが非常に大切です。
参考文献
千葉内科・在宅クリニック 院長 辺土名 盛之(へんとな もりゆき)
経歴
- 三重大学医学部医学科 卒業
- 四日市羽津医療センター
- 西春内科・在宅クリニック
- 千葉内科・在宅クリニック院長