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大人が溶連菌にかかるときつい?気づかず放置は危険?

溶連菌感染症大人

溶連菌と聞くと主にお子さんがかかる病気のイメージですが、実は大人にも感染します。

今回は、そんな溶連菌感染症についての概要や症状、大人がかかった場合のリスクなどについて解説していきます。

関連記事:溶連菌の潜伏期間は?感染したら出席停止?

溶連菌感染症とは

溶連菌感染症大人

溶連菌感染症は、A群β溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)によって引き起こされる感染症です。

この菌は、以下などさまざまな疾患の原因となります。

  • 咽頭炎(のどの痛み)
  • 扁桃炎
  • 猩紅熱(しょうこうねつ)
  • 皮膚感染症(とびひ)
  • リウマチ熱

特に子どもに多い感染症であり、成人も感染する可能性があります。

流行時期は主に11~4月です。

感染経路は、咳やくしゃみなどから感染する飛沫感染皮膚と皮膚が触れたり感染者が触れたものから感染する接触感染があり、2~5日程の潜伏期間を経て発症します。

一般的には2~10歳ごろのお子様の感染が多く、大人へも感染します。

一度感染しても、繰り返し感染しますが、抗生剤の服用から24時間で感染力がほとんどなくなります

治療は抗生剤の服用になりますので、正しい容量・用法で処方された薬を飲み切ることが大切です。

溶連菌の症状

溶連菌感染症大人

では次に、溶連菌感染症の症状について詳しく解説していきます。

急性咽頭炎および扁桃炎

溶連菌感染症は喉の痛みが代表的な症状です。

喉が赤く腫れ、扁桃腺に白い膿がみられることがあります。

また、溶連菌感染症の特徴として舌の表面が赤いブツブツした状態(苺舌)になります。

猩紅熱(しょうこうねつ)

全身に赤い発疹ができることがあります。

発熱・のどの痛みとほぼ同時期に発疹が出始めます。

発疹は小さな点状のものから栗粒ほどの大きさで、小さく盛り上がった状態です。

首や、わきの下、足の付け根から出始め、全身へと拡大していきます。

とびひ

とびひは主に黄色ブドウ球菌によって起りますが、溶連菌によって起こることもあります。

虫刺されや、ケガの傷口から溶連菌が入り発症します。

水ぶくれが途中から膿を持ち、破れて皮膚がめくれ、ただれた状態なりかさぶたへと進行していきます。

溶連菌が原因のとびひの場合、かさぶたの状態でも中に生きた菌がいる状態なので感染力があり注意が必要です

丹毒

溶連菌が毛穴に感染するとおでき(丹毒・面疔)が顔や手足にできる場合があります。

おできに触れると強い痛みがあります。

また、高熱や全身の倦怠感などの症状を伴います。

劇症型溶連菌感染症

劇症型溶連菌感染症とは、溶連菌が傷口や粘膜から通常菌の存在しない筋肉や脂肪組織、血液に侵入し発症します

初期症状は、発熱、手足の痛み程度ですが、致死率30%、発症すると筋肉周辺が壊死してしまうことから「人食いバクテリア」とも呼ばれています。

日本でも毎年100〜200名ほどの患者数が報告されておりいます。

溶連菌の症状の順番や経過

溶連菌感染症大人

溶連菌感染症の主な症状の経過について解説していきます。

2~5日程度の潜伏期間の後に、急な発熱と、のどの痛み、倦怠感などが出ます。

個人差はありますが、同時に嘔吐を伴う場合もあります。

少し遅れて、発疹や、イチゴ舌の症状が出ます。

通常、抗生剤を服用することで1~2日程度で症状は速やかに消失します。

しかし、中途半端に治療を行うと後述するさまざまな合併症を引き起こす可能性があるため、抗生剤の服用期間は抗生剤の種類にも左右されますが、通常7~10日間の服用が推奨されています。

溶連菌の合併症

溶連菌感染症大人

抗生剤の服用で症状はすぐによくなるので、薬を飲まなくなってしまったり、そもそも治療を行わなかった場合様々な合併症を引き起こすことがあります

それでは、以下で溶連菌感染症が引き起こす合併症について解説していきます。

リウマチ熱

関節痛、発熱、胸痛、動悸や、本人の意思と関係なくけいれんのような症状、発疹、皮膚下の小さなこぶなどの症状が組み合わさって現れます。

溶連菌に感染してから10日~数週間の後に発症しますが、しっかりと治療を行えば0.02%程度まで発症を抑えられます。

急性糸球体腎炎

以下などの症状が出ます。

  • まぶたの腫れ
  • 高血圧
  • 血尿
  • 顔色が悪い
  • まぶたや足のむくみ

また、ひどい場合には全身のむくみなどの症状が出ます。

急性糸球体腎炎の原因菌として溶連菌が最も多く特定の株に感染した後10~15%程度の確率で引き起こされます。

こちらもしっかりと治療を行えば、発症を抑えることのできる病気です。

治療には1ヵ月程度の入院と、1年程度の通院が必要となりますので、しっかりと溶連菌を治療し発症を抑えたいですね。

結節性紅斑

皮膚の赤い斑点、発熱、倦怠感、関節痛などが生じます。

赤い斑点は主にひざ下~くるぶしに生じやすく、足の裏に出る場合もあります。

押すと痛みを感じる他、赤いふくらみ、青あざなどが出ます。

治療をしない場合も3~6週間程度で消失はしますが、痛みがあるため痛み緩和のため、 冷シップ非ステロイド系炎症薬などを使用し、安静にしたり、足を上げたりします。

肺炎

溶連菌が直接呼吸器系統に感染を引き起こしたり、症状が進行し呼吸器に広がったりして肺炎を引き起こす可能性があります

発熱、咳、呼吸困難、胸痛、全身の倦怠感などの症状がでます。

溶連菌に対して効果のある抗生剤の使用や、対処療法などを行い治療を行います。

蜂窩織炎(ほうかしきえん)

局所的な赤み、熱感、腫れ、痛みなどの症状が出ます。

悪化してしまうと発熱、悪寒などの症状が出る場合もあります。

蜂窩織炎を放置すると重症化してしまい、菌血症や敗血症を生じる場合もあります

蜂窩織炎は細菌感染症です。

溶連菌の治療と同じく抗生剤を使用し治療を行います。

通常5~14日程度の治療を行い、状態を見ながら治療期間を決定していきます。

敗血症

初期症状として以下などの症状が出ます。

  • 咽頭痛
  • 発熱
  • 食欲不振
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 全身の倦怠感
  • 低血圧

発症すると数日以内に血管や神経などが壊死し、様々な臓器に障害を起こし、ショック症状になり死亡してしまうことがあります。

そのため、早期発見・治療がとても大切です。

髄膜炎

発熱、頭痛、下を向きにくくなるなどの症状が出ます。

また、髄膜炎患者のうち75%以上に意識障害がみられます。

この意識障害は様々で、ぼや〜っとしている状態から、全く意識のない昏睡状態まであります。

大人が溶連菌にかかるときつい?

溶連菌感染症大人

子どもに多いイメージの強い溶連菌感染症ですが、先述した通り大人にも感染します。

大人の症状として以下などがあります。

  • 発熱(38度以上)
  • 頭痛
  • 唾の飲み込み際の喉の痛み
  • 全身の倦怠感
  • 扁桃腺が腫れ、白っぽい膿がみられる
  • 関節痛
  • 発疹

子どもと同じように抗生剤の服用で2~3日程度で症状は改善されます。

しかし、溶連菌感染症はきちんと治療を行わないと先ほど解説したような合併症を引き起こします

合併症の中には命を脅かすようなものもあるため、溶連菌感染症だからといって甘く見ずに医師の指示に従ってしっかりと治療を行いましょう。

また、溶連菌感染症は非常に感染力の強い疾患です。

抗生剤を服用し、症状が落ち着くまでは職場の復帰もやめておきましょう

溶連菌の治療方法

溶連菌感染症大人

溶連菌感染症の治療では、主にペニシリン系抗生剤(ワイドシリン・サワシリン・パセトシンなど)を使用します。

お腹がゆるくなりやすいため、整腸剤の処方も必要に応じ行います。

服用後24時間以内に感染力は弱まりますが、合併症を予防するためにも5日〜2週間程度、抗生剤の服用が必要です

途中で服用をやめてしまったり、全く治療しない場合、合併症を引き起こしやすくなります。

関連記事:溶連菌の潜伏期間は?感染したら出席停止?

溶連菌かも?と思ったら千葉内科・在宅クリニックへご相談ください

当クリニックでは、溶連菌感染症の迅速検査キットをご用意しています。

迅速検査キットは、のどの奥を綿棒で拭い取り検査を行います。

10分程度ですぐに結果が出ますので、溶連菌かも?と思われる場合は一度お気軽にご相談ください。

また、とても感染力の強い感染症ですので、学校や職場などをお休みしていたとしても家族内で感染してしまうことがあります

そういった場合も、ご家族様もご一緒に診察・検査を行えます!

まとめ

今回、溶連菌感染症についての概要や症状、大人がかかった場合のリスクなどについて解説しました。

溶連菌感染症はよく耳にされる方も多い感染症だと思います。

よくある感染症だからこそ軽く見てしまいがちですが、実は様々な合併症を引き起こす可能性があるので注意が必要です。

合併症を引き起こさないためにも、充分な治療が必要になります。

お困りの場合はお気軽に千葉内科・在宅クリニックへご相談ください。

また、当クリニックはオンライン診療も行っております。

ビデオ通話を通じて診察からお薬の処方まで可能です。

溶連菌の検査はできないですが、医師の判断によってはお薬の処方や外来の病院への紹介状を作成いたします。

参考文献

医療法人社団 大日会 太陽クリニック|溶連菌感染症について

くにちか内科クリニック|溶連菌感染症(成人)

ヒロクリニック|溶連菌感染症とは

北九州地区小児科医会|溶連菌感染症

ワクチン.net|溶連菌感染症

こころみクリニック|溶連菌感染症の症状・診断・治療

この記事の監修医師


千葉内科・在宅クリニック 院長 辺土名 盛之(へんとな もりゆき)

経歴

  • 三重大学医学部医学科 卒業
  • 四日市羽津医療センター
  • 西春内科・在宅クリニック
  • 千葉内科・在宅クリニック院長

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