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流行中?麻疹(はしか)ってどんな病気?治療や予防方法は?
こんにちは!千葉内科・在宅クリニック 院長の辺土名(へんとな)です。
少し前からニュースやSNSなどでも話題になっている麻疹ですが、みなさんは麻疹についてご存知ですか?
麻疹は、パラミクソウイルス科に属する麻疹ウイルスによって引き起こされる急性の感染症で、全世界で発生しています。
麻疹は空気感染するため、感染力が非常に強く、免疫を持っていない人がウイルスにさらされるとほぼ100%の確率で感染します。
Contents
麻疹(麻しん・はしか)とは?
麻疹ウイルスによって引き起こされるこの病気は、高い感染力を持ち、空気を介して容易に伝播します。
感染者の咳やくしゃみによって放出された微小な飛沫を他の人が吸い込むことにより感染します。
*5類感染症全数把握疾患ですが、診断後は直ちに届出が必要です。
*第2種学校感染症に指定されており、解熱後3日経過しないと登校できません。
症状と診断方法
麻疹の主な症状
①特徴的な二峰性の高熱
主に空気感染により感染します。
約12日間の潜伏期の後に、カタル期→発疹期→回復期と推移していきます。
二峰性の発熱を呈し,一峰目の終わりごろに出現するKoplik斑(口の中に出来る白い斑点)と二峰目と同時に出現する融合性発疹(発疹どうしがつながっていく状態)が特徴的です。
※二峰性とは、時間の経過に伴い病状が2つの高まりを持つことを指す
②咳、鼻水などの風邪症状と結膜炎(目が赤くなる)
③特徴的な全身に広がる赤い発疹
二峰目の発熱の際に頭頸部(目・脳を除く首から上の部位)から始まり、全身に広がる丘疹性紅斑を生じます。
*発疹は融合性があり、消退後はしばらく色素沈着が残ります。
④Koplik(コプリック斑)
頬粘膜に数個〜数十個出現する、紅暈を伴うミルクかす様の白色粘膜疹
などがあります。
診断方法
主に医師の診察により、臨床的診断を行います。
確定診断は、ウイルス分離法やウイルス遺伝子の検出(PCR法など)、血清学的検査(EIAなど)などを行います。
予防接種が必要な理由
麻疹は非常に感染力が強く、合併症を引き起こす可能性がああります。
重症化すると命に関わることもあります。
合併症には中耳炎や喉頭炎、肺炎、脳炎、そして亜急性硬化性全脳炎(SSPE)などがあります。
これらのリスクを避けるために、予防接種が非常に重要です。
MR(麻疹・風疹)ワクチンによる予防接種が推奨されています。
年齢別の対応
日本では、生後12ヶ月頃に1回目、1歳6ヶ月から2歳までの間に2回目のMRワクチン接種が推奨されています。
これにより、麻疹に対する免疫が得られ、集団免疫の構築にも寄与します。
生後6ヶ月までは母体からの受動免疫により罹患しないことがわかっています。
予防方法
麻疹はとにかく予防が大切です。
私たちにできることは
①MRワクチンの接種
②手洗いや咳エチケットなどの基本的な感染予防措置
③麻疹患者との接触を避ける
以外にはありません。
流行中は人混みをなるべく避けて生活するようにしましょう。
治療法
麻疹の治療に関しては、特異的な抗ウイルス治療法は存在しません。
したがって、治療は主に対症療法に基づいており、患者の症状を軽減し、合併症のリスクを最小限に抑えることを目的としています。
高熱に対しては解熱剤などを使用、十分な休養と水分補給が推奨されます。
解熱剤
発熱に対しては、アセトアミノフェン(カロナール)やイブプロフェンを使用して体温を下げることが推奨されます。
アスピリンはライ症候群のリスクがあるため、子供には推奨されません。
水分補給
高熱や発疹による体液の喪失に対処するため、十分な水分補給が重要です。
安静
充分な休息が回復には有効です。
合併症の管理
抗生物質
麻疹による二次的な細菌感染(例えば、肺炎や中耳炎)が疑われる場合には、適切な抗生物質が処方されることがあります。
ビタミンA補給
重症麻疹患者や合併症のリスクが高い患者(特に栄養不良の子供)に対して、ビタミンAの補給が推奨されます。
ビタミンAは、麻疹による重篤な合併症や死亡リスクを減少させることが示されています。
※ビタミンA補給のエビデンス
世界保健機関(WHO)によると、ビタミンAの補給は、麻疹による死亡率を最大50%まで減少させる可能性があるとされています。
特に発展途上国において、ビタミンA補給は麻疹の重篤な合併症を減少させるための重要な介入とされています(WHO, “Measles vaccines: WHO position paper”, 2017)。
合併症が発生した場合は、それに応じた治療が必要になります。
麻疹ワクチンは高い効果を持ち、WHO(世界保健機関)も麻疹撲滅のためにワクチン接種を推奨しています。
日本では、麻疹を含む感染症の予防接種は、予防接種法に基づいて実施されています。
接種率の向上により、麻疹の発生率は大幅に低下しています。
しかし、世界的にはまだ麻疹が流行している地域があり、感染予防とワクチン接種の普及が重要とされています。
この情報は、医学界で広く認められている知見と、世界保健機関などの公的機関からのガイドラインに基づいています。
医療提供者や公衆衛生の専門家は、麻疹の予防と管理に関して最新のエビデンスに基づいた情報を提供し続けることが重要です。
千葉内科・在宅クリニックでできること
当院では麻疹に対して医師の診察の後に診断を行い、適切な治療をさせていただきます。
急な体調不良に対しても連携している家来るドクターでご対応可能です。
体調不良でお困りの際は千葉内科・在宅クリニックへお気軽にお問い合わせください。
千葉内科・在宅クリニック 院長 辺土名 盛之(へんとな もりゆき)
経歴
- 三重大学医学部医学科 卒業
- 四日市羽津医療センター
- 西春内科・在宅クリニック
- 千葉内科・在宅クリニック院長