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迷走神経反射を繰り返すのは病気?何度も起こる原因と正しい予防法

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満員電車の中で急に目の前が暗くなった。
採血のときに気を失ってしまった。

こうした経験を何度も繰り返していると、「自分は何かの病気なのではないか」「また同じことが起きるのではないか」と不安になる方も多いのではないでしょうか。

これらの症状は「迷走神経反射(血管迷走神経反射)」と呼ばれ、失神の中でもっとも頻度が高いタイプとして知られています。

迷走神経反射そのものは生命に直接関わるものではありませんが、繰り返すことで日常生活に支障をきたしたり、転倒によるけがのリスクが高まったりすることもあります。

この記事では、迷走神経反射を繰り返す場合に考えられる原因や病気、起こりやすい環境やトリガー、再発を防ぐための予防法などについて、医学的な根拠をもとにわかりやすく解説します。

迷走神経反射を繰り返すのは病気?

結論からお伝えすると、迷走神経反射そのものは「病気」というよりも、自律神経の一時的なバランスの崩れによって起こる生理的な現象です。

私たちの体は、活動時にはたらく「交感神経」と、リラックス時にはたらく「副交感神経」という2つの自律神経によってコントロールされています。

迷走神経は副交感神経の一つで、心臓や消化器官などの機能を調節する重要な役割を担っています。

何らかの刺激によってこの迷走神経が過剰に反応すると、心拍数の低下と血管の拡張が同時に起こり、血圧が急激に下がって脳への血流が不足し、めまいや失神といった症状が現れます。

迷走神経反射を起こしやすい体質の方は一定数おり、体質的な要因が大きいため、繰り返すこと自体が必ずしも重篤な病気を意味するわけではありません。

イタリアで行われた研究によると、神経調節性失神(迷走神経反射を含む)は予後良好な疾患とされていますが、2〜3年の間に約3人に1人の割合で再発が認められるとされています。

繰り返す場合に注意したい病気

ただし、失神を短期間で何度も繰り返す場合や、横になっているときに起こる失神は、迷走神経反射以外の病気が隠れている可能性があります。

特に以下のような疾患には注意が必要です。

  • 不整脈などの心臓疾患:心臓のリズムが乱れることで、脳に送り出す血液量が低下し失神を引き起こします。心臓が原因の失神は突然死につながるリスクもあるため、早期の診断と治療が重要です。
  • 糖尿病による自律神経障害:糖尿病が進行すると自律神経に障害が生じ、血圧の調整がうまくいかなくなることで、迷走神経反射を繰り返しやすくなることがあります。
  • 脳血管障害:脳の動脈硬化や椎骨脳底動脈循環不全により、脳幹部への血流が低下して失神を起こすことがあります。めまいや物が二重に見える症状を伴う場合は、脳梗塞の前兆である可能性もあります。
  • 起立性調節障害:特に思春期の若年層に多く見られる疾患で、自律神経のバランスが崩れることでめまいや失神を引き起こします。迷走神経反射は起立性調節障害のサブタイプの一つとしても分類されています。
  • てんかん・脳腫瘍:脳神経疾患でも自律神経の異常を引き起こすことがあり、失神の原因となる場合があります。

受診の目安

以下のような場合は、迷走神経反射以外の原因が隠れている可能性がありますので、早めに医療機関(循環器内科や脳神経外科など)を受診することをおすすめします。

  • 短期間のうちに何度も失神を繰り返す
  • 横になっている状態で失神が起きる
  • 失神時に脈の乱れ(不整脈)があった
  • 前兆なく突然意識を失う(通常の迷走神経反射は数分間の前駆症状がある)
  • 強い頭痛を伴う失神
  • 中高年になってから初めて失神を経験した

医療機関では、問診に加えて心電図、血液検査、心臓超音波検査、24時間ホルター心電図、頭部CTなどの検査が行われることがあります。

また、迷走神経反射の確定診断にはティルト試験(Head-up Tilt test)と呼ばれる検査が用いられ、傾斜台の上で立位を維持した際の血圧や心拍数の変化を観察します。

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迷走神経反射を繰り返しやすい環境

迷走神経反射は、一つの原因だけでなく、複数の要因が重なったときに起こりやすいという特徴があります。

自分にとってどのような環境がトリガー(引き金)になるのかを把握しておくことが、再発予防の第一歩です。

以下に、迷走神経反射を誘発しやすい代表的な環境や状況をご紹介します。

長時間の立位・座位

満員電車での通勤、学校の朝礼、長時間の会議など、同じ姿勢を長く続けると下半身に血液がたまり、脳への血流が減少しやすくなります。

特に午前中に発症しやすいとされており、電車内や朝礼中に倒れるケースは典型的な例です。

採血・注射・医療処置

針を刺される痛みや、血を見ることへの恐怖、医療処置に対する緊張などが迷走神経を刺激して反射を引き起こすことがあります。

採血や予防接種の場面で気分が悪くなったり、失神したりするのはよく見られる例です。

過去に経験がある方は、あらかじめ医療スタッフに伝え、横になった状態で処置を受けることが推奨されます。

強い痛みや精神的ショック

外傷による激しい痛み、精神的な恐怖やショック、強い怒りや悲しみといった感情のストレスも、迷走神経反射のトリガーになります。

体が防御反応として副交感神経を過剰に活性化させることで、急激な血圧低下が起こります。

暑い環境・密閉空間

暑い場所や人混みの中、換気の悪い密閉空間では、体温調節のために末梢血管が拡張し、血圧が下がりやすくなります。

脱水を伴うとさらにリスクが高まります。夏場の外出先で症状が出やすいという方も多くいらっしゃいます。

排尿・排便後

排尿後や排便後に迷走神経反射を起こすことがあり、これは「排尿失神」「排便失神」とも呼ばれています。

特に、夜間に大量の水分を摂取した後に急に膀胱を空にした場合などに発症しやすいとされています。

飲酒・過度のダイエット・寝不足

アルコールの過剰摂取は血管を拡張させて血圧を下げやすくします。

また、過度なダイエットによる栄養不足や、慢性的な睡眠不足は自律神経の調整機能を乱し、迷走神経反射を起こしやすい状態をつくります。

これらの生活習慣上の要因が重なると、リスクはさらに高まります。

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迷走神経反射を繰り返さないための予防方法

迷走神経反射には、確立されたエビデンスレベルの高い根本的な治療法はまだありません。

そのため、日常生活の中で誘発因子を避け、自律神経のバランスを整えるための生活習慣の改善が予防の基本となります。

多くのガイドラインでも、まず生活習慣を整え、迷走神経反射を引き起こす環境を避けることが推奨されています。

水分・塩分の補給

脱水は迷走神経反射を引き起こす大きな要因の一つです。

体内の水分が不足すると血液量が減少し、血圧が低下しやすくなります。

特に夏場や運動後は意識的にこまめな水分補給を心がけましょう。

飲み物からは1日あたり約1.2リットルを目安に摂取することが推奨されています。

また、医師から塩分制限を指示されていない場合は、適度な塩分を摂ることも血圧の維持に役立ちます。

しっかりとした休息と規則正しい生活

睡眠不足や過労は自律神経のバランスを崩す大きな原因です。

十分な睡眠をとり、規則正しい生活リズムを維持することが、迷走神経反射の予防につながります。

毎日なるべく同じ時間に起床・就寝する習慣をつけ、夜更かしを避けましょう。

食事も1日3食、できるだけ決まった時間にとることで生活リズムが整いやすくなります。

自律神経の修復に必要なビタミンB群(豚肉・納豆・魚介類・レバーなど)を積極的に摂るのもおすすめです。

ストレス管理

過度なストレスや緊張は、迷走神経反射の大きなトリガーです。

慢性的なストレスにさらされ続けると自律神経のバランスが乱れ、反射が起こりやすい状態が続いてしまいます。

趣味やスポーツなどで意識的にリラックスできる時間を確保し、ストレスをため込まないよう心がけましょう。

また、迷走神経反射を起こしやすい特定の状況(採血、人混みなど)がわかっている場合は、事前にその環境に対する心構えを持ち、必要に応じて周囲に協力をお願いすることも有効です。

性格的に几帳面・真面目で緊張しやすい方は、特に意識してストレスケアに取り組むことが大切です。

こまめな運動習慣

適度な運動習慣は、自律神経を鍛え、血流を改善するために非常に効果的です。

特に下肢の筋力を強化するウォーキングやスクワットなどの運動は、ふくらはぎの筋肉ポンプ機能を高め、下半身にたまった血液を心臓に戻す力を強化してくれます。

ただし、激しい運動は逆にトリガーになることもあるため、ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチなど、無理のない範囲で継続できる運動を選びましょう。

長時間同じ姿勢を取らざるを得ない場面でも、足をこまめに動かしたり、つま先立ちを繰り返したりすることで血流を促進できます。

着圧ソックスの活用

着圧ソックスは、下肢を圧迫することで血液の循環を改善し、下半身への血液のたまりを防ぐ効果があります。

長時間の立位が避けられない仕事をされている方や、通勤中に症状が出やすい方には特に有効な対策です。

医療現場でも循環器の専門医から勧められることがあり、実際に着用後に症状が出にくくなったという報告もあります。

迷走神経反射の前兆・発症時の対処法

迷走神経反射は、多くの場合いきなり意識を失うわけではなく、失神の前に以下などの前駆症状(前兆)が現れます。

  • めまい
  • 血の気が引く感じ
  • 冷や汗、吐き気
  • 目の前が暗くなる
  • あくびが出る
  • 腹部の不快感

この前兆を感じた段階で適切に対処することが、失神や転倒によるけがを防ぐうえで非常に重要です。

横になって足を高くする

前兆を感じたら、まず安全な場所で横になり、足を心臓より高く上げましょう。

この姿勢をとることで、下半身にたまった血液が脳の方へ戻りやすくなり、血圧の回復を助けます。

通常は横になって数分ほど休めば症状は回復しますので、焦らずゆっくりと休息をとりましょう。

横になれない時はしゃがむ

電車内や外出先など、横になるスペースがない場合は、その場でゆっくりとしゃがみ込みましょう。

膝の間に頭を入れるようにして前かがみの姿勢をとることで、脳への血流を確保できます。

失神による転倒は、頭部や顔面の打撲など二次的なけがの最大のリスクです。

立ったまま我慢せず、すぐに姿勢を低くすることが大切です。

衣類を緩めて呼吸を整える

ネクタイやベルト、きつい襟元など、体を締め付けている衣類があれば緩めましょう。

首に固いカラーをきつく巻いている状態は、頸動脈洞を刺激して迷走神経反射を悪化させることがあります。

ゆっくりとした深呼吸を意識し、浅い呼吸にならないようにしましょう。

冷や汗が出ている場合はふき取り、できれば温かい飲み物をゆっくり飲んで体を温めるのも効果的です。

物理的対抗動作(カウンタープレッシャー)

近年、迷走神経反射の予防法として注目されているのが「物理的対抗動作(physical counterpressure maneuvers)」です。

これは、前兆を感じた際に特定の筋肉に力を入れることで、血圧の低下を食い止める方法です。具体的には以下のような動作が有効とされています。

  • 両脚を交差させて太ももに力を入れる
  • 両手を組んで腕を引っ張り合う(アームテンシング)
  • ふくらはぎの筋肉に力を入れてつま先立ちを繰り返す
  • ゴムボールなどを力強く握る(ハンドグリップ)

これらの動作は、下肢や上肢の筋肉を収縮させることで静脈血の心臓への戻りを促進し、血圧の低下を防ぐ効果が期待できます。

通勤中やオフィスなど、横になれない場面でも実践しやすい対処法ですので、ぜひ覚えておきましょう。

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千葉内科・在宅クリニックでできること

千葉内科・在宅クリニックでは、消化器・呼吸器・循環器・内分泌泌尿器など、幅広い内科診療を行っています。

迷走神経反射を繰り返しお悩みに対しても、問診や各種検査を通じて、症状の原因を丁寧に評価。

また、当院では迅速血液検査の機器を導入しており、約30分程度で血液検査の結果をお伝えすることが可能です。

迷走神経反射の背景に隠れた疾患(糖尿病、貧血など)がないかを効率よくスクリーニングすることができます。

心電図検査にも対応しており、不整脈などの心臓疾患が疑われる場合の初期評価や、さらに専門的な検査や治療が必要な場合は、連携する専門医療機関へのご紹介もスムーズに行います。

「何度も繰り返すけれど、病院に行くほどなのかわからない」という方こそ、まずはお気軽にご相談ください。

外来診療だけでなく在宅診療にも対応しておりますので、通院が難しい方もご安心いただけます。

まとめ

迷走神経反射は、自律神経の一時的なバランスの崩れによって起こる生理的な現象であり、それ自体が重篤な病気ではありません。

しかし、繰り返す場合には心臓や脳の疾患、糖尿病など、他の病気が隠れている可能性もあるため、一度は医療機関を受診して原因を確認しておくことが大切です。

正しい知識と対処法を身につけることで、迷走神経反射と上手に付き合っていくことは十分に可能です。

繰り返す症状にお困りの方は、どうぞお気軽に千葉内科・在宅クリニックまでご相談ください。

この記事の監修医師


千葉内科在宅・美容皮膚科クリニック 院長 辺土名 盛之(へんとな もりゆき)

経歴

  • 三重大学医学部医学科 卒業
  • 四日市羽津医療センター
  • 西春内科・在宅クリニック
  • 千葉内科在宅・美容皮膚科クリニック院長

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